【767回】北海道自転車1周記〜旅行の理由
「えっ、本当に北海道を自転車で1周するの？」
当時の友人の表情が今でも思い出せる。口だけ男の僕だった。ほら吹きがまたなんか言っているという空気があったのかもしれない。
ところが、北海道を自転車で1周する気持ちについては、現実化できたのだ。
どうして北海道を自転車で1周しようとしたの？
1つ目は、旅行が好きだったから。特に鉄道旅行が好きで、時刻表や地図帳は、僕の友達だった。
2つ目は、自転車は自由だから。鉄道はお金がかかる。ならば、自転車があるじゃないか。お金がかからない。自分の都合で時間を決めて行動できる。何より、道路さえあれば、北海道内の様々な場所に訪問できる。
3つ目は、大学の先輩が、北海道を自転車で1周していたから。実際にやり遂げた人が、目の前にいた。先駆者がいるなら、自転車が好きな自分にもできるのではないか？憧れの気持ちが湧いてくる。先輩の旅行記録もあったので、僕の旅行計画の参考にすることもできた。
ちまちまと理由を書いた。
改めて考える。自転車旅行をしようとした最大の理由は、北海道への憧れだろう。
北海道外から札幌の大学へ進学した。北海道には200を超える市町村が存在していた。お金をかけずに、北海道の景色を味わう方法はないか？自転車だ！
ゆえに、自転車旅行をするぞ！という結果に至ったのである。
あと、単に、あれか。多くの人がやらない活動をしたいという見栄もあったのかな。
旅行の理由という項目を書く必要があったのかなあ。
今の僕は、自分の存在を否定する気持ちが湧いてきて、自分のやりたいことを考えては「難しい」と蓋をする、暗闇のような形だ。だから、自分がやりたいと思い、お金を稼ぎ、貯金をし、自転車を買って、道具を揃え、計画を立て、実行した、輝いて見えるも、「夢中になって楽しんだ自分」がこの世にいたことを確認したい。
やりたかったから、やる。そんなシンプルな理由を、僕が見つめたかったのだろう。
ああ、長い独白のようだ。