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チームビルディングとコンセプトの確立。奨励ピッチ優勝の裏側に迫る【enXross HACKATHON 参加者インタビューvol.1「Team Hero」】

皆さん、こんにちは。
enXross 事務局の木村です。
 
先日行われた「enXross 2nd」は、大盛況のうちに幕を閉じることができました!
ブロックチェーンをテーマにして行われた第一回から、今回は「XR」へ。「XRを活用して『東京ドームシティの体験をアップデート』する」ハッカソンが開催されたこともあり、「XR×エンタメ」が持つ可能性、そして「東京ドームシティとテクノロジー」の親和性が十二分に詰まったイベントとなりました。
 
「enXross HACKATHON」は国内外から258名のアイデアが集まり、93チームから10組による最終プレゼンテーションが行われました。そのハッカソンにフォーカスを当て、今記事を第一回として、決勝に残った日本チーム全6組。そして奨励ピッチの優勝チーム1組、合わせて7組の記事をお送りします!
 
それでは第一回は奨励ピッチで優勝を果たした「Team Hero」です!プロデューサーとしてチームを編成された、サイバーエージェント XR研究所所長のイワケンさんにお話を伺いました。

東京ドームと「Team Hero」、双方のコンセプトの合致

決勝進出こそならなかったものの、ファイナリストとそん色ないチームには「奨励ピッチ」の場が用意された。メインステージでのピッチではない中で、次第に集まった多くの観客。見事激戦を勝ち抜いた「Team Hero」には優れた戦略があった。

―――(イワケンさん)自分がプロデューサーという立場なのでチーム編成から行いましたが、プランナーのあくびさんが、東京ドームを目指すというコミュニティをやっていることを2月~3月から知っていました。彼女のコミュニティの「現実世界で活躍する主人公」というテーマのコンセプトに僕はすごく共感しているところがあって、自分がやっていることに自信を持つとか、それが輝ける場所を作るみたいな、さらに彼女自身も東京ドーム目指しているという中で、それらすべてをぶつけたいと思いました。

自分の活動スタイル、会社でも個人でもそうなんですけど、普通だと「こうやれば儲かる」といったの会社のロジックがあるじゃないですか。XRみたいな領域ってそれだけじゃなくて、「これって面白いよね」っていう本気でやる仲間を見つけるのが勝ち筋であったりするので。そういう意味でenXross参戦はめちゃくちゃうまくいった事例だと感じています。仲間を集めるという意味では、ものすごくいい仲間が集まったなと。巻き込みやすい人で表現力の高いARエンジニアと、才能豊かなクリエイターも加えて、4人でスタートしたんですよ。

そのチームビルディングが上手くいったと思っていて、かつコンセプトも「主人公誕生の聖地にする」ということで、いろいろかみ合ったのが良かったです。東京ドームさんのホームページを拝見して、「感動を共有する」というコンセプトもかみ合っていて良かったです。やると決めたら、後はみんなで集中して作るだけだという感じでしたね。

「本気でやる仲間」ベストメンバーの4人でenXross HACKATHONに臨んだ

「唯一映像を見て泣いた作品でした。感動したんですよね、世界観というかストーリーに」

enXross HACKATHON アドバイザーである株式会社ホロラボ・松江澄人さんは言う。「ファイナリストに残せなかった作品が色々ありましたが、感情に訴える点では『Team Hero』がトップクラス。全作品映像を見た中で唯一泣いた作品でした。感動したんですよね、世界観というかストーリーに」。
今回のストーリーは、プランナーのあくびさんが弟にリアルサプライズするという内容だった。


―――(イワケンさん)選考の時の提出資料としては、「サプライズしました」というところでおしまいでした。ただ、そのあと当日の奨励ピッチでは、弟さんの行動が変わったという話をプレゼンに入れたんですよ。ヒーロー戦隊が好きだった彼は今まで自信が無かったのですが、「ヒーロー戦隊が好きな弟もかっこいいよ」というサプライズを受けてから、その後脚本を書き始めたりとか夢に向けて行動し始めて変わったんです。そういうところもセットで賞を頂いた理由かなと思います。

もともとのアイデアとしては「主人公体験」が最初のコンセプトにあって、東京ドームという場所で「自己肯定する」という体験をしたかったんですよ。なので、「Apple Vision Pro」で過去の思い出写真を見ながら東京ドームに自分がいるということが初期に決まりました。しかし、これを東京ドームのサービスにしたいと考えたときに、「ただ主人公体験ができます」というと世の中的にピンとこないと感じました。かつ自分が主人公になるのは恥ずかしいと言う人も少なくない。そこで「誰かが誰かに何かをするサプライズ」が日本のカルチャーにマッチするかなと。

また、この作品は「Apple Vision Pro」を用いるのですが、プロダクトサービス観点からApple Vision Proを知らなくてもサプライズならやってみたいとなるのではないかと思ったんです。また、僕のアイデアになるんですけど、Apple Vision Pro体験会が5000円だとちょっと高いなとなると思うんですけど、プラスでサプライズもできるとなると客も集まりやすいのではないかと仮説を立てました。

奨励ピッチでピッチを務めたプランナーのあくびさん

「多様な作り手が参入する場を作るのは個人ではできない。企業が場を設けることはものすごく意味がある」

enXross HACKATHONでは、普段XRに触れていないという参加者も多く見受けられた。「Team Hero」も、未参入だったメンバーがいるチームの一つ。イワケンさんが描く、XRの未来とは。そして、今回で第2回を迎えたenXrossの意義とは。

 ―――(イワケンさん)ガラケーからスマホになったように、XRはスマホからスペシャルコンピューティングとかになっていくと思うんですけど。僕はどっちかというと作り手としてずっと注目してやっていきたくて。多様な作り手が参入するのをサポートして、それが世界をリードすることがすごく大事だと感じています。

今回、メンバーが全員初めましてのようなチームで、普段XRに触れていないメンバーもいる中で、素晴らしいコンセプトと映像とプレゼン能力で今回XRに参入して、人々を感動させられたと思うんですよね。僕としては、そういうのを加速させて多様な作り手が参入する未来を描いています。その場を作るのはコストがかかって僕だけではできません。東京ドームさんがこのような場を設けることはものすごく意味があるので、これからもenXrossを応援したいです。

振り返って、enXrossはめちゃくちゃいいイベントだと思いますし、自分も今回enXrossに参加して感じたことなのですが、イベントを通じて新しい参加者もたくさん集まりつつ、これまでハッカソン頑張ってきた仲間も参加していて、盛り上がるイベントだなと。

奨励ピッチでも普通のハッカソンだったらファイナリストでもおかしくないクオリティで、最終に残ったファイナリストはさらに上で、作品のクオリティも全体的にすごく高くて良かったです。こういうイベントが世の中に増えればうれしいですし、今後いろいろな企業がこのようなイベントをやってほしいと思っています。

インタビュー・テキスト by 木村亮
あくびさん(左端)と、夢に向けて行動するあくびさんの弟さん(右端)


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