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私が好きな詩1「シカゴ詩集」

世界のための豚屠殺者

機具製作者、小麦の積上げ手
鉄道の賭博師、全国の貨物取扱い人
がみがみ怒鳴る、ガラガラ声の、喧嘩早い
でっかい肩の都市
(安藤一郎訳、岩波文庫)
シカゴ詩集から
カール・サンドバーグ

初めての詩集は新潮文庫の「カール・サンドバーグ詩集」だった。本屋さんの棚の様子まで覚えている。読んでみると近所の工場のトタンの壁から聞こえてくる機械音が浮かんだ。この抜粋は20世紀初頭の新しい町シカゴをたたえた詩の始まり。

感じとしては、「Born in the USA.」のブルース・スプリングスティーンの走りのような詩だった。アメリカの荒々しい初初しさと影を称えた詩だと思う。

彼は組合運動を支持したのもあって左派詩人としてされている。下町で本を買う人は左派を信奉する人が多かった。古本屋ではエドガー・スノー著書「中国の赤い星」を読んだりして自然と染まっていった。その中で、映画が紹介され始めた「覇王別妃」のチェン・カイコーの「私の紅衛兵時代―ある映画監督の青春」があって、人間の怖さに驚き、正しいことって簡単なことじゃないなって感じた。

 今のチェン・カイコーの様子を見聞きし、アメリカの労働者の退廃を見て物事は変化する。それは当たり前のことだと感じた。サンドバーグが伝記を書いたリンカーンが共和党の大統領だったというのも象徴的だ。

今、これらの本を読んでいる人っているのかな。でも、そういった背景をなくしても、彼の詩は心にとどまっている。鉄道工事の人を描いた詩なんか好きだったな。

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