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私が好きな詩4
小岩井農場
わたくしはずゐぶんすばやく汽車からおりた
そのために雲がぎらつとひかつたくらゐだ
けれどももつとはやいひとはある
化学の並川さんによく肖(に)たひとだ
あのオリーブのせびろなどは
そつくりおとなしい農学士だ
さつき盛岡のていしやばでも
たしかにわたくしはさうおもつてゐた
春と修羅
宮沢賢治
詩集「春と修羅」のなかの「小岩井農場」の始まり。小岩井農場を今はない軽便鉄道で訪問したときの旅行記を詩で描いたものだ。妹のとしこの死を描いた「永訣の朝」も好きだ。でも、つらすぎる。
賢治は身近な出来事をえがくとき詩のかたちにする。そのことで現実と宇宙との境目がゆらぎ感覚がつよく伝わってくるように思う。
賢治の内面の孤高のさびしさと、皮膚の肌寒い夏の高原を感じさせる。小岩井農場バターが発売されたとき、この場所の実在を感じて行って見たいと強く思った。写真は2015年の5月に行ったときのもの。
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