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自分を科学する「自己認識」

今回は、感情を科学するEQ理論から「自己認識」について触れてみたいと思います。

「自己認識」は、自分を科学する=Self Scienceの第一歩とも言えます。「自己認識」の鍵とも言える「思考・感情・行動」のフレームを用いてお伝えしたいと思います。
心理学や脳科学の研究によって思考・感情・行動は常に影響しあっていることが明らかになっています。

自己パターンを認識する

普段の私たちは思考・感情・行動のパターンを持っていて良くも悪くも反射的に繰り返しています。
例えば、私は
駅で歩いているとき自分の前に自分より遅く歩く人がいるとイラッとし(感情)、この人は自分の歩く遅さを分かっているのか?と考え(思考)、その人を抜こうとする(行動)。
会議などでステレオタイプ的なミスリードの発言を見逃せず(思考)、イラッとした後(感情)、別の方法や考えがあることなどを提案(行動)します。
このようなパターンをとみなさんも振り返ってみると思考・感情・行動のパターンを持っていませんか?

私たちの脳は、体重の5%程度の質量なのに対して1日のカロリーの20%も消費していると言われ、非常に燃費の悪い臓器です。人は新たな知識を得たり、その場その場で思考を巡らせるときにカロリーを多く消費します。楽しく学びの多い研修を終えて落ち着くとドッと疲労を感じるのはそのせいです。
ですから、普段の私たちの脳は省エネで動くためにパターンを無意識下で動かす自動運転をしています。

このパターン化された思考・感情・行動の自動運転が上手く機能していれば良いのですが、必ずしもそうではないと思います。ついつい繰り返してしまう失敗パターンや悪い癖というのがあったります。

自己認識」の初歩の段階は、振り返り(Reflection)を行い自己のパターンを認識することです。これは、自己認識=自己パターンの認識と言ってもいいほど重要なことです。上手くいっている思考・感情・行動のパターン、またその逆を書き出すイメージで、感情的な出来事を振り返ってみると良いでしょう。

上手くいっているパターンを自己認識することで再現性を高め、自己をより良い方向へ導くことができます。逆に失敗パターンや悪い癖を認識し、思考・感情・行動のいずれかを変えることで自分に変革をもたらすことができます。

自己を客観的に観る

「自己認識」の次の段階は「日常的に自分を客観的に見ているもう一人の自分がいるように自己を認識する」=メタ認知です。先に述べたようにメタ認知自体もそうですし、メタ認知したことをその場に合わせて変えていくことは脳にとっては大きな負荷(ストレス)になります。そのため、メタ認知はストレス耐性があるか、ストレスの少ない環境でないと上手く機能しません。
例えば、非常に忙しいときや、高いストレス状態では自分を客観的に観る余裕などなく、メタ認知どころではありません。

メタ認知で重要なポイントは「感情に目を向ける」ことです。
私はよく研修のロールプレイの後に「今何を感じていますか?(What are you feeling?)」と聞くことがあります。多くの場合「〜が難しかったと思います」「次にどうやったら上手くいくか考えています」「〜はよかったと思います」と殆どの人が答えます。これは「思う」「考えている」と言っているので、思考したことを答えています。
「〜が難しくて悔しかった」「次にどうするか悩んでいる」『〜が上手くできて嬉しい」が感じていることであって感情を答えています。
このような場合、感情を答えることで、そのことに対する自分の評価を明確にし次の行動や思考を導くことができます。例えば、

「悔しかった」→簡単にできるように繰り返し練習する
「悩んでいる」→本当の意味で理解できていないことがある、聞いてみよう、調べてみよう
「嬉しい」→「できた」という成功体験を実感し自信に繋がる

といった具合です。

日本における「自己認識」の課題

日本人のEQのデータから明らかになっていますが、40~50代のサラリーマンは、感情に蓋をしてアクセス出来ない人が多くいます。
こうした人は、思考・感情・行動のパターンを認知しようとしても構成要素の一つである「感情」が欠如した状態になり、自己パターンの認識やメタ認知が深く行えず自己理解が浅くなります。
自己理解が不足していて、振り返りや内省ができず自己成長や自己変革できない管理職やリーダーがいたらどうでしょうか? 自分の近くや会社にいたら困りますよね!?

頭で解っていても出来ない(やらない)ってよくありますね!?いくら思考して頭で理解しても行動には結び付きません。
一方で、理由はないけど「したいと思ったから」「好きだから続けている」ってありますね。思考と行動だけでは不十分で、感情が伴って人は行動に移すことができます。論理的に考えれば正しいことも感情が伴わない行動は長続きしません。

振り返りによる自己パターンの認識にてしても、メタ認知にしても思考・感情・行動が揃ってはじめて機能します。感情について学ぶことも感情にフォーカスすることも一生を通じて極めて少ないのが日本の現状です。
論理的に考えることも熟考することも大切です。行動を変えたり習慣化することも大切です。それと同じように感情にも目を向けてみるとより深い内省ができ、自分をより一層成長させてくれます。

自己認識力や内省する力が弱いなぁと感じられる方は、思考・感情・行動のパターンを振り返ることからはじめてみてはいかがでしょうか?

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記 THdesign 代表 三森朋宏
シックスセカンズ アドバンスEQファシリテーター
シックスセカンズジャパン データ分析センターフェロー

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