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スティーブ・ザックという選手の分析


はじめに

  先日、コーチ陣に関する記事を出したところ想像以上の反応がいただけて嬉しい驚きでした。本当にありがとうございました。
 
 さて、東北カップや2023-24シーズンに向けて契約継続になった選手や新規にハピネッツが獲得した選手のことを調べるのがこのシリーズになります。
 筆者はバスケ未経験(高校まで野球部)で、NBAを見ておらず、ハピネッツを応援し始めたのが19-20シーズンの冬からという人間ですので、間違いがあれば優しく教えてください。

 
※記事中では基本的に敬称を略します。
※スタッツ等で略語を使用するときはこちらを参考にしています。


スティーブ・ザックの基本情報

 今回、取り上げる選手は”兄貴”こと#00 スティーブ・ザック選手(以下ザック)です。
 
 
 ザックはシーズン開幕前に契約解除となったアミダ・ブライマー選手に代わり獲得された選手となります。
 開幕直前に急遽加入してくれた選手ですが、見事な活躍を見せブースターからも愛された兄貴。契約情報&基本情報はこちらです↓


ザックの基本スタッツ
左から平均の出場時間、得点、フィールドゴール成功率、3ポイント成功率、
リバウンド、アシスト、ブロック、スティール、ターンオーバー

※参照元:Bリーグ公式サイト

 アミダのことはハイライトで見ただけですが、タイプが違うCだと思うのでハピネッツがどうして彼をアミダの後釜にしたのかはわかりませんが大活躍のシーズンでした。
 規定出場試合数51試合(B1リーグ戦の85%以上)以上を出場した選手の中で、リバウンド(RPG)が3位(11.0)、アシスト(APG)が13位(4.5)に加え得点(PPG)も二桁のため(10.6)、得点とリバウンドでの平均ダブルダブルも達成しています。
 またトリプルダブル達成は20-21シーズンのコールビー以来Bリーグ以降のハピネッツでは史上3人目です。
 

※参照元:Bリーグ公式サイト


ザックのどこに注目するか

 「ザックの特徴と言えば何?」と聞くと「気持ちの熱さ」、「豪快なダンク」もありますが、「アシスト」と答えるハピネッツブースターは多いと思います。
 筆者は島根戦での4Qの勝負所で華麗なピンポイントパスから得点を生み出したシーンで今季の外国籍は違うぞ…!と思いました。(直後にゴールポストにボールを投げつけ、テクニカルファウルを宣告されたのを見て爆笑した)
 以降、「古川のバックカットへのザックのパス」は親の顔より見たプレーと言っても過言ではないくらい今季の秋田のオプションになり、ある試合の解説では「ザックはコート上のコンダクター(指揮者)ですね」と言われることもありました。
 
 ザックのアシスト数は先述の通りリーグ13位、秋田ブースターにわかりやすく東地区で言えば群馬のトレイ・ジョーンズより下(4.8 11位)、宇都宮の比江島(4.2 17位)より上です。
  
 ではこれから①22-23シーズンのハピネッツ所属選手、②Bリーグ以後のハピネッツ歴代外国籍選手、③22-23シーズンのBリーグの外国籍選手と比較していきます。

①ハピネッツ所属選手との比較

 

歴代外国籍選手との比較

 おそらく「ザックのアシストが印象深い」のは歴代の外国籍よりも何かしらスタッツ上アシストに関して優れている部分があるからだと思ったので、まずは歴代のハピネッツ所属の外国籍Cとの比較をしていきます。
 

青はワースト、ピンクはトップの数値


 左から出場時間、得点、フィールドゴール成功率、3ポイント成功率、フリースロー成功率、リバウンド、アシスト、ブロック、スティール、ターンオーバー、アシスト/ターンオーバーです。
 
 比較対象はシーズン終了時に所属していた選手、そしてB1所属時の選手としています。17-18シーズンはB2で当時の勝利記録を打ち立てていたので流石に参考にならないと思い省きました。また、18-19シーズンはコールビーとキーナンのどちらにするか迷いましたがどちらも掲載しています。

 ザックはリバウンドアシストで1位でした。

 一番右の列は見慣れないスタッツですが、AST/TO(アシスト/ターンオーバー)という数値でこれもトップです。
 アシスト/ターンオーバーとは、バスケメディア『バスケットカウント』によると、

理論上、手からボールが離れるほど、つまりパスを供給するほどにターンオーバーが発生する確率は高まる(しかもライブターンオーバーであることが多い)ため、この数値が高い選手はオープンの選手を見つけ出す能力に長けており優れたボールコントロール能力とバスケットIQを持つ選手であることがわかる。AST/TOを求める計算式はアシスト÷ターンオーバー。

引用元↓
「数字で見るBリーグ」ボールコントロール能力&良いプレーメーカーかどうかが一目瞭然? アシスト/ターンオーバー比率に注目! - バスケット・カウント | Basket Count (basket-count.com)


 このAST/TOが高いザックは、歴代ハピネッツの外国籍Cの中で最も的確なパスを出すのが上手いCであると言えます。
 アシストの数だけでなくパサーとしての質も高いということですね。
 これが「ザックのアシスト」の印象が強い一因でもあると思います。


 ザックのAST/TOが高い理由を考えると
①キーナンのようにエースではない→最終的なプレー選択が自分のシュートになりにくい
②B1下位時代よりもチーム全体のレベルが上がり、チームオフェンスが上手くなった
ということがあると思います。
 ①に関してキーナンはCと言いつつ3Pも得意なスコアラーでしたし、彼がいた2シーズンはペップ→前田HCの転換期ですので、前田HCの掲げる「日本人が点を取るバスケ」が浸透していなかったのかもしれません。
 ②について、退団となってしましたが、ケビンACの功績が大きかったのかなと思います。NBLで一番点を取るチームを作ったコーチでしたし。
 

