ダイアログ・イン・サイレンス
■さいしょに
ダイアログ・イン・サイレンスという体験型のエキシビションに行きました。
2020年8月にオープンしたウォーターズ竹芝にあるダイアログ・ミュージアムで体験することができます。ウォーターズ竹芝は劇団四季の劇場、「春」「秋」「自由劇場」がありますので、既に行ったことある方もいらっしゃるかもしれません。
■ ダイアログ・イン・サイレンスとは?
ダイアログ・ミュージアムは、奥にエスカレーターがある劇団四季側の入口に向かって左側が出入口です。
ダイアログ・イン・サイレンスは、「静寂の中で対話をする」体験型のエキシビションです。
もとは1999年(※1)から暗闇の中で対話をする『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』というエキシビションが行われており、その姉妹として2017年(※1)に生まれたのが、ダイアログ・イン・サイレンスです。
※1 日本での初開催
ダイアログ・イン・サイレンス公式サイト⇒ https://dis.dialogue.or.jp/
ダイアログ・イン・ザ・ダーク公式サイト⇒ https://did.dialogue.or.jp/
私は一度、14年前くらいにダークのほうに行ったことがあります。当時は青山のほうでやっていたと思います。
あれからずっと活動が続いていることが、すごい。
ダイアログ・イン・サイレンスは、静かな屋内で行われます。
参加者は全員、音が聞こえないようにヘッドセットをかぶります。
いくつかの続き部屋があり、参加者は聴覚障がい者の方に案内されて、数人のグループで回ります。
部屋は白く、装飾や物はアクティビティに必要な最小限のシンプルなものです。
それぞれの部屋でテーマに沿ったアクティビティを行います。
どのアクティビティも、それぞれの参加者がかかわる形で行われます。
そして、言葉を発することは禁止されています。
テーマは、例えば
・身振り手振りで伝える部屋
・顔を額縁にはめて表情でコミュニケーションを取る部屋
・簡単な手話(おもしろい、とか、むずかしい、とか)で会話する部屋
等があります。
■この世の成り立ちを理解したい
私は、ジェスチャーゲームの発展版みたいなゲームが特に面白いと感じました。
どういうゲームだったのか書きたいところですが、ここではあえて割愛します。
なぜかというと、ダイアログ・イン・サイレンスの全体を通じて、まず各部屋のルールがわかってないところからスタートとなり、ルールがわからない、ということを体験する、そして楽しむあるいは多少苦しむ、というコンセプトのようなのです。(苦しみは案内役の人が上手に和らげて導いてくれます)
私にとって新発見だったのですが、
『伝わらない』もどかしさ以前に、参加しているゲームの『ルールがわからない』ということの方が、
より絶望的で、時間の流れが狭まるような切迫した気持ちになりました。
同様に、
相手がルールを理解できていない場合にも、コミュニケーションは開始できない。
スタックした状態になります。
実際、ルールの理解で躓いてしまうと、いったん心を閉ざしてしまう人もいました。(また自分で気を取り直してチャレンジしていました)
そういった場面で、
『ちょっといったんオレは休みたいよ』
と一旦シャットアウトするのは理解できる気がします。
プレッシャーがすごいんですよね。
他人からじゃないですよ、『理解できない情報量』がすっごい重みと勢いで追い込んでくるのです。
でもそこを超えて、『ルールを理解した』瞬間の喜びは、輝かしいものでした。それこそ、言葉にできないほど。
これは、コミュニティーの中で誰よりも早く理解できたとか、最後だったとか、そういった優劣と関係ない、かけがえのない喜びです。
コミュニケーションの前提として、まずルール、成り立ちを最初に理解し合う、もう少し踏み込んで言えば、共通のルール、共有できる世界を作ることで、意思を通わせることができるのだな、と実感しました。
今回の学びです。
■具体的なコミュニケーションと抽象的なコミュニケーション
この世界の成り立ちを理解する、という抽象的な作業は、ほぼ言語に頼りっきりです。
言語で説明できないという縛りがある以上、身振り手振りで例を羅列したり、実際にやって見せたりするしかありません。
抽象化したものをつたえるのではなく、
具体的なものを並べて、相手に抽象化させるしかないのです。
ここでは、案内役の聴覚障がい者の方の表情や身振り手振りの豊かさに感激しました。そして粘り強いコミュニケーションも素晴らしい。
それは逆に言えば、聴覚障がい者の方たちは粘り強くコミュニケーションをしなければ伝わらないという場面をたくさん経験している、ということでもありますよね。
私はと言えば、やっぱり、ここは、なりふり構わずやる、ってことしかないなって、吹っ切ってやりましたが、わかってないこと、みっともないこと、たくさんあったと思います。それでいいのだと思います。わかっていないことになりふり構わずまっすぐむかっていく感覚を思い出すのは、良いことでした。こどものとき一度は、そうだったのですから。
と同時に、言語の尊さを感じました。
・具体例や体験からルールを導きだすこと
・相手がルールを十分理解に達したのかどうかを見極めること
は、いくら高度な能力が備わっていたとしても、
言語を用いた場合の達成度には到底及ばない。
この道具が、人を人にしている。
こうしてあなたと私をつないでいる。
ほぼ、魔法ですね。言語とは。
■さいごに
ぜひ行って、体験してみてください。
劇団四季を観に行く際の行き帰りなどに、ぜひ。
(予約が必要です)
ダイアログ・イン・サイレンス公式サイト⇒ https://dis.dialogue.or.jp/
ダイアログ・イン・ザ・ダーク公式サイト⇒ https://did.dialogue.or.jp/
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?