一体、此処までどうやって歩いてきたんだっけ?ぼんやりとしか、ぼんやりとしか。小銭で鯛でも釣った気でいたのか。見下ろせば起点。君は彼方。手に溶ける幻と昨日の事のような街風景に変化があるとするならば、ベランダの廃り様くらいだろう。前の住人が去った訳も今なら理解出来る。
少々胡散臭い気もする年下のアリアにいつも俯瞰から返事をする。これを優しさと呼ばない事はとうの昔に考えないようにした。端から優しい人では無いのだし。何の得もないがこのままで構わない。
至って健康的に夜を越え、オレンジに点る電源が目に付く。体を起こしできる限り毎朝、薄荷を吐き捨ててはキーケースでボタンを押す。
今日も死にながらに生きてゆくのです。

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