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Eat, Live and Love.

<マガジン味付>ジャンク☆☆☆☆☆ 甘さ☆☆☆☆ 外国で暮らしたときにみつめてきた風景や、瞑想に参加したときの記録・海外出産のときに目にした出来事などをストーリー仕立てでお届け…
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記事一覧

”男の子ですね”

¥130

キラキラ煌く、パパイヤ修行

その問答のあと、 なにかが解決したのかもよくわからなかったし、自分のなかで、 なにか理解につながったのかもまったくわからなかったけど ただ、そうか、そのまま瞑想に集中して、そのまま頭を真っ白にして、 そのままもしおしっこが漏れてしまったとしても 確かに、それでいいんだ。 もし万が一そこで実際、瞑想中にジョジョーと座布団が濡れたとしても 誰一人、そこで驚くひとも咎めるひとも、いなさそうでした。 何が起こっても不思議ではない神聖な場所。 誰かが泣き出しても、発狂し始めても

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漏れそうな、Formosa修行

瞑想というのは結構おもしろいアクティビティで 「なにもしない」という活動が、本当にいろんな学びを私たちに教えてくれる。 一番最初に10日間の沈黙とともに、朝から晩まで目を閉じて座り続けるのをやったとき、 「ああ、身体で哲学する」というのはこういうことなのか。 とわたしは瞑想センターを静かに歩きながら そよ風と空を仰ぎ、哲学のての字も知らなかったくせに そう思ったのでありました。 日に日に精神が澄み渡るように冴えてきて、それはまあ他にやることもないし デトックスが進むには違

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Formosa、麗しのパパイヤ修行 3

瞑想センターでは、泊まる部屋はたいてい相部屋になっていて、 小さいベッドがふたつある個室にてきとうに割り当てられます。 まず始まった第一の悲劇。 それは、 その一緒になった相手が例の日本語が話せるおばちゃんだったことです。 これは人々の親切心からの、 「日本語が通じないことで、わからないことがあっても◯◯がいれば大丈夫」 といったような粋な計らいで 最初はホッとしたのもつかの間・・・ 彼女は親切な台湾の人々のなかでも群を抜いて親切で、 普通に気のいいおばちゃんで

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Formosa、麗しのパパイヤ修行2

◯ さてほとんど丸一日かけて、 聖なる場所へと足を踏み入れる幕開けのカウントダウンが始まるころ どきどきしながら到着した場所は、 またこれ、ぱかっと開けたエネルギーの場所でした。 わたしは完全な無宗教なのですが 神社とか教会のような神聖とされる場所はたいてい好きで ただ、そういう場所はいつも一般のひとが 出入りできるようにはなっているので 浄化されつづけるけど、常に汚れつづける水みたいな感じかな。 これまで訪れた世界のいろいろな場所のなかでも ヴィパッサナの瞑想

¥100

Formosa, 麗しのパパイヤ修行 1

その国はだいたいが暑かった。 バナナの木が生えており、道行くおばちゃんたちが、皆口を揃えてシャンジャオ、シャンジャオ、と 話しかけてくる。 辛気臭くなく、色鮮やかで、 人間の生きる力に満ちている国。 あるとき私はその国に旅行にいくかわりに、記憶によれば 島の真ん中あたりに位置していた、ヴィパッサナ瞑想センターにいました。 ヴィパッサナ瞑想というのは、 まあその名の通り瞑想をするセンターなのですが 世界中に施設が点在しており、それぞれの国で環境や食べるものは違えど 全く同

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淡水と淡水魚のマリアージュ

フランスに初めて渡って地上に足を踏み下ろしたときの感覚は、今でも忘れない。 その場所の空気に肌を触れさせた瞬間に出てきたフレーズは、 「ああ、水が合うってこれか」だった。 ほとんど、自分でも意味がわからなかったが、ただそう思った。

