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堺市博物館

堺市博物館に行ってきた。

堺市博物館とは

堺市とは、大阪市の南に隣り合っている市である。
しかし、地域的に近いのにも関わらず、堺の人は「大阪市」と一緒にされるのを嫌がる。堺と大阪は、町としてのルーツが違うのだ。
この博物館では、堺の古代、中世、近世にまつわる物品やパネルを展示し、国際港堺の歴史に迫っている。


古代から港町だった堺

「さかい」という町の名前は、大坂と和泉(今の大阪府南部)の境目にあったことに由来するそうだ。
堺の町は古代から港町だったらしく、海外からの影響も色濃い。
勾玉、剣、土器が続々と出土している。
世界遺産にもなった古墳群についても多くの展示がある。どこかとぼけた顔の埴輪はかわいらしい。


犬好きの友達に犬の埴輪の写真を見せたら、「犬の尻尾が巻いているから日本犬だ」と言われて確かに……となった。犬好きの人は見ているところが違う。


古墳群は、歴史的には重要なのだろうけど、古墳ってどうしても変わった形の丘みたいな見た目なので、パッと見てすごさがわかりづらい。わかりづらいからプロモーションもしづらいのは大変だなあ。ピラミッドやローマの遺跡のようなわかりやすいかっこよさがない。
一方で、そういうわかりにくい財産だからこそ保存する値打ちもあると思うので、関係者には頑張ってほしい。わかりやすくかわいい犬猫の保護にはものすごくお金が集まるけれど、虫の保護にはお金が集まらない案件と同じだなあ。

外国との貿易で栄えた堺の中世


中世になると、堺は南蛮貿易で栄えるようになる。
また、このころ鉄砲が伝来し、堺で鉄砲が生産されるようになった。
堺は今でも鍛冶職人が多い地域なので、歴史を感じる。
前に見た古代史動画でも「権力を持つには武器を生産できる地域を押さえるのが重要」という話を聞いていたので堺も重要な地域だっただろう。

火縄銃がずらっと並んでいる展示があり、ミリタリー趣味の人には楽しいかもしれない。私には並べられてもよくわからないが、威圧感がある。


巨人が使うような巨大な銃の展示もある。自分が小人になったようだ。

近世以降の堺

江戸時代になると、鎖国政策により海外との貿易ができなくなり、堺は急速に廃れていくこととなる。
また、金融や商業の中心は大坂(今の大阪市)に移ることとなる。
金融や商業の中心、というのはおそらく中之島あたりのことだろうな。
しかしキャプションに「過去の栄光にとらわれる堺の富豪」と書かれているのには少し笑ってしまった。堺市の博物館だというのに、正直だなあ。
しかし、商業の中心地でなくなっても、堺は工業や職人の町として存続していくこととなる。今でも堺打刃物(さかいうちはもの)と呼ばれる堺の刃物は、外国人観光客に人気がある。

その他、気になる堺市Tips

その他、展示の中の気になる堺市Tips。
住吉大社は大阪市南部から堺市にかけて信仰を集める神社だ。そこで住吉大祭が行われるとき、御神輿をかつぐ人員を大和川で交代するそうだ。大和川は大阪市と堺市の境界に流れる川である。
そこで境界にこだわるのか……と思って少し面白い。

また、廃藩置県の時代、今とは違う境界線を引かれていたことは知っていたが、堺市を中心とする県「堺県」がほぼ今の奈良の領域を含んでいたことに驚いた。
現在、奈良は大阪のベッドタウンだが、このころは堺の方が文化的に近かったのか、それとも別の理由があるのか……。

展示以外の雑感



最後に展示以外への雑感を書いておく。
私が堺市博物館を訪ねたのは2023年8月上旬だった。酷暑がひどく、駅から博物館まで歩くだけで倒れそうだった。
さらに、電車移動だから大丈夫だろうと思っていたら、ホームで電車を待っているだけで滝のような汗をかいてつらかった。酷暑が終わるまでは遠くのミュージアムに行けないかもしれない。
2駅となりの堺市駅にあるミュシャ館にも寄ろうかと思っていたが、あまりの暑さにあきらめた。

堺市博物館に行こうと思ったのは、最近よくYouTubeの高校日本史講義を見ていたのがきっかけだ。高校日本史では、定期的に「堺」という町が出てくる。せっかくとなりの市に住んでいるのだから、見に行ってみるかとやってきた。
しかし実際に見てみると、展示のボリュームのわりに全然大阪市内で宣伝をされていないところに驚く。火縄銃の展示や堺が栄えていた頃の富豪の持ち物など、喜ばれそうな展示が多いのにもかかわらずである。
やはり観光客はなかなか大阪市内から出ないのであろうが、残念なことである。

それからミュージアムグッズのペーパークラフトや埴輪キーホルダーがかわいい!特に犬の埴輪のキーホルダーは250えんで安すぎる。もっとお金を取ってくれ。

そんな感じで滝汗をかきながら帰った。


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