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【766回】北海道自転車1周記〜旅行の概要

ここに1冊の冊子がある。B5版で、更紙に印刷されたやや古い冊子。それもそのはず、20年以上前に作られた冊子なのだ。その中に、僕が書いた旅行記録が掲載されている。手書きで60ページ以上。よくぞ書き続けたものだ。狂気さえある。
狂気があるからこそ、できた。北海道を自転車で1周するなんてことは。

199X年8月 知床峠にて

当時は、うつ病とか気分変調症などとは縁がなく、自分がやろうと思ったことに進んでいたのだろう。やろうと思ったことを止められそうになると、逆ギレするタイプの人間であった。僕の学生時代を知る人たちは、振り回されて困ったことであろう。ごめんなさい。

1周してからもう、20年以上経っている。僕の人生も中盤(だと思うが)、改めて、記録を残しておこうと考えた。記憶は都合よく上書きされるもので、20年前と今とでは、ズレが生じるだろう。とりあえず、60ページ近く残された当時の旅行記録を紐解きながら、書いていく。

旅行の大まかな行程については以下の地図を。手書きだ。スマホもない、パソコンも使えない時代の自分は、なんでも書くことに夢中だったんだな…。


海沿いをずっと走ったわけではない

40泊41日の旅。
スタート・ゴールは札幌。時計回りに進む。
つまり、札幌からまずは北海道内陸部にある美瑛を目指す。
釧路から大きく内陸部に入り、帯広へ抜けている。
同様に、函館方面渡島半島でも、本来は海沿いに走り抜けるつもりだったのに、日本海から太平洋に抜け再度日本海に抜けるルートを取っている場所がある。
おかげで、いびつな形の北海道1周になっている。


ここで、改めてお願いがある。宿についての記述について。

宿は主に、キャンプ場やライダーハウス等簡易宿泊施設を使用した。

ところが、いくつか、公共施設を宿にさせてもらった。例えば、無人駅の駅舎、バスの待合室である。いわゆる「駅寝」である。

利用前には近くの地域住民に声を掛ける、終発出発後に寝て始発出発前には起きておく、静かに過ごす、利用後は簡単に清掃する、など、できる限りの配慮をして宿代わりに使わせてもらった。

1990年代は「STBのすすめ」(STB=ステーション・ビバーク つまり駅寝)という本が存在するほどであり、大きな口で駅寝はいいですよ、とは誰も言わないが、批判されることもなかった。

2024年の現在、無人駅やバス待合室での宿泊はおそらくタブーであろう。
当時の時代背景をもとに書いていくので、ご容赦ください。