障害者雇用 さあどんなふうに就労定着支援サービスを受けよう?
月に一度、かつて就労準備のために通っていた事業所に赴いている。
そこの支援員のおじいちゃんとお話をするという、非常に立派な支援を受けるためである。
お話する内容には、これといってきまりはなく、おじいちゃんが「最近どうですか?」と聞いてくるのに対して「これといった変化はないですし、困っていることもないです。」と答えている。
チャンチャン!と終わってしまうのだが、本当にこれと言って話すこともないのである。
おじいちゃんはそんな私に一生懸命対応してくださって、「どんな仕事をしているの?」とか「休憩は取れてる?」とか「体調はどう?」とか「欠勤はあった?」などと次々に質問を重ねてくださる。
ひと通り仕事や体調の質問が終わると、これまた「病院はどこだったっけ?」と何度も聞いてくる。(これはもしかすると別に問題があるんじゃないかとも想像しているのだが。そこそこの年齢のおじいちゃんだけに。)
障害者を対象としたこのサービスは、健常者として働いていた頃には考えられないくらい手厚いものだと思う。
これでもかというくらい、いやそれ以上に、手取り足取り就労の面倒をみてくださるのは、こそばゆくも感じてしまう。
私には昭和の考え方がまだ残っているからよけいに、ぬくもりがあって温かすぎるほどのサービスだと思うのかもしれない。
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今働いている会社に、私の先輩がいる。
先輩とは、私が通う前に事業所に通っていて、同じ会社に採用が決まった方である。
社内でもよく見かけてそのたびに挨拶したり、人懐っこい感じの方なので「いや~、暑いですね」と言葉をかけ合ったり、終業後にタイミングがあったときは駅まで一緒に歩いたりしている。
このあいだも帰りの時間が重なったので、定着支援の通所の話を持ちかけてみた。
すると驚くことに、その先輩はいつも報告したり質問したりする内容をA4の紙にまとめて持っていかれるそうだ。
それをおじいちゃん支援員に渡して、ひとつひとつ読み進めていくのだそう。
私は思わず「すごいですね!」と驚愕し、同時に心の底から感動した。
定着支援とは事業所に立ち寄っておじいちゃんと話をしたのち、メインは通所していたころにお世話になった別の支援員さんとおしゃべりするものだと信じていたからである。
A4にびっしり書いていくということは、それなりの時間をかけてしっかりと準備をしていく必要がある。
1日、2日じゃ済まない話かもしれない。
その分、自己分析がしっかりとできているのだろう。
また、他人に読んでもらうのだから、読みやすい構成なども考えて丁寧に文章にしていくはずである。
文章としてまとめていくレベルとなると、肝心なのは不安や悩みがあるかどうかだけなくて、その人に誠実さがあるかどうかである。
定着支援の通所は、その人の真面目さが如実にあらわれる機会なのだなとしみじみ思ったのだった。
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その次の回におじいちゃんは、「人それぞれですよ」と教えてくださったのでひと安心した。
A4とまではいかなくても、なんとか報告する内容を絞り出そうとがんばったのだが、なんにも出てこなくて途方に暮れていたからだ。
障害者といっても、価値観や視点の置き方はさまざまである。
私は人事部だが、先輩は別の部署でがんばっていらっしゃる。
部署によっても業務や人間関係などは大きくちがったりするから、同じ会社と言ってもひとくくりりにはできないだろう。
先輩自身が見えないところで色々と経験なさっているのかもしれないし、日々思うところもあるのかもしれない。
人によって、経験や思うところはちがう。
だから支援の受け方も、人それぞれ。
個々人が受けたいサービスをそれぞれ受けることができれば、十分それでよいのだ。
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というわけで私が次回のために考えていることは、スタッフの皆が喜ぶ土産話を何にしようか、ということである。
―――――日々つれづれと続く
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