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障害者にもいろんな考えがある

今の職場の同じフロアに、車椅子の方が働いていらっしゃる。

部署が違うのもあってすれ違う際に挨拶をする程度で、これまで話すことはなかったが、こないだフロアに入るドアを私が開ける機会があった。

そこで少し話すことができて、私が「車椅子、モーター製なんですね」と話しかけると、その方は「腕の力が弱いので、モーターなしだと動かせないんです」と真っ直ぐこちらを見てサラッとおっしゃる。

ああこの方は包み隠すことのない、堂々とする方なのだなと思ったので、こちらも「私も障害者なんです」とにっこり返した。

「そうなんですか、自分は見た目ですぐ障害者ってわかるんですけど・・どんな障害ですか?」と聞かれたので、てんかんであることを伝えると「そうなんですね。」と返してくださった。

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障害者といってもひと言ではまとめられない。

障害の種類は多様であるし、同じ病名でも症状も一人ひとりちがう。

ましてや、障害者であることをオープンにする人もいれば、仲間内だけに限定する人、まったくクローズにする人もいて、これまた多様である。

だから、障害者同士も気を使う。

相手が障害者だったと分かっても、その方がどんな考え方なのか、充分に注意を払う必要があるのだろうと、今の会社に入ってから思えるようになった。

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私はどちらかというと大っぴらで、オープンで入社した。

配属先には発作が起こった場合にお願いしたい配慮だけでなく、通院の頻度や通院の日は半休とりますと伝えたくらいである。

受け入れ側の人々には色々な考え方があると思うし、私の知らないところで何を言われているのかは露知らずだが、私の耳に入ってきていないからそれでよいと解釈している。

むしろ対健常者より、障害者のほうが、難しいのかもしれないというのが最近思うところである。

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人事部との面談があって、最後に聞かれたのが、障害者同士での懇談会を設けるのはどうか、ということだった。

同期とかいなくて寂しさを感じたりしていたので、私はすぐに飛びついた。

ふだんの隣の席の男性社員(健常者)が、ちょっとした相談とか頼み事なんかを近くの同期に尋ねていて、うらやましいなあと思っていたところだったからだ。

仲間をほしいから即答したのだけど、人事部の担当者は「色々な意見があるんですよね」とつぶやいて、表情が明るくなかった。

別の障害者に聞いたら、「障害者はそういうの、集まらないですよ」と言われたらしい。

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なにが正解かはわからないが、世の中なかなか難しいのだなと思う。

障害者同士といっても気が合うかどうかはわからない。

もっとナイーブなのかもしれない。

それは、障害や病気があるからこそ抱えてきた悩みが、お互いに分かるからかもしれない。

むしろ分かりすぎてしまうからかもしれない。

考えても答えは出ないのだけど、とりあえず私はオープンで仲間がほしいというガツガツしたタイプなので、今度車椅子の方に飲みにでも誘ってみようかなと思う今日この頃である。

楽しければ何よりだからである。

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