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チームの繋がりで上回る【清水エスパルス vs FC東京】 マッチレビュー J1 第16節 26.May.21

こんにちは、El Gran Equipoです。

今回は第16節FC東京戦を振り返りたいと思います。
待ちに待ったホーム初勝利に選手の笑顔。。沁みますね!

序盤はFC東京の勢いに若干押された部分はあったものの、徐々に落ち着きを取り戻すと、個の力を押し出すFC東京をチームで上回り、今季初のホームでの勝利を掴みました!

得点を奪う時間帯が良かったこともプラスに働いたことは間違いないですが、チームとしての戦術理解とそれを遂行する徹底したハードワークで相手を上回ったことがほぼパーフェクトな形での勝利に繋がったと思います。

それではいってみましょう!

1.スタメン

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エスパルスは前節からシステムを4-4-2に戻し、右サイドに片山を配置しました(本当にどこでもできますね)。

対するFC東京は前節とスタメンを変えませんでした。自由に動く高萩の周囲にディエゴ、田川、アダイウトンと、強力な攻撃陣を並べています。

1.相手を困らせる場所に立つ

この試合では相手の前線からのプレッシングがそれほど効果的でなかったことと、エスパルスの選手が相手守備陣の間に立つことにより、ボールを上手く前進させ相手を崩す攻撃が出来ていました。

特に先制点の場面ではそれぞれの狙っていた立ち位置がきちんとかみ合った形だったと思います。

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この試合でも後方から攻撃を始める際には中村が、鈴木とヴァウドの間に立ちました。また、中央の受け手として、宮本に加えて鈴木が下りることで、3-2の形を作りました。
また、ビルドアップの局面では両サイドバックは幅を取ることが意識的に行われていたように思います。

対するFC東京の守備は前に4枚が立っているのですが、強めにプレスをかけて制限をかけることもなく、自分たちの後方へのパスコースを消すわけでもなく、少し立ち位置に迷いがあったように感じました。

中村が真ん中に入ることで中央への縦パスが選択肢として生まれるのですが、FC東京 ディエゴと高萩はそのパスコースを消すでもなく、こちらも少し中途半端な位置取り。
その後方のボランチ 青木、東もカルリーニョス、片山が自分たちの脇にポジションを取っているため、唯人へのマークが少し遅れてしまいます。

これで唯人は前を向くことが出来、後手を踏んだ相手ボランチが出てきたところでその脇に立つ片山へパス。
ここでエウソンが幅を取り高い位置に上がってくるため、FC東京 小川に対して2対1の局面を作ることに成功しています。

エウソンにパスが渡った後も、唯人と片山は相手ディフェンス陣の間に立ち、パス交換を行う等、相手が対応に困る中間ポジションを取り続け、攻撃を行っていた点が良かったです。

FC東京はサイドハーフ(特にアダイウトン)の守備面での立ち位置が少し曖昧であったり、帰陣が遅い場面が多く、ボランチやサイドバックの守備面での負担が結構大きそうでした。
エスパルスからすればそこを上手く突いて、相手の間に縦方向のパスを何本も入れることが出来ていました。

2.スペースを見つけてひし形を作る

今節は右サイドに入った片山は、エウソンの立つ位置に合わせて上手くサポートを行い、ボールを受けると、派手さはないながら的確に味方にパスを届けることで右サイドの潤滑油になっていました。

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図は前半12分、中村のパスが審判に当たった後の場面です。この少し前に中村がボールを持つと、片山はチアゴと同じ高さまで上がり、FC東京 小川を押し下げました。
その後、エウソンにボールが入ると、外側のレーンに位置を取り、ボールを受けます。

FC東京の最終ラインは人への意識が強かったこともあり、小川をひきつけるとエウソンにボールを戻すと、FC東京 森重と小川の間に出来たスペースをチアゴが使います。
パスは通りませんでしたが、ここでエウソン、片山、鈴木、チアゴでひし形が形成されていました。ボールを持つエウソンからすると、斜めの方向にパスコースがありながら、その奥にもパスがつけられる良い状況になっています。(唯人のところは若干パスを出しにくい状況ですが)

