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【無料】 サイバーカスケードとエコーチェンバーで、人は簡単に〝狂う〟

この記事は

狂うのは〝無敵の人〟〝こどおじ〟だけではありません。普通の人でも簡単に狂ってしまう点について、サイバーカスケードとエコーチェンバーという切り口で解説します。



狂う・1 立憲民主党党首、枝野幸男

以前から「最近おかしいな枝野」と思ってきましたが、日本共産党との共闘を決めたあたりから発狂度が加速したように感じます。共産党は〝革命〟を目指す党、日本の資本主義を否定しているのに、何を考えてるんだと。

事実、この選挙戦で志位委員長は「資本主義でいいんですか、その先に進みましょう」と言っていますからね。

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私有財産を基本とする資本主義を否定されたら、そりゃ支持者だって企業だって労働組合だって離れます。枝野は自公連立における公明党の集票力を羨ましく思ったんですかね。共産党の集票力に頼ってしまった。

決定的に〝おかしい〟と感じたのはコロナ政策。「ワクチンよりもPCR検査を拡充せよ」と政府に迫りました。立憲が成功例としてあげたニュージーランドや台湾は、確かに検査で抑え込んでいましたけど、それは少ない人口ゆえ。しかもデルタ株には対応できず感染爆発を引き起こします。

それでも枝野は「ワクチンより検査」の姿勢を崩さなかった。これは共産党もそう。子宮頸がんワクチンに反対し続けた、いわば〝反ワクチン〟な人達を支持者や候補者に多く抱えるためか、国産ワクチンができるまで待てとか、安全性を確認できるまで様子を見ろとか、ひたすら政府のワクチン接種を遅らせようとしていました。

ちょっと、このツイートをご覧ください。ある薬剤師のツイート。

HPVワクチンとは、子宮頸がんワクチンのことで、日本は数年前、反ワクチン派の猛抗議によりHPVワクチンの勧奨を止めました。結果、毎年数千人が子宮頸がんで亡くなっています。

このツイートは結局、「私達は間違ってないの!」と言いたいだけ。ワクチンを打つな、打たなくても検査さえすれば大丈夫だと、どこかで聞いたことあるような話でしょ。

問題はこれをツイートした人で。なんと立憲民主党の元参議院議員。しかも今回の衆院選で同党から立候補しています

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当然のように落選しましたが、立憲民主党に〝ワクチン〟そのものへの忌避感があるのは間違いありません。厚労大臣の自民候補者に対し医薬品のデマを振りまいてるのも香ばしい。


狂った話をもう一つ見てみましょう。

立憲の支持率は5%~8%と低迷していたにも関わらず、枝野は衆院選を「政権選択選挙」と位置づけた。それ自体は野党第一党の矜恃だから良いとして、政権を取ったらまずこれをやると掲げた政策がこれ。

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なんと、ワクチンのワの字もない。それどころか、国民の生活とは縁遠い、学術会議やモリカケサクラを第一弾に持ってきた。第二弾は選択的夫婦別姓やLGBT、差別防止など。まだ東京で1600人以上の感染者を出す中、こんなものを発表したんです。

や、そりゃ、レズやゲイの人権だって大切ですよ。でも最優先じゃないよ。国民がバタバタ死んでる状況でモリカケなんて、何を考えてるのかと。

政権交代を叫びながら、わずか数%しかいないコアな支持者に対してのみアピールしてしまった。ひょっとして枝野は狂ってしまったのではないかと本気で心配しました。


狂う・2 支持者達

立憲民主党や日本共産党の支持者達は連日、ツイッターで反政府ツイートを展開します。「日本のトレンド」として表示され、これこそが世論であると歓喜した。両党の議員達も積極的にリツイートを行い、拡散させた。

しかしこれらのトレンドは偽物であると、東京大学の鳥海教授はデータを用いて喝破します。

ただ、祭りは止まらない。しまいにはこんなイラストまで拡散されました。

安倍・甘利(麻生?)・菅の3名が、国民を殴り殺してるの。アベスガ嫌いな人が見たら笑えるのかな。でも冷静に考えてほしい。

安倍総理の最終支持率は62.4%、国民の6割以上が支持したんです。つまり安倍晋三を人殺しのように扱う行為は、国民の6割以上を不快にさせる可能性が高い。

また菅総理にしても、ワクチン頼みだの接種が遅いだのと罵られつつも、感染者が10人を切るような状況となった以上、「正しかった」と認めざるを得ません。そんな二人を揶揄して、マスの支持、過半数の支持を得られるわけないでしょう。

