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初めて会った気がしない

前回から間が開きすぎて自分でもびっくり(笑)
でもまた続きを書きたくなりました。
まだ3話目なので、最初から読んでいただければと思います。
よろしければお付き合いください。


地元で一番の繁華街にある駅に、彼は迎えに来てくれた。
駅のロータリーで、バイクを停めて立っている人がいる。
彼だ。
背が高い。私好み(笑)
それが第一印象。
顔は写真を見ていたし、そのままだ。
ちょっと薄めで、シャープな顔立ち。
でもやっぱりフワッとしてて、優しいエネルギー。
思っていた通りの好青年だった。

「寒かったでしょ?手袋付けて」
そう言って自分の手袋を渡してくれたけど、バイクに乗ると思って自分で直前に買っていたので、
「あるから大丈夫よ」
と自分の手袋を付けた。
彼は少し残念そうにしながら、
「じゃあヘルメット」
そういいながらヘルメットを被せてくれて、ベルトをとめながら、
「めっちゃ可愛いな」
と、母親ほども年上の私にそう言ってくれた。
恥ずかしい…こっちが困るわ(汗)
でも、気を使って言ってくれてるんだろうなと思ったので、ニコッと笑ってみた(笑)
それからバイクの後ろに乗り、目的の居酒屋さんに。

焼き鳥を食べながら、いろんな話をした。
旦那さんとは別居してて、今は子供たちと実家にいること、実家は実家で居心地がよくなくてしんどいことなど、包み隠さず話した。
彼も自分の家族のことを話してくれた。
学校のことや、他のことも話したけど、細かくは覚えていない。

一番覚えてるのは、彼の前歯(笑)
なぜって、すきっ歯だったから。
こんな話したら本人がイヤかもだけど、私には一番のびっくりポイントだったから。
何を隠そう、私もそうだった。
今は、矯正して、隙間はないけれど、元々はすきっ歯だった。
この話は彼にしていないけど。
あ、私の歯と同じ!
そこが何より、印象的だった。

そして、話していると、なんとも言えない空気感。
初めて会った感じがしない。
電話で話してたから?
だから落ち着くのかな?
こんな年下の子に?
不思議すぎる。
それを察したのか、
「オレ老けてるでしょ?(笑)」
という彼。
とにかく安心できるエネルギーで、話しながら彼が自然と私の手を握っていたけれど、それもすんなり受け入れてしまうという、変なシチュエーションになっていた。

それからお店を出て、もう少し話そうということになり、コンビニで温かい飲み物を買って、2人で近くの公園に行った。
12月の真冬の夜空の下、手を繋いで、ベンチで話しながら、なんとなく甘いムードになった。
気づいたらキスをしていた。
どうしてだか、彼がとても愛おしくて、抱きしめてあげたいと思った。
初めて会った人に、こんな感情おかしいよね?
ただの遊びだとか、軽い気持ちではない、その時本当に愛おしいと思ったし、安心するし、片時も離れたくないとさえ思うくらい、自然に受け入れていられる。
「その目に吸い込まれそうだよ。そんなに見ないで」
彼はそう言って、私を抱きしめた。



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