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学生でもないし、社会人でもない。学生でもあるし、社会人でもある。あなた、は?

いつも同じこと言っているのですが「(大)学生」というものを「社会を知らない未熟な存在」として見下す文化ってどうにかならないんですかね。

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現時点でも大学生の半分は20歳で大人だし、2022年4月からは18歳以上は成人となる。大学生が犯罪を犯せば実名で公表される。この年になれば、大抵のことはなんだってできるし、実際色々とやっている人は少なくない。その20年で得た経験は人によって様々であり、そこには等しく敬意を表すべきだと、思っている(一方で、自分の経験や専門には自信を持つべき、ともね)。

例えば、株式会社TimeLeapとERRORs株式会社の代表取締役の仁禮彩香さんは中二で起業、高一で母校を買収し、教育関連事業や研修事業などを展開している。現在はSFCに在籍中だ。

みんな大好きオードリー・タンは16歳で台湾の共同経営者になり、19歳でシリコンバレーで起業している。

MMMにも、高校生時代に起業した昔ハナワという男がいた。今は色々あって外資コンサルとして港区男子やっているらしいので、飲みたいんだが、コロナがねえ。

他にも、ある大学の先生が学生に対して「そんなんじゃ社会に出てから稼げねえぞ!」ってキレたのだが、その学生は実はちょっと有名なYouTuberで年収換算でおそらくその先生よりも稼いでいた、というシーンを見てしまったこともあるな。まあ、確かに人をナメた奴だったので「何十年も稼ぐのは大変だぞ」は言えるかもしれないけどね。

「いや、そんなの例外…」って思うかもしれない。その時、俺は決して偏差値の高くない大学での勤務経験を思い出す。彼らの中には貧困世帯に属する者も少なくない。彼ら彼女らは自分のお金で大学に行ったり、親と折半したりして大学に通っている。通った後も「大学で学ぶ」という行為に意義を見出せない親とのトラブルなどを抱えながら、必死に生きるために、学んでいるのだ。いわゆる我々「社会人」が資格スクールに通ってキャリアアップを図るのと何ら変わりはない。

あるいは中村淳彦さんは『東京貧困女子。』において、貧困に喘ぐ若い女性に焦点をあてて取材している。その中には大学の学費を払うために性風俗で働く女性が出てくる。

最近映画化された山内マリコの『あのこは貴族』でも似た描写がある。主人公の一人、映画では水原希子が演じた「美紀」は田舎から上京し、慶應義塾に入学するが、家庭の事情で自分で金を稼がなくてはならなくなり、キャバクラで働く描写がある。(余談だが、この美紀は、平成13年慶應義塾大学文学部に入学、中退後に起業して、現在は麻布十番のワンルームマンションに引っ越し、移動はタクシーばかりの生活らしい。俺か?)

つまり、20歳ぐらいの人間が様々な形で社会と高度に関わりある仕組み、必要とされる仕組みができあがっていて「社会人」と「学生」という二項対立で語れる時代ではないのだ。これは今の中年が知らない社会構造かもしれない。だから「学生は時間がある」みたいな言説も賞味期限切れだと思っている。大学生は「社会人」として、キャリアアップのための活動をしたり、アルバイトや仕事をして学費を稼いでいる一方で、出席を必須にして、単位取得が厳格になった大学で必死に学んでいる。昔みたいに代返したり「宗教上の理由で不可を出さない」なんてことはできない。本当に忙しいのだ。単位取得を厳格化してる本人が言うんだから間違いない。俺の授業は厳しいよ。

大学生協が2020年に行った「第56回学生生活実態調査」でその状況が見て取れる。自宅生が顕著だ。2019年までずっと「小遣い」は減り、「アルバイト」が増えていた。コロナ禍で「アルバイト」が減った。学生達は、どうしたか?「書籍費」「勉学費」を増やし「教養娯楽費」「食費」を削っているのだ。また、下宿生は多少違うが「仕送り0円」の学生が2020年に過去最大になっていることが目を引く。いずれにせよ、コロナで先の見えない社会においても、ストイックに社会で生き抜こうとしている様子がこのデータからも読み取れる。

我々「社会人」と呼ばれる立場に置き換えてほしい。平日日中は仕事をした上で、仕事後は酒も飲まず遊ばず勉強できている人ってどれぐらいいるだろうか?俺は今、中小企業診断士を取得するため勉強しているが、本当に大変だな、と実感している。だから「学生」とか「社会人」という分類はもやは馬鹿らしい。「社会」で生き抜く「人」になるために「学ぶ」ことは当然じゃないか?そう、我々は学生でもあるし、社会人でもあるべきなのだ(余談だが、学び方を「学生」と「社会人」を両立できる人間になること、が大学の意義のようにも感じている)。だから「学生であること」で見下されるのはおかしいし「学び直し」が促進されないとしたら、そういう文化が問題の一つだと思っている。

もし、我々が「学んでいない」としたら、そちらの方が問題ではないか?

※写真は去年の7月、中小企業診断士一次試験前日に泊まったホテルニューオータニ幕張。缶詰になって勉強したのが伝わるかな。来週は、今年の中小企業診断士一次試験日です。頑張ってください!二次で戦いましょう!


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