【詩】水の顔を知らない

いつだって顔がない夢の中
水が何を棲まわせ
何に向かって満ちるのか

いつも顔のない夢の中
水の予感と水の色形
ざわつく命のない浜辺

水槽の中溢れようと
嵩を増す透明な質量
厚いガラスを破ろうとする
未だその水の顔を知らない

だから
水は焦燥を溶解し潮になる
急ぐ船、大きな魚、流れ落ちる、
顔のない夢の中

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