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TAJIRI選手の新著が気になりすぎた話

TAJIRI選手の試合は映像や雑誌でしか見たことないのですが、毎回魅了される試合するなとすこぶる好きな選手でもあります。ぼくが人生で初めて見た試合が'97年の新日本東京ドーム大会のグレート・ムタvsパワー・ウォリアーだったんですが、実はこの大会にTAJIRI選手も大日本プロレス所属として参戦されてるんですよね。そんなこともあり至極勝手にシンパシーを感じてる選手でもあります。

そんなTAJIRI選手が新たに本を出されるということで、当該書籍「真・プロレスラーは観客に何を見せているのか 30年やってわかったこと」 (徳間文庫)に先んじて、同氏著「プロレスラーは観客に何を見せているのか」(草思社 2019/12/19)を語りたいと思い、闘道館に駆け込んで買ってきました。

結論、やっぱりプロレスは人生そのものなんだぜに尽きます。

・キャラクターコンテンツとしてのプロレス
著者は本の中でプロレスとはファンタジーであると明言されています。加えて、スポーツや格闘技ではなく、ジャンルとしては映画や漫画のような表現の世界なのだとも仰っています。あの武藤敬司さんもプロレスをよく芸術作品だと例えていましたね。

どういうこっちゃと。個人的に芸術の定義とは「人が外界の事象に触れて自己の内面で解釈したり感じ取ったものを自己の形として放出すること」だと思ってます。プロレスで例えると、人生観やそれまで生きてきて個々の内面に構築されたものをリング上て放出するのがプロレスラーだということなんですね。

そう考えると中々高尚なジャンルのように聞こえます。当然ですがプロレスの中にはデスマッチで血だるまになるシーンもあり、普段プロレスを見なければ決して見ることはないであろう痛いシーンの連続です。それをある人は野蛮だともいいます。

かつて鈴木みのる選手が「プロレスは大衆娯楽」と言いました。これは観客側の視点からみたプロレスの定義ですね。力道山の街頭プロレス時代から現在のプロレスに至るまで、共通することはファンが選手に声援を送ることそのものなんだと。倒してくれと負けないでくれと。まだまだやれるぞと。そこにファン自身の人生観を重ねたりするのがプロレスに限らず、あらゆるエンターテイメントの醍醐味ということなんですね。

話がだいぶ脱線しましたが、プロレスとは非日常を享受するものなんだということですね。これは持論なんですが、プロレスってある意味体験型ビジネスなのかもしれません。ビジネスはモノを売るものと体験価値を売るものに大きく分かれます。プロレスは完全に後者なんじゃないかなと思ってるんですね。会場での没入感とか、ファンの推しの選手や団体への入れ込み具合って凄まじいじゃないですかこの業界。もはやプロレスというコンテンツそのものを人生に準えて考えてる人が多い気がするんですよね。だから人生観だったり、レスラー自身の生き様に自信を重ねられる人が多ければ多いほど所謂カリスマだったり、超人気選手になったりするわけです。

・身体性と合理性と整合性
作中にも出てくるお話なんですが、試合においてあるレスラーが突拍子もない動きをすれば当然、お客さんは置いてけぼりとなります。また、身長が低く体重も軽いレスラーがアンドレ・ザ・ジャイアントのような巨漢レスラーを軽々とブレーンバスターで投げたとしてもそこに合理性や整合性はありません。例えそれが出来たとしても、これもまた客は違和感を感じるでしょう。本の中で、TAJIRI選手はプロレスにおける合理性をすごく重要視しています。リング上で文脈とかけ離れた動きをしてしまうのはプロじゃないと。たしかになるほどなあと思ってしまいました。長年プロレスを見てきた方なんですが、試合中に感じる違和感を明確に言語化することが出来ずにモヤモヤしていました。その原因がたぶん先にあげた、合理性や整合性によるものなのかなと。TAJIRI選手ってプロレスラーとしての動きがマクロ、ミクロ問わず「うわぁTAJIRIが目の前にいるよ」てなるじゃないですか。動きの一つ一つがTAJIRI選手を構成しているといえばいいのかな。

そこで、出てくる身体性のお話です。身体性とは、簡単に言えば自分の身体を認識したり、外界について認知することをいいます。それがプロレスと何の関係があんねんて話なんですが、これが超重要で試合中なんでその動きをするのとか、なんでそういった言動をするのとか、もっと言えばTAJIRI選手曰く、リング上で倒れた相手を起こし上げる動作でさえ千差万別らしく、そこに身体性が備わってなければ人形みたいになっちゃうよねというようなお話をされています。この話もすこぶるうわあなるほどなあなんて思っちゃいました。詳しくは当該書籍で詳しいので是非どうぞ。

そんなこんなで、TAJIRI選手の本を読みながら語ってまいりましたがいかがだったでしょうか。正直なところ、最近、文章書かなすぎて文章力ガタ落ちしている気がしますが笑、そこは徐々に改善していきたいと思います。
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