【詩】バイオレット・ダンス

月光よりも、
なんて美しいシロップ
君が嫌いなバイオレットの香り
悲劇の宝石を溶かしたような
甘苦い重いカクテルのなか
僕とダンスを

沈みゆくシルバーシュガーゆっくりと
飛んでいく微かな炭酸の空世界
暮れない夕紫のユートピア
藍色のドレスを揺らして
切り抜かれたハート
抒情的なピアノを鳴らし
透明な哀しみの青色の
僕とダンスを

額装されないカンバスに
毒のように甘い百花蜜
二人で描いた絵
渇きを癒すこのカクテルに
僕は満面の笑みで君を誘う
僕とダンスを
一番甘美な短調で聴かせて

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