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テクノ新譜試聴メモ:2020-09

テクノじゃないんだけど、9月はLast Lifeのファーストアルバム"Recon"がSamurai Musicから出たのでよく聴いていました。ダークで硬質なインダストリアル系レフトフィールド・ドラムンベース。Homemade Weaponsほど冷たくなく、Tornほどおどろおどろしくない世界観で、ようやく一貫した作風を知ることができた。アルバムの意義は大きい。カッコよかった。

特に好きになったのが5曲目の"Escape"。強拍を敢えて外した引き算のようなグルーヴになっていて、DJでほかの曲とミックスするのが楽しみになる。ラストのHomemade Weaponsとの共作も相乗効果が表れていて痺れる。

テクノで聴いていたのは6月に出たDivideのアルバム"Computer Music"です。Divide自体ごく最近知ったのでリリース当時は見逃していたんだけど、ちゃんと聴いたら今どき珍しい(こともないかもしれない)血沸き肉躍る真の男のためのハードミニマルだった。こんなの、大好きなやつじゃん!

モダンテクノの繊細な音像とは相反する、90年代後半のDownwardsサウンドをそのまま持ってきたような、全体をガッツリ潰したラフなサウンドを貫いている。と思いきや、10曲目の"Processo"では上下にピッチが揺れるトランシーなシンセパッドが意外だったり、最後の美しいアンビエントトラックも食後のお茶のような安心感があったりして、アルバムとしてのストーリー構成も良かった。いまハードミニマルでいいアルバムある?って訊かれたら、まずこれかも。


Hertz Collision - Instability [Truncate]

基本的にTruncate自身の曲しか出さないプライベートなレーベルと思っていたから、急にイタリアの若手Hertz CollisionのソロEPが出てびっくりした。確かにTruncateが好きそうなシカゴスタイルのジャッキンなミニマルもあり、この曲みたいにピコピコした発信音系のウワモノが畳みかけるドライビングテクノもあって、推せる。今後どういうアーティストをピックアップしていくのか興味ある。

Andrea Belluzzi - Boom Boom Bells [Genau]

Andrea Belluzziの新曲は不協和音のアルペジオが奏でる不穏なベル音色が癖になりそうな、ヒプノティック系ツールトラック。Genauは北イタリアのトリノ(Turin)に本拠を置くパーティー/レーベルだそうで、この曲もレーベルコンピ"Delta"のうちの一曲。見慣れないアーティストも多いけれど、聴けば確かにローカルシーンの汗と熱気が伝わってくるようだ。

Spotifyプレイリストも更新しておきました。
興味のあるかたはプレイリストを追加してみてね。

「テクノ新譜試聴メモ」は、R-9が習慣的に行っている新譜チェックのなかから、気になったトラックについて個人的な覚え書きを残しておくものです。原則としてBeatport上で当月内にEPないしアルバムとして新規にリリースされたものが対象。通常は楽曲単位での紹介、まれにEPやアルバム単位で紹介することもあります。

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