しかもこのツイートをした人、医者なんですよ。命を救う仕事なのに、国民が殴り殺されるイラストを拡散させて喜んでんの。

政策を実現するには政権交代するしかない。政権交代のためには過半数を取らねばならない。過半数を取るためには無党派層や自民党支持者を引き入れねばならない。しかし立憲や共産の支持者達は逆に喧嘩を売った。引き入れるべき人達を不快にさせたんです。そりゃ議席を減らすよ。


狂う・3 山口連続放火殺人

リベラル層の発狂(本人達はそう思ってない)を見ていて、山口連続放火殺人事件を思い出しました。この張り紙を覚えてる方は多いのではないでしょうか。

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連続殺人犯は、親の介護のために田舎へ転居します。住民14名(うち10名は高齢者)という限界集落。犯人は狭いコミュニティに溶け込めず、心を病み、殺人に走ります。張り紙の件もあって、当初は犯人の異常性ばかりクローズアップされました。

しかし、住民の様子がテレビ中継されると一転。これ、集落の連中ヤバいんじゃね? となった。

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犯人、包丁で刺されてるの。

しかも「よくあること」「ささいなこと」として笑って済まされてる。

また、集落の人達は犯人に対し、「若いから」という理由で草刈り作業をやらせ、機械の購入費や燃料費まで個人負担させた。さらに作業が終わると、その機械を住民が勝手に燃やし、謝罪も弁償もしなかった。それどころか「あれ、あんたのもんだったの?」と笑い飛ばした。

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退職金を集落のために使えと強要したなんて話まで出てきて、ムラの異常性はネットを中心に広がっていきます。

そこでもう一度これ。

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「つけびして 煙り喜ぶ 田舎者」

異常者が書いた物にしか見えなかったけど、住民達が犯人の自宅付近、わざわざ風上で草を燃やし、煙を犯人宅へ流し込んでいたなんて話を聞くと、見え方も変わってくる

どこまで本当かは分からないし、心を病んだ犯人の被害妄想かもしれない。ただ、少なくとも集会で胸を刺されたのは事実であり、それを笑いながら語るお婆ちゃんの存在も事実です。

田舎に住んだことのある人ならご存知でしょうけど、ド田舎になればなるほど、人口が少なければ少なくなるほど、人々は閉鎖的になり〝ウチ〟と〝ヨソ〟を区別するようになります。東京から田舎暮らしを始めた夫婦が10年経っても挨拶してもらえないなんて話も、普通にある。

慣れ親しんだ人には優しい。優しいどころか徹底して庇うのに、ヨソ者は暴力的に排除しようとする。リアルとネットの違いこそあれど、この閉鎖性と排他性、内向きに固定されたルールは、リベラルクラスタ(立憲らの支持者達)と非常に良く似た構造を持っているんです。


狂う・4 サイバーカスケードとエコーチェンバー

この現象、何か名前があるんじゃないかと調べていたら、なんと総務省のWEBサイトに書いてあった。〝集団極性化〟と呼ぶらしい。ちょっと長いですが引用します。

集団極性化とは、例えば集団で討議を行うと討議後に人々の意見が特定方向に先鋭化するような事象を指す。討議の場には自分と異なる意見の人がいるはずなので、討議することで自分とは反対の意見も取り入れられるだろうと思われるが、実際に実験を行ってみると逆に先鋭化する例が多くみられた。

「カスケード」とは、階段状に水が流れ落ちていく滝のことであり、人々がインターネット上のある一つの意見に流されていき、それが最終的には大きな流れとなることを「サイバーカスケード」と称している。

米国の法学者サンスティーンはネット上の情報収集において、インターネットの持つ、同じ思考や主義を持つ者同士をつなげやすいという特徴から、「集団極性化(カスケード)」を引き起こしやすくなる「サイバーカスケード」という現象があると指摘した。

これ、心当り無い?

