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MMM2009-2018:A&T2009-2018(番外編)

同時同時と言っているけれど、厳密に言えば、MMMよりA&Tの方がわずかに先に生まれていたと思う。1、2週間ぐらいだと思うけど。

当時ぼくは、予備校のような学生サークルの一員で、毎年4月に新歓をSFCでやっていた。その年は割と盛り上がり、10人ぐらいの新入生が来てくれた(その団体では多かった)。その後、MMMの代表を担う日高くんも参加していた。また、ノリが良い新入生がいて、俺アートとかデザイン勉強したいんです、田島さん教えてくださいよーなんて可愛いこと言ってくれちゃって、楽しくその会は進んでいった。

途中席を外すと、当時付き合っていた彼女が「調子乗っている奴がいる」と言ってきた。それはNという奴で、確かに、なんか上から目線で調子に乗っている。話かけてみると、とにかく大学でデジタルエンタテイメントを作りたい、経験はない!と言っていた(あと模試が上位何位なんですやら、『ONE PIECE』のチョッパーが大好きなんです、みたいなことも言っていたような…)。まあ確かに態度はでかいが問題があるものじゃないし、ぼくも人のこと言えないし、その時は特に何も感じずに、その場はお開きとなった。

それから数日、ぼくは自分が参加できる作品展を探していたたら、盛岡でメディアアートのコンペをやっている、という情報を探し当てた(ぼくは検索マニアです)。とはいえ、自分だけではちょっと寂しいというか、一人でやるものでもないなあ、と思い、上記ノリの良い新入生とNを思い浮かべつつ、上記のサークルのメーリスに投げてみた。案の定、N君が釣れ、なぜか日高くんが釣れ、ノリの良い新入生は釣れなかった。

Nと日高くんは女子2人を巻き込み、別の一年生の裏出くんが山岡潤一さん(現:東京大学助教)を巻き込み、私含めて3グループ体制で臨むことになった。

裏出くんは山岡さんに丸投げしたとして、1年生4人はさすがに放置はできない。ぼくは、芸大時代に体験した「アイデア出しさせてガンガン潰す⇒決まったら作品作る」というプロセスで、来る日も来る日もアイデアを潰しまくった。数日経つと案の定詰まってしまった(Nがイライラしたり、チームの女子の名前を作品名に使ったり…)ので、当時個人的に流行っていた顔認証のライブラリを彼らに伝えたところ、数週間後、ぼくが考えもできなかった面白いアイデアが出てきた。OKサインを出した後は、Nは作品作りに没頭し、その他の運用部分を日高くんがヘラヘラしながら(「(Perfumeの)のっちの髪型真似ました」とか言っていた)テキパキ動いていた。

それでできたのが『DoodleBox』であった。

コーディングも最低限ぼくがやり、あとは一年生に丸投げしていたこともあり、動きが不安定で、当日も盛岡駅前のタリーズでぼくが最終調整をしていたのを覚えている。使われている画像は、たぶんどこかのタイミングで適当に自分の顔をウェブカメラで撮影して、デバッグ用に使ったもの。以降、そのまま使われている(良いんだけど)。

DMM.makeにもそのまま使われている(良いんだけど)。

犯罪者顔とか言われたりもしている(良いんだけど)。

さあ、なんとか間に合って展示開始。するとオーディエンスの反応は意外と好評であった。適当にいたずら書きしたら、自分の顔だった、というところに「面白さ」を感じてくれる人が多かったようだった。

さて展示中、制作者は交代交代で作品の説明をすることになっていた。しかし、説明して、「面白いね」と言われるうちにNが楽しそうな顔になっていくのが分かった。昼タイムになったが、Nが「俺昼飯いらないから行ってこいよ」と他のメンバーに言っていたのを覚えている。結局、N以外の4人(田島、山岡、日高、裏出)でじゃじゃ麺を食べに行った。

すべて終わり、DoodleBoxが奨励賞を受賞(ちなみに裏出+山岡チームはちゃっかり優秀賞、ぼくは審査員特別賞もらっています)。

あの瞬間に、A&Tというサークルが始まったのだと、思う。

その後、地元の会社社長(下記画像左の方。当然学生ではない)に気に入られ、そのおうちに泊まることになり、すぐ寝れる…と思ったら、一人一人将来の夢を語ることになる…というなかなか面白い展開もあったりしました。

それから10年。それで目覚めたN(中垣拳)はSFCで作品を作りまくり、MITの博士課程に進み、今でもインタラクティブデザインの研究に没頭しています。

A&Tはその後、中垣くんを始めとする優秀な後輩の活躍もあり、ぼくは2、3年関わった後は、ほとんどノータッチになった(盛岡で知らぬ人と思われるのが楽しくてしょうがない)。それだけにMMMとは違い、10年目を迎えたことに「おめでとう!」と言いたい。

10周年、おめでとうございます!!!

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