障害者も有意義な転職をしよう:第3章 書類審査・適性検査
3-1.書類選考の流れ
あらためて、書類選考の流れについて確認しておきます。
まずエージェントのマイページ画面で応募を依頼すると、企業による書類選考が始まります。
選考の結果が出るまでの期間は企業によります。
早いところで数日、長くて1カ月以上かかるところもあります。
第2章でも書きましたが、この待っている期間にリストの順位を再検討してもよいでしょう。
書類審査の結果は企業からではなくエージェントからメールで届きます。
結果が届いたら、まずは喜んだりがっかりしたりしてから、頭の整理のために作成したエクセルのリストで作業します。
落ちてしまったらカット&欄外にペーストしたり、グレーに塗りつぶすなど分かりやすくしておきましょう。
書類に通ったら、リストに面接の日程を追加するのもよいでしょう。
自分なりの工夫をしておくと、より一層現状を把握しやすくなります。
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また2次以降の試験のことをふまえ、書類選考の結果を待つこの期間に対策を取ることもおすすめします。
たとえばこのあと書きますが、面接と同時期に適性検査や筆記試験、パソコン試験などが課される企業もあります。
(求人には書かれていなかったりしますので、突然筆記試験の案内が来てびっくりすることもあります。)
しっかりと対策をすることは非常に重要です。
仕事で忙しいかもしれませんが、休憩時間や通勤時間をうまく使って準備を進めていきましょう。
準備の進め方は次の項で詳しく書きますね。
3-2.適性検査(性格検査・学力検査)
適性検査には性格検査と呼ばれるものといわゆる学力を測る検査があります。
まずは性格検査についてお話しします。
書類審査に通過すると、一次面接の案内とともに性格検査のご案内のメールが届いたりします。
また企業によっては一次面接が通ったあとに初めて課してくるところもあります。
私は書類審査に通った4社のうち、2社ほど性格検査を受けました。
いずれもメールに書かれているURLにアクセスして、パソコン上で回答していくものです。
なお企業によっては、会社に直接出向いて面接の前後で受ける種類の検査もあります。
適性検査の種類としてはたとえばクレペリン検査やTALなどがありますが、試験の名前が会社から提示された場合、どんな内容の試験なのかを受検する前にWEBサイトで調べておくとよいでしょう。
内容はそれぞれの検査によって異なりますが、主に思考や性格を判断されるようです。
たとえば私はTALを受けました。TALは選択問題と図形を構成する設門があります。
選択問題では、次のような設門がありました。
「あなたが手に持っても良い卵を2つ、選んでください」
解答は以下の7つから、2つを選びます。
カラを剥いていないゆで卵
カラを剥いたゆで卵
カラを剥いて切ってあるゆで卵
カラを剥いて切ってお皿に盛ってあるゆで卵
生卵
模型の卵
ウズラの卵
正答は分かりません。ただし倫理的で規範的な心がけはできると思います。
卵の設問であれば、一般的に「カラを剥いて切ってお皿に盛ってあるゆで卵」を手で持つという状況はなかなかありませんし、手で持てば他の人から白い目で見られるのは間違いありません。
常識的にふだんから心がけていることを反映することが重要だと言えます。
そのほかTALでは図形問題も出ました。設問ではあらかじめ図形が提示され、自分で図形を選んで新たな絵を作るものです。こちらも模範解答はありません。
しかしこれは就職において見られるものなので、あまり独創的で突飛な発想を披露するよりも、多くの人に受け入れられやすいデザインが好ましいでしょう。
なお適性検査についてはWEB上に対策や設問の例題が掲載されたものがあります。
受ける前にきちんと傾向をつかんでおくことで、動揺することなく落ち着いて設問を解くことができます。
事前の対策はオススメします。
3-3.適性検査(学力検査)
適性検査には、学力を測る試験もあります。
有名な試験としては新卒採用試験で多く利用されているSPIが挙げられますが、そのほか企業が独自に作成した試験もありました。
私が受けた3社の試験の内容をざっと紹介してみます。
A社
・漢字(読み・書き) 高校修了程度
・計算問題(四則演算、二次方程式)
・ 文章問題(数学): 速度算、損益算、仕事算、鶴亀算、料金の割引
B社
・漢字(読み・書き) 高校修了程度
・計算問題(四則演算、二次方程式)
・文章問題(数学): 時間の計算、集合、組み合わせ、年齢算、確率
C社
・SPI(言語・非言語)
A社・B社の筆記試験は、面接と同じ日に実施されました。
会場に行き、配られた問題用紙と解答用紙を広げ、試験監督のもとで黙々と解くという試験でした。
問題数にもよると思いますが、20~30分と設定され、時間がくれば終了という形態でした。
当初、時間は短いように感じましたが、問題によっては時間が余ったので何度も見直しをしました。
終了したら解答用紙とともに問題用紙も回収されます。
問題の傾向は、SPIにとても似ていました。
例えば A社と B社の速度算、損益算、仕事算、鶴亀算、料金の割引、集合、組み合わせ、年齢算、確率はSPIの対策をしっかりとしていれば解ける問題です。
問題の難易度はそう高いわけではありません。
SPIの試験問題にも難易度はさまざまですが、標準レベルをスムーズに解けるよう力をつけていれば大丈夫です。
あとは計算ミスをしないように、しっかりと見直しをしましょう!
