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共に生きること 映画「ローマ」

 アカデミー賞の映像の美しさで思い切って見てみた。映像配信Netflixってのも抵抗があったし。彼の映画をはじめて見たのはハリー・ポッターだ。スペイン風の建物のらせん階段の映像が印象に残った。アカデミー監督賞の「ゼロ・グラヴィティ」もみたけど、ぴんと来なかった。映像の人かなっていう感想だ。今回の映画「ローマ」は、自らカメラを回しているので、映像の人という印象は変わらない。でも、映像のすばらしさで物語をかたるという作家性が出ていて、初めていいなって思った。幼いころにお世話になった家政婦さんへの思いを語った、プライベートな物語でいいなとも思った。

 こどもたちがあこがれるやさしいお姉さんとしての視点はありふれているけど、むかし、唱歌「あかとんぼ」で出てくる「ねいや」っていう言葉ありましね。淡い性的なあこがれと、相手の子育て準備としての子どもとの接触への思い出。それも今は、まずしさを背景にして、搾取としてあつかわれる。話がそれるけど、日本で保母さんの給料が安すぎるのも、それへのノスタルジーだと思う。子供のころ受けた愛をお金に変えたくないという幻想。

 それだけだったらこの映画は面白くない。新しいなっと思ったのは、主人公の家政婦さんの主観がすごく表現されていたことですね。そういうものはなかったわけではないけど、階級間の搾取の問題にされがちだったと思う。この映画で、家庭を守るための要員としての、誇りみたいなのが出ていたと思う。もちろん、教養ある中産階級の話だし、本人もかたい田舎の家庭のひとなんで、考えもあるひとたちだったようだし。でも、雇い主の家族も本人もおろかな普通の人として、男女間の問題や、メキシコの政治の不幸、格差といった、色々な互いの立場に向かっていくうちに、絆を深めていく姿は、共に生きるってそういうことだったなあと改めて思い出した。そうだ、人は人として助け合って、やっと生きていくんだという強い思いが、物語が進んでいくと実感された。ラストの海岸の場面のせつなくうつくしい場面は胸をうたれたなあ。映像がものがたるってそういうことなんだろう。

 ちょこっとだけの感想。Netflixは、作品が、まだまだ少ないし、オリジナルは自由度は高いけど、玉石混交だ。だから、月額高いなって思う。でも、だらだらとコンテンツを流す有料テレビよりいいかって思う。映画館に打撃っていうけど、ここで作りたいのは、商業的でなかったりするものや連続ものだと思う。作り手にとっては魅力のすきまなので、商売すんなとは言えないんじゃないか。それにやはり連続ものはこういった場所が向いていると思うし。

 この映画「ローマ」すぐ見れるもんでもないけど、必ず、いつか劇場公開できるように作られていると思う。要は作り手がどうしたいかだ。なんで、ここに感想書いてみます。今の視点のある、いい映画でした。



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