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「男性の生きにくさ」にどう向き合うか

SNSやセミナーなどの場で、「女性の生きくさ」について発信する機会が多いのですが、最近よく聴かれるのは
「男性も生きにくいですよね」
「男性の生きにくさについてどう思いますか?」
「男性の支援もやっていく必要はあると思いますか?」
などの、「男性の生きにくさ」についての質問や意見。


毎回、文脈も異なるのですが、この数週間でこの質問を私にしてくださった方(いずれも女性)の立ち位置も様々。
①「女性の生きにくさ」ばかりを主張するフェミや女性支援者に対しての疑問と少しの不満。
②子育てや介護などの負担によりジェンダー問題に関心を持っているのだけれど、心のどこかで「そんな主張して大丈夫かな」という不安も持っている。「夫にも感謝しなきゃ」「自分が育児休業が取れるのはその分男性社員が稼いでくれているから」と思い、そんなプレッシャーがある男性たちも確かに気の毒だ、と思っている。
③男性たちの生きにくさはあるだろう、だけれどなぜそれを女性が解決してあげなきゃいけないのか。男性だってジェンダーについて学び、自分たちでアクションを起こせばいい。

「菅原さんは、どう思うのですか?」
と聴かれると、かなりスタンスとしては、真ん中。中途半端な立ち位置にいるなーと思います。
だから、ジェンダーに関心のある人の中では、かなり男性に優しい(いいのか、悪いのか、わからないけれど)と感じています。
※長くジェンダーのことをやっていても立ち位置・スタンスが変わることがたまーにあるので、このテーマも色々な方々と議論しながらその時その時の自分のスタンスを明らかにしていきたいと思うのです。

「真ん中、中途半端」と自分のスタンスを評価したのですが、どんな尺度において「真ん中、中途半端」かと言いますと…

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縦軸に、「男性の生きづらさが存在すること」を認めるか、認めないか、ということ。
横軸に、「男性の生きづらさに配慮?コミット?する必要」があると考えるか、ないと考えるか、ということ。

縦軸の「男性の生きづらさが存在すること」については、多くの人が「まあ、存在するよね」と思われていると思います。
自殺率が高かったり、過労死が多かったり。
女らしくない女以上に、男らしくない男への風当たりは強いとも思います。
でも、だからと言って、女性の生きづらさと同等に考えるべきか、というのは悩むところです。
上野千鶴子さんは、「社会的弱者」を「自分のことを自分で定義づけることができない人」と表していました。
自己定義、自己決定できないことを社会的弱者というならば、男性の生きにくさは強者ゆえの強さのようにも思えるのです。
「そこから降りたら?」と言いたくなるような生きにくさ。
しかし、そこから降りた者への社会からの風当たりは強く、さらに男性自身がそこから決して降りてはいけないと教育されています。

そして、横軸の「男性の生きづらさに配慮?コミット?すると思うかどうか」ですが、ここの私の意見が、男性に優しめなんです(と思う)。
ジェンダーに関わる活動、特にフェミの中では、③みたいな意見が多いように感じています。
「男性だって生きにくいんだ!」という声に対して、
「なら、女性が自分たちでジェンダーを学び、自分たちで生きやすくなるようにアクションしてきたように、男性たちも繋がって学び、アクションを起こしなさいよー。どうして、女性が男性の生きにくさまで面倒みなきゃいけないの?」
という考え方。
おっしゃる通りです。私もそう思います。
でも、スッキリとその通りに割り切れない自分が確かにいるのです。

話は変わりますが、「女性の生きにくさ」についての文脈に対して、
「でも女性たち自身も変わらなきゃ」
「女性たちがそう望んでないじゃない」
「女性がもっと自信を持って、自分から手をあげなきゃ」
という意見を聞くことがあります。
おっしゃる通りです。
でもね、私たちそうやって育ってないんだもん、という気持ちになります。
小さい頃から、周りに気を配りなさい、男性や目上の人を立てなさい、出しゃばったら可愛くないんだから、…って育ったんだもん。
私たちが選んだんじゃなくって、社会が私たちをそう育てたんでしょ?だから、もうちょっと待ってよ、という気持ちになるんです。

そのことを考えると男性も同じなのかなーと思うのです。
男性たちは、小さい時から、弱音を吐くな、強くあれ、あいつは友達じゃなくてライバルだ、勝負に勝て、…と育てられたら、そりゃあ自分の弱さを認められないよ、認めたら死ぬよ、弱い者同士繋がれないよ、とも思うのです。
だから、私のスタンスは「真ん中、中途半端」。

とは言え、パワーを持った男性が「男性だって、妻や女性社員の分、長時間労働して稼がなきゃいけないから大変だよ。」と言われると、こらっと思うのです。
パワーがある人から、弱さを認めればいいのに、と。

ジェンダーの学習会をすると、女性がほとんどです。
そこに参加してくださる少数の男性には、頭が下がります。
一緒に闘えると思えるのです。
でも、女性がジェンダー問題に、多くの時間や思いや労力を費やしているのに比べると、やっぱり男性にはもうちょっと意識したり学んだりしてほしい。
これは私たちの共通の問題なので。


若い世代は、男の子たちも変わってきていると思います。
年長男性がその時代の変化を感じてくれればいいな、と思います。

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