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障害者雇用で1ヶ月②社用携帯

勤務初日。

名札やらマニュアルやらとともに渡されたのが、社用携帯であった。iPhone である。裏にはdocomoレンタルと書かれたシールがぺったりと貼られていて、どうやら商用で流通しているものらしいことが分かる。

社用携帯には電話帳アプリが入れてあって、ずらっと社員の携帯電話番号が登録されておりいざという時にすぐその相手にかけられる仕組みになっている。
会社で受けた外部からの着信の転送もできるようになっていて、在宅勤務が広まっている近年にはぴったりの機能だった。

機種はさすがに古く、使いこなされているせいかバッテリーの減りが速かった。

それでも社用携帯である。私は事務員なのにも関わらず持たせてもらえたのだ。あまりにも嬉しくて気持ちが浮き足だった。

渡されてすぐの頃には、パソコンでOutlook を使っているのでアプリのアカウントでも情報を同期させたり、着信音を選んだりして設定にいそしんでいた。

しかし当然ではあるが私にかかってくることはめったにない。初期にかかってきたことというと、オフィス内の社員さんからの着信であった。その時はテンションが上がり、はり切って出ると「ドアの鍵を中に忘れて追い出されてしまったので、オフィスのドアを中から開けてもらえませんか」という懇願であった。(フロアごとの部屋はオートロックで閉まり、カードキーがないと入れない。電話をくれた社員さんはドア越しに泣きそうな表情をこちらに向けていた。)


それでも徐々に愛着がわく。最初は1日の業務が終わると社用携帯をロッカーに入れて帰ったのだが、いざというときの連絡手段のために今では毎日持ち歩くようにしている。

メールが来たときの通知も設定していて、だいたいはパソコンに反映されるより前に携帯のほうに通知が来たりするので、事前に身構えることができる。数秒の差ではあるが、この数秒も大事なのである。

事務業務のひとつに、簡単な電卓計算がある。これもわざわざ席を離れて共有の電卓を取りに行かなくても、iPhoneの電卓アプリですぐにできるのである。

社用携帯はなにかと便利なのである。


・・まあ、これくらいしか活用していないのだが、社用携帯はなんとなく格好がつく気がしてやまない、愛おしい存在なのである。

ーーー続く

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