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『HSPブームの功罪を問う』を読んで-HSPとわたし①-

『HSPブームの功罪を問う』という本がかなり興味深く面白かったので、「HSPとわたし」の話をしたい。けど、たぶん前置き長すぎて本の内容に辿りつけない気がする。


HSPや繊細さんという言葉が急激に広まったのはここ3・4年くらい。2020年頃から芸能人が公表し始めたり、書店では「繊細さんの~」といったタイトルの書籍も増えた。
HSPは、「感受性が高く、良くも悪くも周りの環境や刺激から影響を受けやすい」という気質で、5人に1人が持っている。

医学用語ではなく、心理学的な概念として使われる言葉。
HSPもぼちぼち市民権を得てきた言葉だと思っていたけど、悪い方に独り歩きしているようなイメージもあったり、SNSではMBTI診断とごっちゃにしている人も多々みられる。
※MBTIは性格診断、HSPは気質


わたしはHSPを自覚してから、結構いろんな本を読んだりして自分なりの付き合い方は見つけたけど、それでも気質のせいでしんどくなることは今もある。ただそういうときに「わたしこういうのに弱いもんな」と俯瞰して考えられるし、もう落ち込むこともない。得体の知れない不安とか自己否定(例:なんでこんなことで落ち込むんだろう、わたしって人より弱い、だめな人間だ)がなくなっただけでもずいぶん生きやすくなった。そういう点では、HSPという概念を知ったことで救われた1人だ。


「HSP診断」で検索すると一番上に出てくるサイトで130点、強度HSP気質。

わたしの夫は45点で、わたしと性格が真反対の妹は59点だった。2人ともHSPではないだろうと思っていたけど、わたしと点差が大きすぎて、こんなに感覚違ったのか!とびっくりしたのを覚えている。

光や音の刺激で疲れる。誰かが怒られている場にいたら自分まで参ってしまう。悲しいニュースを見たら2,3日は引きずって悲しみに覆いつくされる。空腹・寒い・暑いの感情に支配されて不快になる。これらは感受性の高さが影響しているらしい。


HSPという概念をはじめて知ったのは2016年頃で、母に「えりかはハイリーセンシティブパーソンちがうかな?」と言われたのがきっかけだった。母はその後『敏感すぎて困っている自分の対処法』という本を買ってきてまず自分で読み「やっぱりえりかこれやと思うわ」とわたしにくれた。母はわたしのことを、ささいなことでも気にしすぎてずっと落ち込んでしまう子だと思っていたらしい。するどい。

もらった本を読んで「完全にわたしのことや」と思ったものの、当時はHSPの情報がまだ世の中に少なく、なかなか情報収集もすすまなかった。


いよいよ自分なりの対処法を見つける必要があるな、と感じ出したのは2020年夏。仕事が原因で鬱になったタイミングで、働き方とか、仕事内容・環境、自分が心地よく居られる場所とか、そういうことも真剣に考えるようになった。その頃にはHSP関連の書籍も増えていて、ずいぶん情報も集めやすくなった。自分なりにこの気質との折り合いもつけられるようになっていった。


寒さと暑さに弱く圧倒されてしまうし、人混みでは情報の洪水に溺れそうになるし、昼白色の照明の下ではへとへとに疲れてしまうし、後ろからぬっと人が出てきたら相手がびっくりするくらいびっくりして「驚きすぎやろ…」って言われるし、仕事や対人関係の失敗をずーっと気にしてしまうし、素晴らしい映画や音楽に感情がぶっとぶくらい感動して号泣する。
相変わらず身の回りの環境・刺激から影響を受けまくって毎日生きている。
でも「まあわたしそういうとこあるもんな」の考え方で、特に思い悩むことなく暮らしている。
誰かに「HSPだから配慮してほしい」なんて言うこともない。基本的には自己完結。家族と夫は、わたしがそういう気質があることを知っているけど、配慮を強要はしていない。わたし疲れやすいからよく寝まーす!電気が白いと疲れるからオレンジにさせてくださーい!くらいの協力は仰いだけど🙃


HSPは病気ではないし、治す(治る)ものでもないと思っている。単なる気質でしかない。

また、一部の本やSNSでHSPカウンセラーが謳っているように「選ばれし者の素晴らしい才能」とかいう風にも思ったことはない。感受性が高いことは素晴らしいのか?じゃあそうではない人は素晴らしくないのか?そういうことじゃないと思うんだよな🤔

でも「繊細さは選ばれしあなたへのギフト!」みたいな考え方に救われる人がいるのもわかる。なんでこれくらいで疲れるんだろう、みんなが気にしないことをずっと気にしてしまうんだろうって悩んできた人たちは、特別な言葉にすがりたくなるときがある。わたしにもわかる。わかるけど、そうは思わないな…。


HSPといえば生きづらさにフォーカスされがちだけど、感情がぶっとぶくらい何かに感動して最高な気持ちになれたときとか、感受性高くてよかったー!🥳って思うときも多い。
ポジティブとネガティブ、両面ある。
この気質を、比較的ニュートラルに捉えている。

で、そんなわたしがめちゃくちゃ共感して面白く読んだのが『HSPブームの功罪を問う』なのです(やっと本出てきた) 

→後半へ続く

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