¥100

フィジョワ、幻のフィジョワ①

フィジョワという言葉を聞いたことがあるだろうか。 わたしは、30歳を過ぎるそのときまで、知らなかった。 ◯ 当時わたしのお腹には、あと一ヶ月もしたら間もなく産まれてくるくらいの赤ん坊がいた。 わたしは妊娠してもやっぱり細いほうだったので その巨大というほど巨大でもなかったお腹を抱えて ニュージーランド行きの飛行機に乗った。 まっすぐにこれから起こることを見据えるように、地上に降りたわたしは その場所の空気を吸うのではなく”この目”で捉えようとした。 19歳のとき

フィジョワ、幻のフィジョワ②

フィジョワ、幻のフィジョワつづき (書き始めたらフィジョワになかなかたどり着かないことに気づいた) ヴィパッサナと呼ばれる10日間の瞑想センターが世界各国にあって、 どの国にいっても同じプログラムでスケジュールされている。 出産予定日まで約一ヶ月を切ったところで まるっとしたそのお腹を抱えて、 ニュージーランドのそのオークランドの山奥にある瞑想センターに わたしは向かおうとしていた。 臨月の妊婦が外国の山奥に何しにいくかって? 瞑想だよ。 全然はなしは変わるが、臨月の

フィジョワ、幻のフィジョワ③

フィジョワ、幻のフィジョワ②つづき 4時半からスタートする瞑想がほとんど終わりに近づき、 やっと1日が終わるとほっとするくらいに 夕食の時間がやってくる。 夕食といっても、 2に書いたようにガイドラインとして ”初めての参加者は果物のみ” ”2回目以降の参加者はお茶のみ”などの きまりが定められているのだが、持病など他の事情がある場合は 事前に相談されて 軽い食事が用意されたりする。 センターによって参加人数はまちまちだが、 例えば50人の参加者がいる時 大体が病

一番最初に目にする、空【フィジョワ序章】

12年前 まだ大学生だったわたしが 夏休みにうまれてはじめて訪れた外国が、ニュージーランドという国だった。 当時は、まだまだデジカメなんてものはなくて、 銀塩のフイルムのじだい コンタックスのRTS3という名機の中の名機である 一キロ以上あるマニアックな中年男臭いカメラを首にぶら下げながら 毎日、 その場所で目にする見たことのない色彩を 必死で切り取るように、 鈍くて軽く、コンタックス特有の、 柔らかい”カシャン”という音を響かせて シャッターを切り続けた。

フィジョワ、幻のフィジョワ④

フィジョワ、幻のフィジョワ① フィジョワ、幻のフィジョワ② フィジョワ、幻のフィジョワ③ 続き 何かトラブルがあったときを除き、 瞑想センターでは口をきくことが一切禁止されているのだが それとは別で、 1日のうちで1回だけ 瞑想に関することに限り、完全予約制で 短い時間、個室で尋ねることができる。 大人数でホールに座り瞑想をする一番前に、先生が座っている。 特に監視しているわけではなく、彼らもまた目を閉じてただ座っているだけである。 宗教とは関係ない場所なの

KOBO -パンを焼くまでの50時間

この世界は生と死で成り立っていて その、フレッシュな生の近くで 何かが確かに命をそっと 育まれているのを眺めているのは これ以上ない喜びと祝福をはらんでいる。 ニューヨークに住んでいたころ ブルックリンに住む友人が 「最近こうじで玄米の甘酒をせっせと仕込んでいる」というので、 24時間走っている地下鉄に乗って 訪れると そこにはヒーターの上の一等席にどしっと腰掛ける、 真っ赤なルクルーゼが居た。 贅沢に、布団をかぶって、そのなかですくすくと、 ぬくぬくと成長

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サスペンダー

イタリア男は サスペンダーをしていた ある日、イタリア男が家でつくるランチに招待してくれたので マンハッタンの24時間走る地下鉄にのって、川を渡った。 おじゃますると

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