【ゲーム】Scanner Sombre
先日、Steamでセール中だったScanner Sombreを買いました。どんなゲームかというと、障害物までの距離を探知できる不思議な「スキャナー」を使って、真っ暗闇の洞窟のなかを探索して出口を探すという一人称ウォーキングシミュレーター。これは、動画を見ていただくのが早いと思います。
手にした装置から四方にレーザーのようなものを照射すると壁に当たったところが発光するので、そこから地形を読み取ってどんどん進んでいく。とはいえ、難しいアクションだったりパズルの要素はほとんどないので、ゲームと定義するよりはインタラクティブな体験という感じ。インディーゲームでよくこういうタイプのものは「雰囲気ゲー」なんて揶揄されることがありますが、わたしはこの手の作品がめちゃくちゃ好きなのです。作者が作った空間を探索するということ自体が好きなんだな。
暗闇でスキャナーを使う(マウスの左ボタンを押し続ける)と…
こんな感じで、更に奥に進めることがわかる
PS3でThe Unfinished Swanというゲームがあったんですけど、体験としてはあれと似ています。あれは真っ白い空間にインクを撒いてステージを可視化していくゲームだったので、本作とは正反対といえますね。
ちなみにThe Unfinished Swanはすごく3D酔いするゲームでしたが、Scanner Sombreは全然酔わなかった(個人の感想です)。
光がチョーキレイ
エンディングまでは4時間ほど。とにかく「スキャナー」というワンアイデアで突っ切る作品なだけあって、正しいルートを探してウロウロするという行為そのものが楽しい。そしてスキャナーを使ったときの視覚効果が美しいのです。
また、3D迷路のような作品かと思いきや、実際にはほぼ一本道で、道中手に入れることができるマップアイテムを使えば、私のような極度の方向音痴でもクリアすることができます。暗闇や閉所がニガテな方は…どうだろう…。Steamのストアページに「ホラー」というタグがついていますが、いわゆるホラーな要素はほとんどありません。ただ、暗闇を照らすと急に人影が浮かび上がってヒャッとなることはある。
急に怖いよ!
でもなんか、ヴァーみたいな死体だとか、追いかけ回されたりとかそういうやつではないので大丈夫です。私もそういうのだめなんだ。
ほどよくエモーショナル
「Gone HomeとDear Estherにインスピレーションを受けた」と紹介されているとおり、本作にはナラティブな…つまり、ストーリーテリングによってプレイヤーを導いていく要素があります。
最初にプレイヤーが目を覚ますのはテントの中。そこには少しの食糧と、あまり十分とは言えないいくつかの物資、それに妻子の写真がある。洞窟を探索していくにしたがって、画面上には時折意味ありげなモノローグが字幕のように表示され、それとともに、何もないと思われた洞窟内にも明らかに人工的な構造物が現れたり、過去の何かの記憶がレイヤー状に重なって表示されたりする演出がある。これによって、単なる3Dウォーキングシムではなくて、物語を紐解いていくおもしろさも同時に体験できました。
中盤、ボートで下っていく場面は音の演出も特に美しい
ただ、お話としてはそこまで凝ったものではなく、細かい部分については想像の余地を残すようなものでした。この余韻は確かにDear Estherと似ています。
さいわいScanner Sombreのストーリーはすべて日本語化されているので、その意味でのもやもやは残りません(Dear Estherのときは英語でめちゃめちゃ畳み掛けられたので全然わからなかった)。最初に言語オプションで日本語を選択することをお忘れなく。
VR対応
でなんかこれ、VRに対応しているらしいんですよね…。うちにはVR機器がないので体験できませんが、確かにVRで遊んだらかなりおもしろそう。とにかくこう、暗闇を手探りで照らしていく感覚が合いそうです。
◆ ◆ ◆
大作というほどではない、あくまでも良くできたささやかでアーティスティックな作品なので、980円が高いと感じるかどうかは人それぞれですが、そのうちまたセールになったときは迷わずおすすめしたい作品です。
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