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たべること、生きること

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2016年4月の記事一覧

おにぎり

おにぎり

 えびの天ぷらを握った天むすをみて驚いた。そうか、この手があったのか。えびの甘みが香ばしくて、お酒にもよくあう。おいしいではないか。油っこいのもありだ。今はから揚げをいれたおむすびもある。衛生的に冷蔵できるコンビニがふつうになって、いくらやらまぐろやらの生っぽいおにぎりもふつうに食べれるようになった。普段、そんなゆたかなおにぎりを私たちは楽しんでいる。でも、日常はちょっとした自然のきまぐれであっと

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たまごやき

たまごやき

 むかしはたまごやさんで卵を買っていた。籾殻のはいった台に置かれた卵をいっこいっこライトに当てながら買うのって楽しかった。そんな命をいただくおごそかなたべものだった。

 卵焼きはなれないとむずかしい。それに、むきあったのは結婚後だ。なぜなら、夫の実家ではお正月のおせちに京風の出汁巻きたまごを必ず入れるからだ。どうやら、それを売って、ご先祖様が生計を立てていたありがたいたべものらしい。だから、真剣

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まぐろのおさしみ

まぐろのおさしみ

 まぐろは江戸時代の後半からさかんに刺身でたべられるようになったらしい。この前、読み直した本によると、理由のひとつは、濃い味がお醤油にあうということだったらしい。目からうろこだった。そうだよな、わかります。あの濃厚なあぶらにからむのはたまりませぬ。江戸時代に野田あたりで新しいおしょうゆができたから、まぐろがより美味しくなった。まぐろが江戸前すしもそのわけだったか。

 そういえば、まぐろのとろが美

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いちごのショートケーキ

いちごのショートケーキ

 1996年に発表された華原朋美のうた、「I'm proud」の歌詞で「いちご」が出てくるのは彼女が提案したことらしい。女の子がいちばん好きなものだからだそうだ。その話を聞いて、いちごはケーキに乗っているいちごなんだと私は感じた。

 人混みをする抜りぬける 大人が誘いの手を引く と二番の歌詞がはじまり、I'm proud 届きそうでつかめない いちごの用に 甘く切ないこと 夜中思い浮かべていた

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鯛

 鯛が嫌いだった。養殖にたいする偏見で、抗生部質のお薬まみれのわけのわからん餌を食べさせてるという噂もあったからだ。でも、ほんとは大量の数とかたちがそろった宴会の鯛の塩焼きが、かちかちに乾燥して出されてるのがとてもまずかったからだとおもう。ついでに小さな睨み鯛のお膳のまえで、森繁演じるおっさんが、温泉で浴衣をはだけて、若い社員さんにエッチなことをいうというのも浮かんでしまう、昭和のだらしない部分の

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