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最近聴いて良かった音楽(22/09)

最近聴いて特によかった音楽を徒然なるままに書くコーナーです。新旧混合。


海童道-海童道祖老師

友人が突然Discordのサーバーで流したことで知った。尺八の名手。

海童道祖老師は「音楽はつまらんですな」などと言ったという日本音楽界きっての変人。独自の哲学(海童道、わだつみどう)持っており、彼の演奏も既存のどの流派にも属さないオリジナルのものだったらしい。型破りな演奏はケージや武満などの現代音楽家にも影響したそうな。このEPからも彼の独特の世界観が伺い知れる。

自由奔放に吹きながら何かしらの見えないルールに沿っている様はさながら自然そのものと融合しているかのよう。ある種の「畏れ」を感じさせる演奏だ。


江戸-松武秀樹,今藤小苗,小松原まさし

和風なアルバムというと色々あるが、これはそのものずばり江戸。四人目のYMOの異名を持つ松武秀樹も参加している、和風インストのはしりとも言える作品。

三味線+シンセサイザーで紡がれる、東海道から江戸への旅とその町の美しい様子がアルバム全体で表現される。三味線の節回しに合わせて聴こえてくる、和太鼓や篠笛のようなシンセサイザーの音が白眉。

江戸とは言っているが最新技術と伝統の調和ということで特に浅草近辺の様子が思い浮かぶ。個人的には音の質感的にもプログレバンド新月を思い出す。冨田勲好きにもおススメかも。

サブスクにはないものの最近レコードが初めて再発したので、是非手に入れてみよう。


夜の如庭/SUGAI KEN

和風トラックメイカーでお馴染みのSUGAI KEN氏の作品。emレコードから出ている。

コオロギや鈴虫など、夜虫の音をシンセサイザーでシーケンスを組んで再現した作品。つまりフィールドレコーディングを一から作ったのだ。いわば人力フィルレコ

また虫だけではなくカエルの鳴き声など、他の音の再現度も高い。さながら夜の庭を眺めているような感覚になること請け合い。

残念ながらサブスクにもYoutubeにも音源はなく在庫もなかなかない、聴くハードルの高いアルバム。運よく巡り合った際は迷わず買ってみよう。


KOMPU SATKE MENOKO-アペトゥンペとパパイヤ・マンゴース

シティポップ風のジャケに似合わない「昆布干し女」のタイトルが気になるが、実はこれはアイヌ民謡。アイヌ民謡をシティポップにしてしまおうというなかなかトリッキーな試みである。

それが意外や意外、合う。妙におしゃれなサウンドと「ほいやほいや」の掛け声や民謡然とした歌詞とのアンバランスさ、これはまるでメロディとノヴェルティを融合させた80年代大滝詠一のそのものではないか!とビックリしてしまった。大滝詠一が生きていたら興奮しながらラジオで流してそうだ。ロンバケパロディも納得。

またもう一つ入っているherekanhoはミニマム風。こちらは順当にアイヌ民謡再解釈らしい仕上がり。こちらも素晴らしい。


Naughty night, Magical night-今剣、千子村正、三ツ鱗紋兼若

フォロワーである熱狂的アキシブファン、リサフランク氏が呟いていた曲。どうやらもうサービス終了したソーシャル・ゲームの曲らしい。

ほぼCymbalsの"Highway Star, Speed Star"である。タイトルも寄せに行っている。

友人との集まりでこれをかけたところ、ジャケとのギャップでみな笑ってしまっていた。
これ自体はハロウィンの歌なのでこれからの時期に活躍しそうだ。


There's Nothing But Pleasure-Bubble Tea and Cigarettes

Elefant Recordsから出ていたNY在住の夫婦ユニット。

一言で言えば歌謡アンビエントと行ったところ。メロディアスでリヴァーブマシマシということで、Steve Hiettを思い出すね。
Boys Ageとかthe mellowsとかの日本のインディーサイケ系の音にも近い印象。海外サイトだとイージーリスニングに分類されていたけどそれも納得。

しかしどこか韓国の香りがする。アー写を見た感じアジア系の方らしいのでもしかすると韓国系アメリカ人なのかもしれない。


收斂水/蛋堡

此方もフォロワーであるレイレイ・セフォー氏から教えてもらった。台湾では有名なラップのアルバムらしい。それも納得してしまうほどに完成度が高い。

トラックは基本的にジャズをサンプリングしたものになっており、ちょうどNujabesのような雰囲気が漂う。あまり暑くならない淡々としたラップもこのトラックに合っていて良い。

白眉は「熱水澡」。ボサノヴァの名曲・Summer Sambaをサンプリングしたトラックに流れるようなラップ。アルバム名である「收斂水」を体現したような一曲。


Expectations-Harvey Sutherland

セッションキーボーディストのアルバム。

つまりこれはバンド編成で作っているのだが、まるで打ち込みのようなタイトなエレクトロ。打ち込みでもこんなにノリの良いものは少ないかもしれない。

インプロ風になる部分もちょくちょくあり、セッションならではの良さも存分に発揮された名作。渋谷にいるようなDJにかけてもらいたい。


Stray O.S.T.

猫が可愛いと一時期話題になったゲーム、Strayのサントラ。

これがなかなか上質なアンビエント。まるで吉村弘が映画音楽を作ったかのよう。またアンビエントばかりでなくアシッドテクノのような曲も幾つかあり、その手のファンにも刺さること請け合い。

凄く内容がいいなあと思っていたら、LP版はLight in the Atticから出ているらしい。それも納得してしまうほどの完成度。


Colourblind-Hear Between The Lines feat. Subhraag Singh

これは動画見てもらった方が早い。異常な楽器がバカスカ出てくるボサノヴァ。

妙に弦の数の多いギター、クロマチックキーボード、パソコン仕掛けの伸び縮みするサックス等、ツッコミどころ満載。それを十二分に使ってメロウな曲を作るこの人たちは一体何者。目が離せない。


その他雑多な情報

・アンビエントの名盤として名高いMother Earth's Plantasiaが何故かMTGのオリジナルカードを売り始めた。そして何故か旧枠。
どうやらMother Earth's Plantasiaは伝説の土地らしい。欲しい方はお早めに。



・ニトロプラスのサントラが七尾旅人の初期作と同時期にサブスク解禁されていた。つまりシューゲの名盤として名高いみにくいモジカの子のサントラが聴ける。やったね。


・ついでにHMOも解禁された。やったね。


・知り合いが曲を出していた。じゃがたら好きには刺さるはず。


・禁断の惑星の志人のパート(ありもしない神の噂話~のところ)が最近ずっと頭で鳴っているので止めたい。


サポートしていただくとマーマイトやサルミアッキなどを買えます。