とある、定員さん。

先日、一人で娘達を連れて買い物に行った時のこと。

前日までは肌寒かったのに、急に春の暖かさ。

暖かくなると花粉も踊り出す。

わたしも娘も花粉症で
くしゃみが出だすと止まらない。
私と娘の鼻も踊りだす。

「でも、せっかく外も暖かいし
お散歩がてら買い物しよっか!」

久しぶりに外をぶらぶらすることになった。

最近は子供も大きくなり
荷物も小さいバッグにお財布と
ティッシュとハンカチがあれば充分。

そんな軽量な装備でお散歩しながら
ウィンドウショッピングをしていた。
いろんなお店に入ってはうろうろ。うろうろ。
心なしかどこのお店の中も暖かい。
暖房入ってます?くらい暑いお店もあった。

そして子供達が大好きなお店に着いた。

「春休みだから好きなもの買っていいよ。学校で必要なものも好きなものを選んでいいよ。」

長女はとってものんびりさん。
何でもいいよ、何個でもいいよというと
決めるのにすごく悩む。


これは持ってたよなー。
これは使わないかなぁ。
どのキャラクターで揃えようかな。
どれが良いと思う?
どれが可愛いかな??
ママはどれが好き?
○○(妹)はなににするの?

決められないから誰かに決めてもらいたい。
でもこれにしたら?
って言っても絶対買わない。

これどう思う?可愛い?
これでもいいかな?

自分が選んだものにイマイチ自信がなく
必ずと言っていいほど聞いてくる。
えーーー。と言っても結局それを買うが。(頑固)

次女は反対に即決。

あ!これ!可愛い!これにする!

だいたい店内一周くらいしてすぐ決まる。
これと思ったら他が目に入らない。
これがいいのだ。欲しいのだ。
うん、私にそっくりだ。

15分ほど悩んだのかな。
(もっと長かったのかもしれない。。)
やっと決まってお会計。

急に長女があたふたし始めた。

「まま!!!鼻血!!!!」

小さい声で娘に言われた。

「え?????嘘でしょ?鼻水じゃないの?」


暑いからなのか、花粉症でくしゃみしすぎたのか?
そんなことが頭をよぎりながら
鞄からティッシュをだす。

。。。。。
ポケットティッシュに後少ししか無い。
焦る。焦る。困る母。

とりあえずあるティッシュで抑える。
しかしお会計もしないといけない。
カード挿しちゃった。暗証番号とかいってる。
後ろにも人が並んでる。
どうしよう。
とりあえず娘の鼻の上の骨を押さえる。
娘を見ればマスクの中も血だらけ。
マスクから垂れて服も血だらけ。
わたしはあたふた。
どうしよう、もうティッシュもない、
しかも止まらない。めっちゃ出る。
すぐに真っ赤に染まるティッシュ。
あぁ、ティッシュもうないよ。
なんでこんなに出るの?
今までこんな鼻血でたことないよ。
どうしよう。
箱ごと持ち歩けばよかった。
もうなんでこんなに出るの。。
どうしよう。


「ティッシュとマスク売ってるか見てこれる?」

冷静なふりをして次女に伝える。

「見てくるね!いそぐね!」

次女も困ってお店に売ってるかみてきてくれた。

その時裏から店員さんがティッシュを持ってきてくれた。

「お会計後でいいのでまずはお子さんを。」


隅っこの少し見えないところに移動させてくれた。
幸いにも床には垂れておらずそのまま移動した。
びっくりするほど娘の服が血だらけだ。
他のお客さんに見えないように隠してくれた。

「大丈夫だよ、びっくりしたよね。
気にしないでいいからね。大丈夫だよ。」


娘に言ってくれた言葉だが、
同時にわたしにも言ってくれているようだった。

(何かの病気なのかな)
(わたしひとりでどうしよう)
(誰か助けて)

私の心の声がダダ漏れだったのかもしれない。

いつどこでも聞く、

「大丈夫だよ、気にしないで」

ありきたりな言葉だけど
すごく救われた。嬉しかった。
箱のティッシュ半分くらい使って
やっと止まった。。

コロナ禍のなかでゴミも気にせず捨てて下さった。
室内を冷房強めにしてくれた。
そしてなんと替えのマスクまで持ってきてくれた。

「娘ので、もしかしたら少し小さいかもしれないけど、マスクがないと大変でしょ?使って?替えに何枚か持っていって?」

「ありがとうございます、マスク代とティッシュたくさん使ったので代金を払わせてください」

「いいのよ!わたしの私物のだから。お金はいらないのよ。子供っていつどこでなにがおこるかわからないよね。困った時はお互い様よ。大丈夫。誰かが困ったら助けてあげたらいいの。」



その場で泣きそうでした。
胸が熱くなりました。

コロナ禍で接触とかソーシャルディスタンスとか
そういうのが厳しかったりする中で。

コロナに支配されながら生活し始めてはや数年。
人との接触をなるべく抑えて生活をする中で
久しぶりに人のあたたかさに触れた。

些細なことかもしれないけど
こんな時期だから尚更嬉しかった。

《困った時はお互い様》


昔おばあちゃんが、近所の人とこんな話してたなぁ。
なんか昔のドラマとかで聞いたような。
そんな感じかもしれないけど、
この心は忘れちゃいけないんだと思った。

私の心に刺さった。

度が過ぎるとお節介と言われるかも知らない今の世の中。
現実社会では干渉されるのが嫌だけど
寂しいからSNSやったりとか。
SNS上でしか優しくできなかったりとか
逆にSNS上でしか強くいられないとか、
なにかと矛盾が多い現代かもしれない。

いろんな表現が増えていく中で
言葉を使って伝えることが
だんだん難しくなっている。

単純な言葉かもしれない。
けど私と娘達にはとても嬉しくて心に響いた。


「お互い様って何?」

帰りの車の中で娘に聞かれた。

「助けあおうねって意味かな?」

咄嗟に言われて正解かもわからないけど答えた。

「ふ〜ん。でもティッシュもらえてよかったね。なんか買ったから優しくしてもらえたのかな?」


うん、次女よ、だいぶ違うけど。

「違うよ、買わなくてもきっとあの店員さんは助けてくれたよ。ティッシュもらえて本当よかった、明日から3つくらい持とうー。」

と。本人はなんとなく意味はわかってくれていたようだ。

悪い意味で使われることもあるお互い様。

言葉って難しいけど、
なるべくいろんな言葉も
いい意味で使いたいな、と。


そんな私と娘のドタバタお散歩。
お洋服も血だらけになってしまったので
縦一列で手を繋いで車まで戻りました。笑

店員さん、その節は本当にありがとうございました。
ノートを通してご本人に届いたら奇跡だなぁ。

でもきっとまたお店に行くと思うので、
可愛いのとカッコいいマスクを買って伺いたいです。
わけてくれたお子様用に✨


本当に助けてくださりありがとうございました。

優しさの連鎖が世界中に広がり、
苦しむ人が少しでも減りますように。
平和を祈ります。


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