見出し画像

押し返す力と形【清水エスパルス vs 横浜FC】マッチレビュー J1 第20節 27.June.21

こんにちは、El Gran Equipoです。

今回は第20節横浜FC戦を振り返りたいと思います。

前節の良い流れをそのままに、3-4-2-1で試合に入ったエスパルス。序盤は前節リーグ初ゴールを取ったディサロを使いながら上手く攻撃を行いましたが、徐々に相手にボールを保持される展開に。

後半は4-4-2への変更と、前節とは反対の流れになりましたが、この形で相手を押し込み、セットプレーから同点に追いつくも勝ち越すには至らず。

チーム状況から考えると勝ち星が欲しいところでしたが、アウェイの地で相手が握りかけた主導権を奪い返し、持ち直したことは良かったと思います。

それでは行ってみましょう!

1.スタメン

画像1

お互いに3-4-2-1を敷き、ミラーゲームとなりました。カルリーニョスはどこかに違和感があったようなのと、ケチャドバへの期待からか、ディサロが先発となりました。
横浜FCにはついに六反が登場。対エスパルスのゴールを守るのは初めてになりましたが、流石のセーブを見せてきましたね。

2.ずらされるシャドーと刺されるボランチ脇

前半はミラーゲームとなりましたが、前線3枚で相手スリーバックのビルドアップに制限をかけたいエスパルスに対して、横浜FCが最終ラインでのプレスを回避する策を講じてきます。

画像2

エスパルス側は、チアゴ、鈴木、ディサロの3枚を相手スリーバックにまっすぐ当てていくことで、ビルドアップに規制をかけていく狙いがあります。

これに対し、横浜FCはボランチのサポートを受けながら、スリーバックが幅を取ることで、エスパルス前線3枚のプレスをずらしてきました。

図の場面ではボランチの高橋が伊野波の脇に下り、唯人のプレスをずらしています。横浜FCはエスパルス前線のプレスを避け、最終ラインで時間を作るとWBを経由する等して、ボランチにボールを入れることで攻撃の形を作りました。

試合開始早々は上手く試合を運べたエスパルスでしたが、徐々に押し込まれてしまったのには、相手のビルドアップが安定したことにあると思います。

エスパルスは相手にボールを保持されれば、一旦シャドーの選手も帰陣し、ボランチ脇のスペースを埋める約束になっているはずですが、今節ではシャドーがボランチ脇より少し高い位置に留まる場合が多く見られたように思います(ボランチとシャドーの距離(ロープ)が少し離れている状態)。

相手ボランチに前向きでボールを持たれた際に、中盤のスペースを管理するのが、竹内と宮本だけになってしまうのは少し苦しく、ボランチ脇に下りてくる横浜FCの前線3枚へ斜めのパスを結構通される展開となりました。

最終ラインの前でのフィルターの役割が上手く機能しなかったとは言えるのですが、エスパルスのスリーバックは中央をしっかりと絞めており、決定的なチャンスは殆ど作らせず試合を進めることは出来ていました。

3.スローインで見せてしまった一瞬の隙

相手にボールを持たれる展開となりながら、辛抱強く守っていたエスパルスですが、先述した守備時のシャドーの立ち位置により一瞬の隙が生まれてしまいます。

画像3

これまでの試合では、竹内の背後のスペースを埋めているはずのディサロが、ここでも前線に残った状態になっており、下りてきた横浜FC ジャーメインに広大なスペースを与えてしまうことになりました。

結果的にスムーズにサイドチェンジをされてしまうことになり、中山の守備対応が遅れただけではなく、スリーバックのクロスへの対応も後手になってしまったように思います。
サイドチェンジに応じて、DFラインをボールサイドへスライドさせる過程で、相手攻撃陣のマークも確認することにはどうしても難しさが出ると思うので、このような形でのサイドチェンジは出来るだけ防ぎたいところでした。

4.仕切り直しの後半とプレス角度の修正

攻撃は悪くはなかったと思いますが、前線からのプレスが思ったようにはまらず、今節ではハーフタイムに3-4-2-1から4-4-2への変更がなされました。

画像4

これにより、攻撃面では特にサイドで相手に対して数的優位が作りやすく、相手を押し込んだ際に攻撃にかける人数を増やすことが出来ます。

守備面では、幅を取ってエスパルスのプレス隊を困らせた横浜FCのビルドアップに正面からはめることが出来るようになりました。

画像5

エスパルスからすれば、これまでの4-4-2におけるプレッシングと同じなのですが、この形であれば、チアゴがボランチをケアしつつ、両サイドハーフがタイミングを見て出ていくことで、幅を取った横浜FCのCBへ正面から制限をかけることが出来ます。

もちろん、サイドハーフが出てしまうとその背後でWBが数的不利になってしまうリスクはあるのですが、相手にボールを持たれて後退を余儀なくされることはなくなりました。

4-4-2への転換により、攻撃的な布陣とするだけでなく、守備面でも効果が出た場面でした。

5.前後半共にサイドで優位を作り続ける

守備では相手の攻め方に対してシステムを変更し対応しましたが、攻撃のテーマは試合を通して、「如何に相手の脇を取り、崩していくか」という点だったと思います。前後半ともに、サイドを起点に相手を攻略する試みが見られました。

横浜FCは守備時に5-4-1の形でブロックを形成することが多く、これまで通り、エスパルスは原を押し上げて、右サイドでの崩しを中心に狙いました。

横浜FCは人数を揃えて構えている状況ですが、ディサロが横浜FC 瀬古の脇に立ち、原が幅を取るとジャーメインを困らせます。
宮本が原へボールを出すと、ジャーメインの背後を取った原にWBの高木が出てきます。
原はディサロへパスを出すと、横浜FC 高木の出た背後を使った中山へパス。
今度はここに袴田が飛び出していくのですが、これにより韓浩康との間にスペースが出来ます。
ここにディサロが走り込み、相手ペナルティエリアの角あたりの危険なスペースを攻略することに成功しました。

システムを変更した後半も同様に右サイドを攻略し、相手の危険なスペースに入り込む攻撃が出来ていました。

画像6

この場面でも、相手ブロックの脇に立った、中山にパスを付けるとジャーメインが内側に絞ったため、ボールを受けた宮本は原に展開します。
原にボールが渡った後は、先ほどと同様に、引き出された高木の背後へ中山が出ていきます。
中山には袴田が引き出され、生み出されたスペースには原が飛び出し、再び危険な位置でボールを受けるとクロスまで行くことが出来ました。

いずれも得点には至りませんでしたが、人数を揃えている相手にも一つ一つ相手を引き出し、生まれたスペースを突いていき、危険な位置に侵入する崩しの狙いがありました。

この他にも、前節 仙台のシャドーが見せたような、相手ボランチの脇でビルドアップの中継地点になる役割をディサロが担ったりと、右サイドの攻撃ののパターンは増えていると感じます。

6.積み上げと共にホームでの6ポインターへ

相手の状況や残留争いを考えれば、願わくば勝ちたかった試合でした。
しかし、前半は自分たちで主導権を握ることが難しかった展開を、再びシステム変更で流れを取り戻し、押し返したことにまた積み上げを感じました。

セットプレーもマンツーマン守備を敷く横浜FCに対して、ニアとファーに高い選手を置き、2つの山の間にボールを落とすような工夫も見られました。

次節はいつも苦しめられる大分が相手ですが、ホームで勝利し降格圏からの距離を引き離したいところです。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?