企業でもこれ、そうでしょう。ホールの現場やメーカーの一部署に至るまで、「あいつは無能。イジメてもいい奴」といったイジリコンセンサスができると止まらない。狭い社会は狂いやすい。

さらにツイッターのようなSNSは、エコーチェンバーが働きます。これも総務省が丁寧に言語化していますのでご覧ください。

「エコーチェンバー」とは、ソーシャルメディアを利用する際、自分と似た興味関心をもつユーザーをフォローする結果、意見をSNSで発信すると自分と似た意見が返ってくるという状況を、「閉じた小部屋で音が反響する物理現象」にたとえたものである。

音が反響するように、発した声が広がり、拡散し、形を変え、再び自分の耳に届くことで、自信の正しさを確信してしまう。するとどうなるか。

集団極性化はインターネット上で発生している。個人や集団が様々な選択をする際、多くの人々を自作のエコーチェンバーに閉じ込めてしまうシステムが、インターネットには存在する。

過激な意見に繰り返し触れる一方で、多数の人が同じ意見を支持していると聞かされれば、信じ込む人が出てくる。

安倍総理を殺人者扱いする医師も、刺したことを笑いながら語る老婆も、根源は同じ。カスケードとエコーチェンバー。狭いコミュニティの中で同質性が極まり、他の価値観を一切受け付けなくなったのではないか。


狂う・5 京王線放火殺人未遂事件

開票速報の真っ最中、京王線で男が車内に火を付け、人を刺したという速報が流れました。

「無敵の人か!?」と瞬時に感付いた人も多いでしょう。

無敵の人については以前執筆したので、そちらを読んでみてください。無料公開しました。

ジョーカーに憧れるこの犯人が〝無敵の人〟かどうかは分からない。ただ、ネットによる集団極性化(サイバーカスケード)と反響的な増幅(エコーチェンバー)を考えたとき、その究極は、個人の引きこもりではないかと思った。

自分の脳という究極に狭い空間で、自分の意見だけがハイスピードで共鳴し、極論へ至る。社会がこれに気付くことは不可能だし、気付いたところで積極的に関わる人なんていない。むしろ「やべーやつ」として遠ざけるでしょうし、誰しも自分が狂ってないことを証明できない。

かくいう僕も、原稿を書きながら「大丈夫かな、狂ってないかな」と気にします。LINEグループのやり取りでも、ふと自分は会話には入れているのだろうかと不安になる。

アベアベスガスガとツイートする人達は、大学教授や作家、映画俳優や真打の落語家など、社会的な地位の高い人を多く含みます。彼らの主張は強い影響力を持つ。また、万単位のフォロワーを抱えるインフルエンサーが論理的に主導します。

そういった「すごい人達」の発言を見て、自分の正しさを確信する人がいる。次々と「いいね!」をもらい、〝孤立〟から脱却する。喜び勇んで自信満々に〝真実〟を書き連ね、実社会でもそれを発露する。

こいつは狂ってしまったと友人知人は遠ざかるため、〝真実〟を知る人達だけの狭く居心地の良いコミュニティに依存する。常識的に論理的におかしい行動を取っても、狂った自覚すらない。(狭い職場や田舎の集落もこれ)


一方で、狭いコミュニティすら作れず、脳内で自己完結して狂う人達もいる。社会から孤立し、脳内で葛藤し、脳内で真実を見出し、脳内で共感し、狂った自覚すらないまま電車に火を付ける。

ネットによる集団極性化(カスケード)は、SNSがエコーチェンバーとなり、狂う。個人の脳内で発生すれば無敵の人と化す。政治思想にせよ宗教にせよ、狂う本質は〝孤立〟です。

狂った人を救う手法は確立されておらず、そもそも自分が狂わないようにするための処方箋すらありません。政治にしろ仕事にしろ、家族にしろワクチンにしろ、イライラすることに丸一日囚われるようになったら、もう狂っているのかもしれませんね。

僕は今、リベラル系の政治原稿を書いています。これまでの自分には想像もできなかった仕事で、執筆自体は苦痛だけど、とても面白い。また、人間関係の希薄な人生なので、なるべく見聞を広めようと旅に出ています。もしも僕が「狂ってない」ならば、そういった活動のおかげかもしれません。


おまけ・保守派も酷いぞ

入口として枝野幸男とその支持者を取り上げたけど、保守派も大概です。

かつてネット右翼は、「韓国には新婚初夜を父親が奪い孕ませる『試し腹』という風習がある」なんてデマをばら撒きました。

元ネタはネット上のエロ小説で、舞台は中国。韓国は無関係。著者を調べたら日本人でしたというクソみたいなオチだった。

当時の保守派は狭いコミュニティで嫌韓ムーブにキャホキャホしていたため、エコーチェンバーの中でデマは拡散され続けました。デマだぞと指摘すれば「お前は朝鮮人か」「なりすましは半島へ帰れ」と言われたものです。

ああ、こうやって社会は分断化していくんだ、人は狂っていくんだと思わされたものです。


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