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Tactical Scrapbook#2 "El Locoを丁寧にはがす”

こんにちは、El Gran Equipoです。

Tactical Scrapbook第二弾。今回は、2月14日に行われたプレミアリーグ第24節、アーセナル vs リーズ・ユナイテッドから興味深い一場面を切り取っていきたいと思います!

それでは行ってみましょう!

1.ビエルサ率いるリーズの守備

プレミアリーグに昇格した今季、強烈なパワーを爆発させ、90分走り続けるリーズは現在11位と大躍進を続けています。

そんなチームを指揮するのは、通称"El Loco (Loco=Crazy)" ビエルサ監督です。

「サッカーには125のパターンしかない」

DAZNのビエルサ特集見られた方なら、この言葉にしびれたのではないでしょうか。
サッカーに人生を捧げる彼が指揮するチームが採用する守備戦術が、「オールコートマンツーマン」です。

自分の前にいる相手を捕まえに行く、人を強烈に意識したマンツーマンディフェンスで、90分間走り続け、相手を自由にさせない守り方を見せます。

リーズマンツーマン

イメージとしては上図の通りなのですが、リスク管理として、センターバックの1枚を余らせることで、ほころびが生じたところへカバーが出来るような構造を保っています。

24節が終わって失点数は42でリーグワースト2位と、失点数が少ないわけではないのですが、一度見るとそのアグレッシブな守備に心惹かれます。

2.位置取りを止めないビルドアップ

そんな守備に特徴のあるリーズですが、後方からのビルドアップも選手が献身的に位置を取りながら、うまく前進していきます。

アーセナル vs リーズ ビルドアップ:リ

ひょろりと佇む若き守護神メリエを起点に、CBとアンカーでひし形を作り、ビルドアップを行っていきます。
相手のウイングがプレスに出てくることで、サイドバックが空けば、すかさず相手ウイングの頭ごしにボールを展開します。

そんな中でも面白いのが、アンカーの動き。自分がボールを受けることが出来ないと分かれば、スッとスライドし、その背後にいるセンターハーフへのパスコースを作ります。
今節では、アーセナルのトップ下がリーズのアンカーを強めに意識していたため、何度もこの背後を狙う動きがみられました。

3.動きと立ち位置で攻略したアーセナル

このリーズをホームに迎えたアーセナルは、エース オーバメヤンのハットトリックを含む4得点を挙げ、連敗を止める大きな勝利を得ました。

この試合では何度もアーセナルがリーズのマンマークをはがし、決定機を作り出すことに成功していました。
そのポイントは、マンマークを逆手にとった動きと位置取りです。

アーセナル vs リーズ ビルドアップ:ア

この試合のリーズは守備の重心をもう一歩前に出し、片方のサイドハーフが外を切りながら、アーセナルのCBにアプローチをかけていました。
(リバプールのサラーも同じようなアプローチをみせますね)

これに対してアーセナルは、ボランチが縦パスを受け、SBに展開することでプレスをはがしていきます(まさにリバプールのプレス対策と同じ)。
リーズからすれば、相手SBに自陣のSBが押し上げてプレスをかけなければならないところですが、この試合では少し中途半端になってしまいました。
アーセナルからすれば、ここで時間を作ることが出来たのは大きかったと思います。

また、左の中盤に位置したスミスロウが、左に寄りがちなワントップのオーバメヤンとうまい関係を作り、優位な状況を作り出していました。

一度サイドに張った後に内側に入り込むことで、相手右SBをひきつけ、パスを引き出すと同時にオーバメヤンが使えるスペースを作り出します。

オーバメヤンは自分の得意な左斜め45度の位置で、相手右CBと1対1の状況を作り出すことに成功していました(1点目はまさにそのような形から)。

ここでもう一つのポイントとなっていたのが、トップ下のウーデゴール。
左の展開に関わりつつも、中央の位置を大きく外れないことで、相手アンカーをうまくピン止めし、左サイドの攻撃への対応をさせない位置取りをしていました。

図には記載がないのですが、このような位置取りの妙により、空いた前方のスペースをみつけ、ドリブルで運び出すアーセナルのセンターバックも効果的でした。

愚直にマンツーマンで激しく制限をかけ、どんなチームに対しても厄介な相手となっていたリーズに対して、選手の特徴を生かしつつ、相手を動かし、優位な展開を何度も作り出したアーセナル。

特徴的な監督や戦術のしのぎあいがとても面白く、これからも注目していきたい2つのチームの戦いでした。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。



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