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「レオナール・フジタとモデルたち」展

 先日、府中の回顧展に行ったのですが、戦前のパリ時代の絵がもっとみたくなって、がんばって、千葉、佐倉の川村記念美術館に行ってきました。特に後期展示される「タピスリーの裸婦」が見たかったのです。フジタの裸婦のなかでは、カラフルなのがいいなあと思ったので。見ましたが、多幸感のある絵ですね。好きです。所蔵品のアンナ・ド・ノワイユの絵はどちらというとモデルに引っ張られた絵で、面白いです。彼のなかでは、未完とされているようです。フジタはいろんな女性を描いたのですが、どこか似ている。彼のなかの理想の女性像を描いているのだなっと、今回、強く感じました。ミケランジェロの壁画に感動して描かれた大作、「ライオンのいる構図」ほか三枚が、フランスから来てました。なんというか、平面的なムキムキさがあって、漫画っぽい。あ、ミケランジェロ自体が漫画っぽいですけど。その延長で、「秋田の行事」、「アッツ島玉砕」があり、描きたい絵にひかれて人生が動いていくということなんだろうなあと思いました。

 「アッツ島玉砕」は、30年ほどまえ、教科書にあった岡本太郎の「痛ましき腕」を見に行ったとき、いっしょに展示されていました。戦争画があったのかとの思い、そして異質さに驚きました。今思うと、日本の屏風絵とかでなく、西洋の歴史大作からのアプローチが、異質だったんだと思います。 フジタは求められる要求に絵を合わせて行くタイプ、売り絵もたくさん描いたひとですが、岡本太郎は真逆な制作態度ですね。父の岡本一平は芸大の同級生だったらしいですが、フジタはともかく、岡本太郎は、若い時は、確かに意識してるなあと思います。同じようにメキシコに行ったりね。

 川村記念美術館は交通が悪いので、東京駅から直通のバスがあります。でも、なんだか味気ないので、佐倉までのバスを利用しました。そちらは、美術館のバスなので無料です。庭もよく、すばらしい美術館なのですが、ただ、まわりになにもない、といって、佐倉駅前にも洒落た店もない、観光の町ではないのでしょうが、町歩きするところがなく、あまりにも殺風景なのがな。アイヌの風俗を描いた「夷酋列像」を見るため、佐倉城跡にある、国立民族学博物館にもいったのですが、そこは、明治以降の展示がすばらしい。初めて見たものが多かったです。城跡もすばらしいし。藩主の堀田家の、明治時代のお屋敷も、テレビでやっていて感心しましたが、なんか行きづらい感じです。佐倉、もったいないぞ。そこを割り引いても、展覧会は、1月の半ばまでやっていますので、お正月休みいいかもしれません。もちろん、フジタは財団もしっかりしているし、「タピスリーの裸婦」は京都近代美術館、「アッツ島玉砕」は東京近代美術館、作品も日本にたくさんあり、常設展で見る機会があると思います。私は、日本とそれを取り巻く世界をどう感じるかのヒントがあるような気がします。

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