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先が見えないこの春、救いだったのは手芸部門の過去最高売上でした

新型コロナウィルスの影響でこの春は実店舗の営業をストップしていたのですが、とてもありがたいことにオンラインショップでは多くの方がお買い物をしてくださいました。

その中で一番好調だったのがクラフトショップ「リネンバードハバーダッシェリー」です。「家にいるから手芸をしよう」というおこもり需要もあり、4、5月のオンライン売上は過去最高となりました。

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私たちカフーツの店で扱っているのは、いわば不要不急のものばかり。この先どうなっちゃうんだろう!?先が見えずどんよりとしていたところに一筋ですが明るい光を見せてくれたのでした。

あの時期ハバーダッシェリー(略してハバ)では何が行われていたのか。
私スタッフわたなべがハバスタッフに聞きました。

4月から6月にかけての話ですが、今なお状況が落ち着かない中、少しでもお役に立てることがあればうれしいです。

■DIYピープルの集まりがつくる店

まずはお店の成り立ちからご紹介します。

2003年春、私たちのはじめての店「リネンバード」が二子玉川に誕生しました。リネンバードはリネン専門店としてスタート。その後より専門性を高めていこうと二つの部門に分けることにしました。

インテリアのリネンを扱う「リネンバードホーム」、そして手芸用のリネンを扱う「リネンバードハバーダッシェリー」です。

そこからさらに時を経て、別の場所で営業していたヤーンショップ「ムーリット」が加わり、現在ハバではソーイングとニッティング、様々なつくる楽しさを提案してます。

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そんな成り立ちもあり、縫物が得意なスタッフ、編み物が得意なスタッフ、
どちらも得意なスタッフと様々ではあるけれど、多くの人に共通することがあります。

一つは、お母さんやおばあちゃんが手づくり好きだったこと。身近な家族が縫ったり編んだりする姿を見ているうちに、自分もつくるようになっていた、そんな話をよく聞きます。

そして、自分なりにつくるのが好きなこと。必要な材料がなければ他のもので代用したり、本に掲載されている通りではなくアレンジを加えたりと発想が柔軟なんです。

店内に入ると手芸が得意ではない私でも「何かをつくりたい!」という気持ちがむくむくと湧いてくるのは、そんなDIYピープルが店づくりをしているからかもしれません。

前置きが長くなりましたが、今回話を聞いたショップスタッフのくらち(写真左)とマネージャーのあおき(写真右)もそんな二人です。

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■自粛中のショップは手づくりマスク工場に 

わたなべ:あの時期、オンラインショップで一番売れたのが「リネンのマスク」でしたよね。1,000枚以上の注文をいただきました。

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あおき:あのマスクはオクシモロンカフェリゼッタなどうちの飲食店のスタッフが「どこにも売ってない」と困っていたので、うちのスタッフが縫って渡していたのがはじまりなんです。

その後営業を自粛し、何ができるか話し合って、きっとお客様も手に入らなくて困っているだろうからとマスクを販売することにしました。

うちはクラフトの店なので、通常ならお客様自身が縫うキットのみを販売するのですが、今回はそうじゃないんじゃないかって。

今は完成品を必要としている人も沢山いるだろうと、キットだけでなく手づくりマスクも用意することにしたんです。

それが決まったのが4月最初のミーティング。そこから材料と縫えるスタッフを確保し、1週間後には販売できる体制にこぎつけました。

デザインは当初のものを改良して、リネン生地3枚仕立てのマスクにしました。

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付けた時に苦しくないように、中央にステッチを入れた立体デザインにしました。

内側にはポケットがついてます。厚みを出したい場合はガーゼを入れたり、
アロマオイルを染み込ませたキッチンペーパーを挟んだりといった使い方ができたらいいかなと思って。

マスクはつけること自体がストレスなので少しでも快適に、不安な気持ちが和らいだらと少し凝ったデザインになったので、つくる人泣かせではありました。

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わたなべ:みんなミシンには慣れているけれど、1枚つくるのにかかる時間は40分。社内でもっと価格(2,750円)をあげてもいいのではって声があがりましたよね。

あおき:チーム内でもそういう声はあったのですが、マスク不足の状況だからって通常より高い価格にはしたくなかったんです。抗菌効果など優れた機能があるわけじゃないし、本当にお客様に必要とされているかもわからなかった。

