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「ながたんと青と」世の中の変わり目

漫画「ながたんと青と」が有料チャンネルwowowで実力派である門脇麦主演でドラマ化されると聞き思わず加入してしまった。
この漫画は日本映画のみでなく、世界的に映画黄金期だった1951年の京都の話なのでぐっと来たのだった。
日本でいうと新しいアメリカの価値観と古い日本の価値観がしのぎあった時代で、ものすごく皆張り切って映画を作っていた時代だ。
小津安二郎、黒澤明、諸々の名監督が名作を連発していた。

あの頃は戦争後だったので戦死した年下の夫の兄弟と再婚する人も多かった。家を大事にする時代だったので、女性が上の年の差婚は当たり前だった。でも、さすがに女性が年下の方が多かったとも思う。老人が介護を当てにして若い未亡人と結婚することもまだまだあった。
しかし、そういうことを気持ち悪いと言っていい価値観が入っていて混乱をきたしていたのが1950年代前半だと思う。

その世相を描いた映画では、成瀬巳喜男監督のヒロイン高峰秀子で相手役が加山雄三の「乱れる」が傑作だと思う。加山雄三は暗さを秘めていて演技も上手いなって唸ってしまった。のちの若大将シリーズというアイドル映画で成功した彼はファンのイメージを大切にしてそういう演技は封印したみたいだけど。
この映画では年上の兄の未亡人を恋い慕う男の悲劇を描いている。あの頃はそういうの気持ち悪いよねっていう映画が多かった。
ダイエーやジャスコといったスーパーの始まりも描いていて社会派の映画としても面白い。

しかしながら、この世代の人達は戦後のベビーブーマーの親の世代なんである。彼らの歪な婚姻を気持ち悪いものとしてだけでみたくない。
そういう視点も孫世代から出てきてんだなってのをこのマンガから感じた。

今回のドラマ化で原作を読み直したのだが、京都の時代考証やキャラの巧みさストーリーと美味しそうなお料理のからみが楽しくて唸ってしまった。

ドラマはヒロインいち日の15歳下の夫である周役が実年齢の作間龍斗で生々しくて困惑した。しばらく、ドラマから遠ざかってしまった。
そうか、少し年上の俳優さんが演技力で若者を演じるのは意味があったのね。演技だと思うと気持ち悪さが許せるのだ。実年齢って良し悪しある。

ジャニーズ所属の作間龍斗は意欲作である藤木道人の「ヴィレッジ」にも出てんのね。私はいくつか見た藤木道人の映画には、なんかなと思うとこあるんだけど、今度の大河の主役である横浜流星を見出したり才能はある人だと思っている。
そう、作間龍斗は演じたい人だったのだな。
周というキャラは養子制度で事業を伸ばそうとする封建的でえぐい家庭に育っていて、大人びて暗い。
この人は年齢相応の生命力と傲慢さ暗さがあり、キャラにピッタリの俳優さんだと思う。

この原作はそういった封建制の枷をお料理のちからと愛で変えていこうとする話で好きなんだ。ドラマも30分できちんとまとまっていて、脇も固くていい。そろそろ話が盛り上がってきて見入ってしまう。


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