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Eat, Live and Love.

<マガジン味付>ジャンク☆☆☆☆☆ 甘さ☆☆☆☆ 外国で暮らしたときにみつめてきた風景や、瞑想に参加したときの記録・海外出産のときに目にした出来事などをストーリー仕立てでお届け…
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2017年6月の記事一覧

一番最初に目にする、空【フィジョワ序章】

12年前 まだ大学生だったわたしが 夏休みにうまれてはじめて訪れた外国が、ニュージーランドという国だった。 当時は、まだまだデジカメなんてものはなくて、 銀塩のフイルムのじだい コンタックスのRTS3という名機の中の名機である 一キロ以上あるマニアックな中年男臭いカメラを首にぶら下げながら 毎日、 その場所で目にする見たことのない色彩を 必死で切り取るように、 鈍くて軽く、コンタックス特有の、 柔らかい”カシャン”という音を響かせて シャッターを切り続けた。

フィジョワ、幻のフィジョワ④

フィジョワ、幻のフィジョワ① フィジョワ、幻のフィジョワ② フィジョワ、幻のフィジョワ③ 続き 何かトラブルがあったときを除き、 瞑想センターでは口をきくことが一切禁止されているのだが それとは別で、 1日のうちで1回だけ 瞑想に関することに限り、完全予約制で 短い時間、個室で尋ねることができる。 大人数でホールに座り瞑想をする一番前に、先生が座っている。 特に監視しているわけではなく、彼らもまた目を閉じてただ座っているだけである。 宗教とは関係ない場所なの

Neutral Jo 助産師

たびたび聞かれた。 ニュージーランドとはどんな国? と。 どうしてニュージーランドで出産をすることにしたかとか、 なぜそこはニュージーランドでなければいけなかったのかとか、 たどれば色々理由はあるのだろうけれども、 感覚に頼って生きている人間にとって 「理由」は あってないようなもので、 説明しようとした途端に、 つまらなくなるような気がする。 ニュージーランドって、どんな国?と聞かれて、 「そうだねえ、」のあと、 ひと呼吸置いてから、出てきた言葉は、 「ニュー

Eating, me and...

ごはんを作るシゴトをしている。 毎日、毎食、毎回真剣だ。 何十食も立て続けにフライパンを振っていると 次第にやっつけシゴトになってくる。 レストランで働いたことのあるひとはわかるとおもう。 日々当たり前に 山のように捨てられる残り物や食材達。 にんじんの端っこや 容器からあぶれたインゲンは まだ人の口へ行くのを楽しみに待っているのに 色んな理由から 次々とゴミ箱へ捨てられてゆく。 だから私は一日に 何十本ものにんじんやたまねぎを 腕に抱えてめちゃくちゃに愛を注

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はじまりの朝

おむつの濡れた、鳴き声を長い時間聴いて 遅くおきる朝 ゆっくりおきて はじまりの朝を迎える いつもと違う朝 いつもと同じ朝 安い、雑な black teaじゃなくて 美味しい紅茶を淹れよう。 山もりに散らかった カウンター下のお茶コーナーを漁って 長いあいだ足を運んでいないお茶好きの店主のお茶やさんで買ったお茶の袋がいくつか、目に入った。 ひとつに、「始まりの福紅茶」と書いてある。 丁寧に、白いホーローに湯を沸かす。 湯、ひとつ沸かすのも、もちろん丁寧

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”それでいい、わたしの人生”

”少しの野菜とくだものと、そしてハグとキスがあればそれでいい、 わたしの人生。” 2010年頃から長い間 掲げていた、わたしのタイトルがこれだった。 その生活は ほんとうに シンプルなもので でも質素だったが 地味ではなかった。 わたしの料理のひとつのルールに どこまでもシンプルに、 でも決して野暮ったく地味にはしないというものがある。 それはいつも、 洗練されていてほしい。 それはいつも、 美しくなければいけない。 それがあって 初めて

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Champagne grapes

わたしが ニューヨークなんて場違いな場所に住んでいる理由というのは 10個か500個くらいあるのだけども そのうちのひとつは やさいとくだものが、 日本よりもよっぽど安くてクリーンなものが たらふく食べられるというとこにある まあ世界のどこもかしこも オーガニック流行りにゃ変わりないのだろうけど 日本に帰ったときに 食べ物がとっても割高で にんじん一本100円した日にゃ 目玉が飛び出るほど驚いてしまったのをおもいだすわけです ◯ 季節ものの小さなつぶつぶ

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夢は、アイスクリーム屋さん

 Put your records on/ CORINNE BAILEY コリーヌ・ベイリー・レイ「プット・ユア・レコーズ・オン」 コリーヌの一番大好きな曲。 嬉しいときも、気楽なときも、悲しいときもずっと大好きで 昔も今もずっとかわらずに好きな聴いてきている曲。 わたしはものすごく根暗なんだけど、 そのもっと奥は相当な根アカなんでしょうね。 なんていうか、悲観してセンチメンタルに浸り、 悲しみ泣いて、ロマンチックに自分の陰の部分にどっぷり溺れて 海のそこを泳ぐの

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missin'

背筋にぞくっと何かが通り、 その匂いの中に全部融けたら、 "ああ、生きてゆけるわ."と 思う。 たぶん、anise seedとcardamonのせいかもしれない。 死ぬまで生きればいいし、 使えるまで使えばいい。 lemonの匂いと 昨日のフィルターがかった夕陽に救われて 故郷に帰る。 何かを恋しがる、 mother to be. organic. June 28, 2009 Néné Table in NY ◯ June 07, 2017 追記

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水の無い台所- June

思い思いの水無月は こっちでもあっちでも着実に過ぎて行って 水のない月の間わたしは混乱したまま 気づいたら時間だけが過ぎていた そんな夜 久しぶりにもう一度 色々な事を素直に楽しいと感じられて もう一度シンプルに、いこうとやっと思えて 食べる事も料理をすることも 苦しくてしょうがなかった数日を抜けて カリフラワーを食べたときに、 なんと、カリフラワーの味がした。 そのとき本当にほっとして にんじんが、甘いと感じられる そんなあたりまえの感覚を失っていたわ

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おかしやさんの彼女

どこにでもある死ぬほどありきたりなハナシで申し訳ないんだけど ちっさい商店街の角っこにあるおかしやさんの そこでいつもお店に立ってる彼女が 気になって 最初にここに引っ越してきたときに 地元の店が立ち並ぶ並木路を探検してふらり入った角っこの店 薄っぺらいクッキーみたいのをあったかいうちにくるくる巻いてあるお菓子 お店の前で熱いなか次々に くるくる くるくる くるくる  お菓子を巻いてくんだ ちょっと離れたところから くるくる くるくる くるくる 巻かれてくお菓子を

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