結果的にキットも含めて多くの注文をいただいたのですが、終わってみてもう少しあげてもよかったかも?って思えるくらいでよかったんじゃないかと思ってます。

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■店舗で中止のイベントをオンラインで

くらち:マスクはゴールデンウィーク明けまでつくりつづけました。最終的に生地を使いきってしまったこと、お客様のリクエストにもお応えできただろうということで販売は終了したんです。

それと並行して、4月下旬からは店舗での開催が中止になってしまったイベントをオンラインで開催しました。刺繍作家の高橋亜紀さんのキットや樋口愉美子さんの新刊、俵谷敦子さんのコサージュなどを販売しました。

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みなさんお客様に人気の作家で毎回沢山の注文をいただくのですが、今年はちょうど「家にいるから手づくりをしたい」という時期と重なってさらに反響がありました。

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あおき:店舗で作品をご覧いただけなかったのは残念でしたが、多くの注文をいただいたので喜んでもらえたのかなとほっとしています。

作家さんやメーカーに発注済だった店舗分の商品もキャンセルせずにすんだのもよかったです。

お客様を集めて展示会を開催する状況ではありませんでしたが、今後開催する際には家にいながら会場に足を運んだ気持ちが味わえるデジタルツアーもできたら、なんて声があがっています。

■最初のIGTVはコメント0ですぐ終了

わたなべ:新しいことに疎いカフーツ社内で、唯一IGTV(インスタグラムTV)に取り組んでいるのがハバですよね。あれはどんなきっかけではじめたんですか。

くらちインスタグラムで営業再開をお知らせしたら、「行きたいけど遠方だからまだ来店できない」というお客様からコメントが入ったんです。

私自身、IGTVを観ることが自粛期間中の楽しみだったので、来られないお客様のために店内の様子を動画でご案内したらいいんじゃないかって。その日の閉店後にライブ配信をしたんです。

あおき:やろうって決めて、2時間後には配信してたよね。

くらち:勢いはよかったけど、全然間がもたなくて。IGTVって視聴者からのコメントが沢山来て、それに答えていたら1時間くらいあっという間ですよね。

なのに予告なしにはじめたので全然コメントが来なくて、結局15分くらいで「ごめんなさい、もうやめます」って終了しました(笑)

でもそれに懲りずに、後日リネンショールのつくり方を配信したら、お客様からの反応があったんですよ。

嬉しかったけど、私の携帯が古く途中でダウンしてしまって…私は閉店後にしか配信できないこともあり、あおきさんが引き継いでくれることになりました。

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あおき:営業を再開したとはいえ、まだなかなか「ぜひお店に来てください」とは言えない状況ですよね。

なので新しい商品を見てもらう場所の一つとして動画を使えたらと、これまで「パッチワーククロスキット」や、「日傘のキット」「下着のキット」をご紹介しました。

よくいただく質問に答えるツールとしても便利なので、つくり方のポイントも伝えるようにしています。

くらち:「パッチワーククロスキット」は例年人気ですが、配信効果ですぐに完売でした。

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ショップにも問い合わせがあったので、キットに入れていた生地を単品でご案内しました。ハバのお客様は手づくり好きならではというか、それがなければつくらないではなくて、アレンジを面白がってくれる方が多いんですよ。

なので完売後も動画には助けられています。

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■今、お客様に求められていることって…

あおき:今回の事態は仕入れにも影響がありました。うちで扱う商品は海外のものが多く、それらが届かなくなってしまったんです。今はある商品をどう売るか、アイデア勝負です。

とはいえ大切にすることは今までと同じ。引き続き、それぞれの生地や糸のよさが活きるキットづくりをしています。

例えば「プルオーバーブラウス 刺繍カフスのキット」。これは目が詰まっていて刺繍しやすいリネン生地を使い、袖口に刺繍を施すブラウスのキットにしました。

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南米ウルグアイのブランド「マノスデルウルグアイ」の糸は、手仕事による染めの美しさが持ち味。

色ムラのあるユニークさが際立つように、ケルト文化の装飾模様を取り入れたソックスをデザインしました。

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今は、いいものをつくってネットで届けることが求められている気がします。でも、その一方でお買い物はやっぱり実店舗でという方もいらっしゃいます。

店に来ることで創作意欲が湧く、ここでのおしゃべりが楽しみという声もいただくのでやはりこの場所は大事にしていきたいです。

私たちの扱う商品はその性質上、売って終わりではなくその後もお客様との関係がつづくものです。

なのでオンラインでの商品紹介やレッスンなど新しいツールを介した関係性をつくるのと同時に、昔ながらの接客も大切にしないといけないと思ってます。
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