筆記試験対策については、SPIの試験対策をしておけば充分です。
書店に行けば「就職活動」コーナーなどにSPIの問題集が多数置かれているので、手に取って自分にとって分かりやすい解説が書かれた問題集を選ぶとよいでしょう。
ほかにもインターネット上で入手できる問題集もあります。
スマートフォンで解ける有料アプリもあるので、通勤時間や昼休憩の時間を有効に使えますね。
また、インターネット上には無料で問題と解説を載せているサイトもあります。
私は下記のサイトでじっくりと練習をしました。2つともしっかりと解説されていてわかりやすく、問題数も豊富でした。
SPIの問題パターンが一通り載っていますので、このサイトだけでも充分学ぶことができます。
SPI無料学習サイト StudyPro (https://saisokuspi.com/)
SPI対策問題集 CareerMine (https://spi.careermine.jp/)
そして会社独自の試験ではなくSPI試験をそのまま課してきた企業もありました。
これはWEB版ですので、自宅でパソコンを開いて受検する形式です。
受検まで1週間ほど期限を設けてくださったのですが、平日は少しずつ対策を進めて、土曜日に集中して勉強し、日曜日の午前中(頭が冴えている時間です)に受検しました。
受検の際にはパソコンに向き合い、ひたすら問題を解いていきます。
言語・非言語の問題が各30分ずつ。
こんなに集中して問題を解く経験もしばらくなかったのですが、解いていくとあっという間に時間が経っていました。
むしろ制限時間内に解けるか冷や冷やしながら解いていました。
WEB版の形式では、問題文に選択肢が設けられているわけではありません。
自分で導き出した解答の数字をそのまま入力します。
選択肢があるのとないのとでは緊張感がちがいますね。
無限の数のなかから一つ記入するのだと思うと、そのたびに緊張が走りました。
ほどほどの緊張感は必要ですが、緊張しすぎてしまうと本来の力が出せないかもしれません。
緊張しすぎないよう、前もって問題の傾向をつかんでおくといいですね。
3ー4. パソコン試験
会社に就職すると、1人一台ずつパソコンが渡されるのはもう常識ですね。
障害者もパソコンを支給されます。
障害者は事務業務が多いのですが、パソコンでWordや Excel、PowerPointなどが使えると即戦力として評価されます。
私は1社ほどパソコンの実技試験を受けました。
面接当日に会社に出向き、面接前に個室で用意されたパソコンでWordとExcelのファイルがあって、試験管の立ち合いのもと、そのファイルで作業をするというものでした。
Excelではあらかじめ表が作られており、紙で渡されたデータに修正するものから、四則演算、数式を入力するものまでありました。
Wordでは、事前に作成された紙の文書が渡され、それとまったく同じ文書をパソコン上で作成するというものでした。
文字の大きさを変えたりフォントを変えたり、インデントを調整するという内容でした。
事務経験があって、これまで仕事や学校でパソコンを使いこなしている人は問題ないと思います。
ただ当日はネットで検索することはできません。数式をひと通り調べて頭に入れておくとよいでしょう。
ちなみに私が受けたExcel試験では、数字から判断し、数式をセルに手入力する設問がありました。
当時は数式の判断があいまいだったので、試しに LOOKUP のみで数式を立ててみたところ、エラーが表示されました。焦りました・・。
その後 VLOOKUP を思い出して入力したところ無事に適した数値が表示されたので、すごくホッとしたことを覚えています。
事前に知識を持っておくと、試験でも落ち着いて取り組むことができますね。
少しでも不安がある場合は、参考書や問題集を図書館で借りたり、書店で入手するとよいでしょう。
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いかがでしょうか。
障害者雇用も健常者と同じような適性検査が課されるところもあります。
企業も書類と面接だけでなく、性格や能力をあらゆる方法で測り、選別しているのです。
ただし事前にしっかりと準備をしておけば、落ち着いて難なくこなせる選抜方法でもあります。
WEB上や問題集で対策ができますし、パソコンのスキルに関する参考書は図書館で借りることもできます。
情報を収集して対策を立てることが重要なので、試験の種類については事前にエージェントに聞くのもよいでしょう。
そして受けるときに焦らないためにもしっかりと準備して試験に臨むとよいですね。
ここまで書類選考から適性検査、パソコン試験について書いてみました。
第4章では、面接試験と対策について実体験をもとに述べてみますね。
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この記事は本来はkindle出版を検討しましたが、noteですべて無料でお届けします。(今の就業先が副業禁止なのもありますが、少しでも障害者のみなさんのお役に立ちたいと思っています。)
ですので、読んでいただいたら、ほかの障害者や関係者の方々に広めていただけると幸いです。
(こちらのリンクを貼ってください。)
https://note.com/epilab/m/mc29dabeb2457
よろしくお願いします!
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