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中国の原子力産業に対抗できるのは日本企業のみ

急成長する中国の原子力産業


エネルギー関連ニュースを毎日調べているが、またがっかりする情報があった。原子力で中国の原子力産業の成長が続いているのだ。

原子力プラントを作る中国核工業建設(中国核建)が昨年末に事業報告と2023年の予定を発表した。同社の手がける建設中の原子力発電所が、同年に同国内で30基以上になるとの見通しを示した。国の「第14次5カ年計画(2021−25年)」の最後には40−50基に達するとしている。

同社は海外市場の開拓も成功している。パキスタンでは昨年2基の建設が完成、これまで6基を建設した。パキスタンでの建設は中国企業にとって海外初のプロジェクトで、そのうち1基は同社独自技術の「華龍1号」という新型軽水炉だ。22年にはアルゼンチンの国営原子力発電会社と原発1基を建設する契約が成立し、今年着工の予定だ。

中国には他に国家核電技術公司という、米国ウェスティングハウス(WH社)の新型軽水炉AP1000をベースにした新型原子炉を建設する会社もある。ここも現在国内で4つの建設を進め、海外に売り込みをしている。

ある国や企業の発展は喜ばしいものだ。しかし中国共産党政権が日本に軍事的威圧を加えて世界平和の撹乱要因になっていること、この政権が原子力産業の振興を国策としていること、日本の原子力産業が衰退していることを考えると、この会社の成長は心穏やかではない。

建設数で中国は30基、日本は1基


国内で30基を建設する中国に比べて、日本は電源開発の大間原発(青森県)の1基のみだ。海外への売り込みでも、現時点では一つも成功していない。

中国の産業に………

・日本の原子力の停滞、理由は政府のためらい
・中国の原発輸出、政府の全面的支援
・経済安全保障、中露封じ込めを原子力で考えるとき

作者:石井孝明
ジャーナリスト。経済・環境問題を中心に執筆活動を行う。時事通信社、経済誌副編集長、アゴラ研究所のGEPR(グローバル・エナジー・ポリシー・リサーチ)の運営などを経て、ジャーナリストとして活動。経済情報サイト「&ENERGY」を運営。著書に「京都議定書は実現できるのか」(平凡社)、「気分のエコでは救えない」(日刊工業新聞社)など。記者と雑誌経営の経験から、企業の広報・コンサルティング、講演活動も行う。

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