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行くと決めたからには【清水エスパルス vs サンフレッチェ広島】マッチレビュー J1 第36節 20.November.21

こんにちは、ぐらんえきーぽです。
今回はJ1 第36節 サンフレッチェ広島戦を振り返ります。

前節から中断期間を経て、平岡監督の施した縦への鋭さが色濃くでた今節。
序盤からフルスロットルで積極的な入りを見せると、後ろに重い入りとなった広島を押し込むことに成功しました。
隙をついた飛び出しからの得点で勝ち越すと、後半は体力的にも厳しい状況になりながら、無失点で乗り切り、勝ち点3をもぎ取りました。

監督交代を断行した中で何が何でも結果が求められる状況下で、勝利を掴み取ることが出来、残留争いに踏みとどまることが出来ました。

1.スタメン

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出場停止となったヴァウドの代わりに鈴木義が、そして左サイドには後藤が先発に入りました。前線からのプレスとボールを持てば縦に鋭くという平岡監督の狙いを反映した采配になりました。

広島は前線に動きがつけられる選手を置いた一方、高さという点ではエスパルスに劣る布陣となったという印象でした。

2.リスクは承知で前に出る

平岡監督が前半はハイペースになり過ぎたと言っていたように、エスパルスは序盤から果敢にプレスをかけて行きました。
時にプレスを剥がされ、少しリスキーな形でボールを運ばれることもありましたが、現在のチームではこのプレスが生命線。いけるところまで行くという雰囲気を感じました。

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前半、広島はスリーバッグに加え、ボランチの青山が少し低い位置でボールを受け取りに行く動きを見せていたため、ビルドアップは後ろに重くなっていたと感じました。

エスパルスはチアゴと唯人でボランチをケアしながら前に出ると、広島 野上や佐々木にボールが入ったタイミングで後藤や西澤がプレスをかけるという狙いを持っていたと思います。

特に西澤のサイドで、西澤が前に出た後ろへの原のスライドが遅れる場面が見られ、広島 東のところからプレスを回避されてしまう場面はありました。

しかし、エスパルスは強度の高いプレスからボールを奪い、奪えば選手が縦に飛び出し、早い攻撃をシュートに結びつける形を狙っていたため、プレスを剥がされることも平岡監督は織り込み済みで、そこは全体でカバーする走力と最終ラインの守備能力で対応する考えがあったように感じました。

3.守備のほころびを探って突く

エスパルスの攻撃は先述のプレスでボールを奪った後のカウンターが中心となっていました。非保持の局面でのチアゴの立ち位置も若干高めになっており、カウンターの起点としての役割が濃くなったように感じました。

一方で、ビルドアップからのクリーンなパスからの攻撃については多くはなかったものの、広島の守備の綻びを突き、得点に繋げることが出来ました。

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広島はエスパルスがボールを保持した際には、それほどプレスに来ることがなく、5-4-1の形で構え、ボールが入ったところに強く行くという狙いがあったように思います。

その中でボランチの2人はエスパルスのボランチをケアするために前に出てくる動きが多く見られました。
前に出た後は再び自分のエリアに戻るのですが、茶島や浅野がその脇をカバーする意図は薄く、瞬間的にボランチの脇が空いていたと感じました。

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得点の場面も左から右へとボールを動かした過程で、広島のボランチが動かされ、鈴木義にボールが渡ったタイミングでの茶島の対応も中途半端だったため、青山と茶島の間にぽっかりとパスコースが出来た状態でした。

加えて、西澤がボールを引っ張り出す動きをしたことにより、佐々木がつり出されていました。
広島は5バックながら、佐々木と荒木の間も広い空間が空いている状態となってしまい、唯人の抜け出しをあっさりと許しました。

この場面では、広島の守備対応に問題があったと言えますが、この綻びを見つけ、パスを通した鈴木義、素早い飛び出しを見せた唯人、こぼれ球に良い準備をしていたチアゴは素晴らしかったと思います。

4.この試合では大きな問題にならなかったが

前半は攻守に渡りハイテンションにプレーし、プレスも鋭さを見せましたし、ボール奪取後の唯人の推進力や、サイドハーフの切り替えの速さも素晴らしかったと思います。

しかし、プレスを剥がされた際のリスクや後半の戦い方については、残りの2試合で大きな問題に繋がる可能性もありそうです。

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上図の場面でもこの試合の戦い方に則り、GKからのビルドアップに対してもかなり前がかりにプレスを掛けました。
しかし、唯人のところで潰すことが出来ずにいると、柏に展開され、そこから一気に最終ラインの背後へと展開されます。

エスパルスはボランチもプレスに加わっていたため、最終ラインが晒される形に。相手より早く帰陣しないとピンチになりかねない状況となりました。

前からのプレスが上手くかかる時には良いですが、剥がされ越えられたときに長い距離を行ったり来たりする、トランジションの多い試合展開となってしまうため、チームとして試合を通じた運動量をどのように管理するかが重要になると感じました。

また、浦和戦を見据えても、相手が効果的な配置を取ったことで、押し込まれる展開となった後半についても慎重な戦いが求められると感じました。

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広島との今節でも前半の飲水タイム後から野上がWBのような位置取りをすることで、徐々にエスパルスを押し込んでいきました。

これにより柏がエスパルスの中盤と最終ラインの間で浮いた位置を取っていました。エスパルスはサイドから中盤と最終ラインの間にボールを流しこまれる場面が増え、広島 浅野、エゼキエウ、茶島といった狭いスペースでプレー出来る選手に少し手を焼く展開になりました。

後半は竹内が守備対応でスライドが遅れてしまう場面も見られました。選手それぞれが良い立ち位置を取り、広島よりも効果的な攻撃を展開する浦和に対応することを考えると、このエリアの固さは求められると感じました。

5.勝ち点を持ち帰る戦いを

広島戦はリスクを織り込みながら、割り切った戦いで前半で得点を奪うことが出来たことが、勝利を手繰り寄せた大きな要因であったと思います。

一試合を通じてのゲーム運びという意味では課題が残ったと思いますが、現在の状況では、勝利を得ることが出来たことが何よりの成果です。

ただ、次節の浦和は新監督を迎えながら、1シーズンでかなり高い完成度をもった難しい相手です。
広島には通用したプレスを剥がす術は多く持っていますし、脇を甘くすればそこをすかさず突いてくると思います。

他会場の結果にも左右される展開ですが、自分たちが勝ち点を1つでも持ち帰ることを期待して、最後まで応援したいです。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

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