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映画ログ:合理性についてのあれこれ、「窓際のトットちゃん」の感想と12/9土曜日の日記

土曜日の朝は、ちゃんと早起きをして、9時半から一つコーチングセッションを実施。

今日のクライアントはもう五回目だ。士業で独立後1年ほどの方なのだけど、ずっと経営的に正しい判断を選んできた結果、自分がワクワクすることへの気持ちが置いてけぼりになってしまった様子に気が付く。セッション中に好きな楽器を弾いてもらったり、本棚にある一冊から文章をランダムに引き抜いてもらって考察を得たりと、いくつかの遊びみたいなワークを通して、「心を満たすための(一見合理的ではない)仕事をしてみよう!!」という、合理性の世界からするとはみ出し感のある答えに到達する。

普段はカチッとした印象の方なのに、少しいたずらっ子みたいな表情も垣間見えて、ああ今日もいいものを見せてもらった!!コーチングは幸せな行為だと思いながら終える。

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昼。

土曜日授業のキッズの帰宅前、子どもたちの昼食のチャーハンを残り物で用意。小学校の体育館でで開催されている絵の展覧会を見にいく。体育館いっぱいに掲示された作品の数々、子供のエネルギーの強さと乱雑さに気圧される。帰宅後は大急ぎで家の掃除をする。ベッドのリネン交換、トイレ掃除、掃除機、拭き掃除などに集中して1時間半ほどでかなり綺麗に。

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午後。

娘ちゃんが金曜日に公開されたばかりの『窓際のトットちゃん』の映画を見たいというので予約して出かける。彼女は、毎晩寝る前に夏目漱石の『こころ』とか、黒柳徹子の『窓際のトットちゃん』の朗読をいつも聞いていて、暗唱してしまっている。トットちゃんの自由さには共鳴するみたいで、珍しく公開日直後に見ることにこだわっていた。娘の奔放さは、大人になってしまった私のロールモデルなので、この願いは応援せねばならぬと思って息子も誘って3人で渋谷の映画館へ。

前情報ほとんどなしで見たのだけど、本当に素晴らしい映画だった。テーマは、「許されること」のように思う。平均的な子供に比べたら大きめにはみ出した、好奇心旺盛なトットちゃんを寛大に許す小林先生、彼女のご両親、友人などとのやりとりに、何回も涙が溢れてくる。今では考えられないことだけど、トットちゃんは変わり者すぎて最初の小学校からは転校を促されてしまう。また、戦前から戦時中にかけて学校が閉鎖されたり大切なお友達が亡くなったりと様子が変わっていく環境の中で、トットちゃんは良い大人たちに囲まれて、その奔放さを健康に育んでいく様子が進む。これがあっての徹子の部屋か!と30年越しくらいに合点がいく。

多分、見る人全ての中にいる「はみ出し者」が、この映画を通してちょっとずつ許されるんだと思う。「君は、本当はとってもいい子なんだよ」と小林先生がトットちゃんを抱きしめるシーンでは、あちこちからすすり泣きが聞こえる。

例えば、お財布をボットン便所に落としてしまったトットちゃん。肥溜めをひっくり返してお財布探しをしている様子を、小林先生は放っておいてくれる。「最後は、元に戻しておくんだよ」とだけ言い残して。やり切らせてあげて、結局お財布は見つからないのだけど、トットちゃんはきちんと達成感を味わう。そしてお風呂に入れて、新しい衣服で帰宅させてあげる。

ああ、そうだ!!!誰だって、許されたらいいよね、私も母として寛容であろう!!!!と、と思いながら映画館を出たら、娘がとりあえず目につく店を指して「サーティワンがいい!!」「くら寿司行こうよ!!」「ガチャガチャやりたい!!」と極めて消費的な要求を十回くらい繰り返すので、尊い子どもたちを許して受け入れようという気持ちは、スゥ・・・っと消えた。

でも、娘を封じ込めるのではなく、今日は別のアプローチ。
「ママもー!もう今日はご飯作りたくないから全部やってほしー!」「お布団までご飯運んできてほしー!」「肩揉み券もほしー!」と返してみた。

「ははは。無理だよ。ママ、自分でやりなよ」と娘に言われてこの会話は終わりになったのだけど、多分私が「うるさい!家で食べるんだからもう黙って」というよりはマシだったはず。

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夕方。

帰宅後は、またコーチングのクラスメイトとのコーチング練習会。今日のテーマは、挑戦・要求・設問、というもの。ワカメは相手に対して要求をするのは失礼なんじゃないか?と思ってコーチング中も遠慮しがちだったけど、相手が要求を断ることができるスペースさえしっかり確保していれば、きちんと要求をするのはむしろ親切だなと腹落ちした。例はおかしいけど、娘のサーティワンの要求を断って、スルメで返したっていいんだ。

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夜。

晩ご飯は、子どもたちの大好きなセセリ(とほんの少しの牛肉)を買ってきて、お家焼肉。えのきを鉄板で焼いてお醤油をつけると無限に食べられることを発見する。

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今。

そして寝る前に、大学の同級生がSNSでシェアしていたボスコン出身の人3人がお笑い芸人にインタビューされる動画を見る。ものすごいハードワーカーが、経営コンサルとして高い成果をあげている経験談など。

これを見て、私は「合理性」の大切さは職業的には完全に受け入れて実行しているけど、個人的な関心は全くないんだった、ということを改めて確認する。この動画で紹介されているような、「通常の16倍速での成長」なんてまるでがん細胞そのもののような挙動に聞こえるし、自分の存在価値を入社三日目に上司に対して証明なんて、全然したくない。そういうのは、やりたい人がやればいい。


本当に面白いことは、全部不合理の中にあると思うし、そういう世界の住人として生きていこうと思った土曜日。きっとトットちゃんも同意してくれるはず!


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