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オタクをやってて楽しいとき

オタクの定義

 心がときめくモノに対して自分から調べ「そうなんだあ、こうなんだあ。うふふ」と密かに楽しむことが一番好き。
ネットやアニメが好きだからオタクではなく、1つの趣味に対して物凄い知識を持っていないとオタクとはいえない、というものでもなく、自分の中で「うふふ」と思えるきらめく事を持っていて「うふふ」と思える瞬間を求めている人こそがオタクだと思ってる。

箱根にあるラリック美術館に行ってきた

 中学生の時、美術の教科書を見てエミール・ガレのひとよ茸ランプを見て「きれいだなあ」と思っていた。
授業で植物や動物だとか自然な物をデザインに取り入れて凝った装飾を施すことをアール・ヌーヴォーだと聞いて、面白味のあるデザインと綺麗な装飾をすごく気に入った。
次のページには実用的で機能性を求めたアール・デコに時代が変わったと記載されていて、なんだつまんないなと思った記憶がある。

 ラリック美術館はアール・ヌーヴォーの作品の展示があると聞いて見に行った。美術館の解説で繰り返されていたのは「ジャポニズムの影響」と「ガラスデザイナーとしての成功」で、すっかり作品の綺麗さにハマった私はもっと解説を知りたいと本を購入した。
ラリックの作品や作られた時代背景を時系列順に紹介している本を読んでようやく「ジャポニズムの影響は、伝統的な宝飾のデザインからラリックがオリジナリティさを出せたインスピレーションだったんだ」「ガラスデザイナーとしての成功は、1880年代みたいなコルセットを締めてドレスアップしていた女性がコルセットから解放されて、シンプルな服装になりアール・ヌーヴォーが時代遅れとなってラリック自身ディスられまくり、アール・デコへ時代が変わったから、時代についていけるように石の細工からガラス細工へと技術を変えたんだ」と納得できるようになった。

ラリック美術館から得た「うふふ」

 アール・ヌーヴォー時代に女性がコルセットを締めてドレスアップをしていて、装飾たっぷりな服装に負けないように豪華な宝石と流麗な装飾が必要だったと、本の年表に書いてあった。
次に、1990年代からコルセットから解放され服装がタイトなシルエットに変化し、より実用的なデザインに変わったと書かれていて、このアール・ヌーヴォーからアール・デコへの変化には覚えがあった。
その覚えは、大学時代に本を読んだり映画で見た「ココ・シャネル」だった。
シャネルの本や映画で、今まで男性の介助が必要だった動きづらい服装から、戦争で女が一人で働かなければならず動きやすい服装が求められ、そのビジネスチャンスに乗り実用的で機能性のあるファッションブランドを打ち出したアツさに痺れたことがあった。
ラリックの名声を一度奪ったアール・デコ、わたしが中学時代につまらないなと感じたアール・デコにはわたしが大学時代に憧れたココ・シャネルが存在するのでは?と思い、シャネルの年表を重ねてみたら一致した。
子どもの頃に単純にきれいだなと思って興味を持った「アール・ヌーヴォー」は「ラリック」という点へ移り、もともと持っていた「ココ・シャネルが激アツでかっこいい」という点と結びついて線になった感覚。
自分の中の興味と興味が結びついた瞬間の「うふふ」ほんとうにたまらない。
このたまらなさを感じるごとに「オタクでよかった」「オタク楽しい」と悦に浸れる。「うふふ」の感覚は狙って浸れるものではなく、自分の好きな物を好きなタイミングで追っかけていないと辿り着けない。
興味を持って調べて点を知り、他の島と繋ぎ線になり、自分だけの好きを集めた自分だけの図鑑を心に持っている感覚、豊かすぎる。

もういっこ悦に浸る

 ラリックの作ったペンダントに、蝙蝠と女性を融合させたような不気味なデザインがある。19世紀末に盛んだった「ファム・ファタル」を取り入れた作品らしい。
ファム・ファタルは魅力ある女性が男性を破滅させる悪女主義のことで、なんかもう谷崎である。谷崎が生きた時代ってこの時期だっけ?って急いで調べて被ってた。もう尊い。1993年生まれだからあと100年くらい前に生まれたかった。リアルタイムで追っかけたかった。けどリアルタイムだとラリックにしろ谷崎にしろ追いかける経済力ないと思う。ネットのある現代でよかった。

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