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勝手にふるえてろ 心とからだ

最近見た恋愛映画で面白いなって思ったのは、松岡茉優主演、大九明子監督の「勝手にふるえてろ」だ。まあ、三年前ですな。年とるとそんなもんです。

ちょっと年増になった若い女性の恋愛にいたる過程を描いたもので私好みでありました。私はシュークスピアのロミオとジュリエットが好きだ。性的衝動と恋愛が一体化している話である。そのテイストが現代的にアレンジされていて面白かった。

松岡茉優演じる女性は学生時代の片思いにとらわれて暮らしている。地味な職場に勤めていてダサい制服を着てお昼寝の時間があったりする。

今どき、社内恋愛が主流ではないから、浮足立った雰囲気もないですね。

その中で少しづつ女子やらの主流から外れつつある。だからか、趣味の化石集めにお金を投入して気持ちをまぎらわしている。

その彼女が会社の同僚の鈍感な男に迫られるなか、片思いの男性と会うために自分が主催であることを隠して同窓会を企画する。そのあたりの小ずるさが松岡茉優にぴったりなんである。演技上手いですね。最初、美人すぎると思っていたのですが、ダサい女に見えてくる。

その結果、彼女は現実の片思いの彼が彼女のことを覚えていないことを知ってしまう。でも、妄想の中の彼、イチが忘れられないのである。しかし、ぐいぐいと迫ってくる身近な男二にも心惹かれていく。彼女、名前ですらさえ妄想しない。生々しさが嫌なんですね。

しかし、性的衝動が、どうやら学生時代に彼女が負っていたらしい心の傷をえぐっていく。彼女は自信がなくて男に声もかけれなかったのである。

もちろん、ハンサムな彼が自分を振り向きもしない事もうすうす感じている。でも、彼女が思うところの誰もが憧れているだろう彼でなくてはいけなかったのであろう。

そういう少女時代を過ごした女性は結構いるであろう。大概が忘れてしまうけど、それに執着する人は、男女問わず一定数いますな。過酷な現実がそばにある人が多いような。この年になるとそれを痛ましいと感じる。まあ、本人の勝手だけど。

そこを彼女の性欲が小気味よく裏切っていく。それが爽快なんだな。

恋愛の物語には性がきちんと絡んでほしい。生々しい生への賛歌がほしい。それが悲劇につながっても。幸いこの映画はハッピーエンドなんであります。

ずっと、ジュリエットのように14歳を生きている人は多いと思う。でもね。人は死ぬんです。それからちょっとずれてもいいし、そういう変化がある世の中であってほしいよね。そういう映画だと私は思っている。



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