22-23シーズンのハピネッツ所属選手との比較

 では次に昨季のハピネッツの中でザックがパサーとしてどれほどだったのかを見ていきます。
 まずは基本スタッツから↓

トップ3はピンク、ワースト3は青

注)小栗のみB1の試合では出場時間が短すぎるので、金沢でプレーした際のスタッツにしています。

 ザックは出場時間も長く、外国籍選手なので多くの項目でチームの中では当然トップ3に入りますね。
 これではアシストに絞っての比較がやりにくいので、次にアシスト、ターンオーバー、AST/TOのみの表です。
 ※AST/TOの順に並べ替えています。


 

 アシストの数ではザック(4.5)、中山(4.0)、川嶋、小栗(2.6)の順ですが、AST/TOは中山(3.1)、伊藤(2.8)、長谷川(2.4)でした。ザックはアシストの質ではハピネッツで真ん中くらいということになります。
 純正PGではない中山が1位なのは凄いですね。基本スタッツの表からもわかる通り正にオールラウンダー、大車輪の活躍です。

 今季はザックが質的にもチーム内トップになることを期待してます。
 昨季はシーズンが進むにつれて古川以外にもザックとの合わせを行う選手が増えましたし、開幕直前に合流した昨季より連携のレベルも上がると思いますしね。




②Bリーグでの比較

 次は他チームのCと比べてどうだったかを見ていきます。
 先ほど同様、まずは基本スタッツから

青がワースト3、オレンジがトップ3、CS出場チームは色付け

 規定出場試合数や規定試投数を考慮していないので所々参考値っぽい数値が出ているのはご了承ください。
 比較対象はB1チームのCまたはC/PF登録の選手で、多くの試合に出て、出場時間が長く、そのチームの中でのメインのCと考えられる選手にしようと思いました。
 新潟のコーバーンや滋賀のブバが入っているのはそういう訳です。
 
 他にも表を作成するうえでの難しい点が色々ありまして…

・A東京はサイズとロシターがほぼ同じ出場時間な上に純粋なC登録は3番手のカーク
・三河に至ってはCがポジションに含まれるのがシェーファーのみだったり(ガードナーってC/PFじゃねえのかよ!ってなりました)
・川崎もファジーカスとヒースが(怪我人が多かったこともあり、)出場時間が二人とも30分越え
・川真田は滋賀で一番出場してるCだし日本代表だから出場時間少ないけど入れとくか
などなど…


 怪我でやりくりが大変なチームがいたこともあってなかなか誰と比較すべきかが決めにくかったです。


 裏話はさておき、AST/TOが高い順に並び替えると…



 
 AST/TOはロシター(3.2)、ケイ(3.1)、ムーニー(3.0)と3.0越えが3人います。ロシターはアシスト数でザックに迫る4.2を叩き出していることからも彼の優秀さがわかります。流石元日本代表。
 ケイもオーストラリア代表でバスケIQが高いとよく言われる選手ですし、納得ですね。
 ムーニーはそもそもTOが1以下です。ザックと同じで30分近く出ているのにすごいですね。
 
 ザックはアシスト数でトップ。そして純粋なC登録の選手の中ではAST/TOもトップですが、AST/TOでは彼らとは大きな差があります。
 彼らはBリーグで数シーズン過ごしていることを考えると、今後ザックが更にBリーグに馴染めばこれくらいの数字を出すこともあるかもしれません。



 

③アシストランキング上位との比較

 最後にアシストランキング1~12位の選手たちとAST/TOを比べてみます。

CS出場チームは色付け

 並べてみると、アシストランキング1~10位の選手がそのままAST/TOでもトップ10でした。(もちろん14位以下の選手も含めると変わってくると思います。)
 なんと1位は横浜の森井。怒涛のAST/TO4.5でした。河村がコートにいない時間に彼が正確なゲームメイクで場を繋いでいるということなんでしょうね。様々な記事で横浜の裏MVPとして賞賛されていますが、数字にするとその凄さがわかります。
 河村、ビュフォード、ニュービル、ジョーンズなどは自身がチームの得点源でもあるため、自然とターンオーバーも増え、AST/TOは低くなっていると推測できます。この辺はUSG%(その選手でオフェンスが終わった割合)を計算できればよりわかりやすくなるのかなと思います。(計算できるとは言ってない)
 ②で比較したロシター(3.2)、ケイ(3.1)、ムーニー(3.0)はアシスト数こそランク外ですが、パスの正確性では数値上、並里より上となります。3人のバスケIQが高いということがよりわかりますね。

 

 アシスト10位以内の選手はASTが4.9以上AST/TO2.2以上ですので、ザックが今季アシストトップ10に入るとすれば、それくらいの数字は欲しいということですね。
 ザックはエースとして得点でもアシストでもチームを牽引するわけではないことを考えると、ターンオーバーは昨季と同じかそれ以下に抑えられるとより良いかと思います。
 



終わりに

 スティーブ・ザックという選手のことをアシストという観点から見てみました。
 個人的にはザックは十分凄いと思っていましたが、リーグの中で比べるとまだまだ上を目指せるのではないかと来季に向けて期待が増しました。

 今回、公式サイトに載っているような基本スタッツから一歩踏み込んだスタッツを調べてみて、また新しい発見ができて楽しかったので、皆さんも自分の推しチームで調べてみてはどうでしょうか。きっと新しい発見がありますよ。
 

 シーズン開幕前までは自分が気になった選手・スタッツについて調べていくつもりです。次回は赤穂選手の記事を予定してますのでお楽しみに。
 いいねやコメントお待ちしてます。
 

 ではまた次のnoteでお会いしましょう。へばな!



筆者Twitter:@equal_5240

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