この場面以外にも、お互いの位置関係を意識した動きにより、右サイドでひし形が何度か出来ており、これもうまく縦パスが入れられた要因だったかもしれません。

また、この場面では逆サイドで奥井が幅を取っていた点もよかったと思います。FC東京の田川は逆サイドにボールがある際にあまり絞っておらず、エスパルスからすれば右側で詰まっても、逆サイドに展開することも可能な状況を作れていました。

3.ロープを持った中盤の5人

これまでの攻撃面の紹介で、FC東京の守備における立ち位置について触れましたが、反対にこの試合のエスパルスは立ち位置で隙を作ることが非常に少なかったと思います。

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まず、プレッシングについて少し触れたいのですが、右サイドで先発となった片山の役割はこれまで中山が行っていたものとそれほど変わっていなかったと思います。

前半FC東京は内田に高い位置を取らせるべく、小川が低めの位置でビルドアップに参加する形を取りました。一方で、ボランチの東は前線に顔を出す動きも見せており、エスパルスの右サイドに流れることもありました。

片山は小川にまっすぐアプローチ出来るときにはプレッシャーをかけるものの、背後にいるアダイウトンにパスを出されそうな場合にはそこに留まるという選択を行いました。

しかし、FC東京が内田の負傷交代以降、両サイドバックに高い位置を取らせようとし始めてからは、プレスをかけるより自陣できちんとブロックを固めることが多くなりました。

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そして、自陣に帰陣した際の守備組織を示したのがこちらの図です。
エスパルスのツートップはやや縦関係のような形で片方が少し下がることで、中盤を5枚に近い形にして、中央のスペースとパスコースを徹底的に消しました。
ツートップがパスコースを限定したうえで、ボランチの中村や宮本が縦パスへの網を張っている状況を作ることが出来たため、何度もパスカットに成功出来ていたのだと思います。
ボールを中々保持出来なかったエスパルスですが、この位置でのパスカットから自分たちの攻撃を開始することが出来ており、守備面だけでなく攻撃のきっかけとしてもこの守備組織は重要だったと思います。

また、ボランチがボールサイドにスライドし、縦パスのコースを消すのに合わせて、逆サイドのサイドハーフもきちんとスライドしており、まさにロープを持った選手たちが中盤のスペースを管理していました。
(カルリーニョスが監督から指示を受けていたのもこの部分かも?)

FC東京は高萩が交代して以降、ディエゴが低い位置まで下りてくることが多くなったため、エスパルスからすると助かった部分かもしれません。

4.キャプテンの埋めるエリア

中盤のスペースを管理したエスパルスでしたが、最終ラインでもキャプテン鈴木の危機察知能力が光っていたと思います。

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DAZNの画面上では見えないラインコントロールもあったのでしょうが、気になったのは、クロス対応での位置取り。
相手に自陣左サイドへ侵入された際には誰よりも早く、ゴールエリア角(図赤丸部分)へと移動し、危険なエリアに入るボールを弾く態勢を取っていました。

また、その位置で構えることが出来ているため、この試合でのFC東京 青木のようにハーフスペースへ侵入された場合にも、自陣ゴールと相手選手の間に立って守備対応が出来ていたのかもしれません。

一見地味な動きですが、個人的に良いと思ったポイントでした。

5.勝ちを積み重ねる

待ちに待った勝利は、ほとんどパーフェクトな試合運びによるもので、完勝と呼べるものだったと思います(本当にうれしい)。

依然としてボールを支配し、後方からショートパスを繋いで相手を崩すという場面は多くないですが、これまで取り組んできた攻撃面での立ち位置や守備面でのスペースの管理が結果として実を結んだことは大きな収穫でした。

特に守備面での選手同士の距離感は、ボールや相手の立ち位置が目まぐるしく変わる中でも、連続した立ち位置の修正により成せる業で、過密日程の試合を思わせない集中力は素晴らしかったです。

前節書かせてもらった守備⇒攻撃の切り替えも素早くなっていて、前半終了間際のカウンターもよかったです。

この試合で見せたものを次節も継続し、勝利することがチームの成長のきっかけになりそうな、そんな気がします。

次節 横浜FMはルヴァンで厳しい戦いを強いられた相手。
目まぐるしく立ち位置の入れ替わる攻撃に対して、中盤や最終ラインに綻びを作らせないことや、GKと最終ラインの間に何度も送り込むクロスを弾き続けるか(今回の鈴木の立ち位置なら…)、「まずは守備から」という試合になると思いますが、連勝に期待したいです!

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。




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