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渕さんに泣いたあの日から、責任感が強いなんてもう言えないと思った

4月はたくさんの初めましてが訪れる季節。
初めての場所で初めて会う人に自己紹介をするシチュエーションが増えるのも4月ならでは。
そんな時、みなさんは何を語りますか?

社会人を何十年もやっていると鉄板の自己紹介フレーズや挨拶文の1つや2つ、持ち合わせていて当然みたいな空気がある。
開口一番に何を言うか、書き出しの1行目でジャッジされる緊張感もある。

ちなみに自己紹介は、社内報でも絶対に欠かせないキラーコンテンツです。
なぜなら、どんな人と一緒に働いているか?を知ることは、心理的安全性に影響を与えるから。
チームメイトがどんな人なのか?どんな部署があるのか?てか上司ほんとのとこ何歳なのよ?などなど、人となりを知ることから相互理解が始まり、それ無くしては心理的安全性は無しで、仕事に集中できるか否かもだいぶ変わってくるのです。

こうやって徐々に本職の話を入れ込んでいくのでよろしくお願いします。

自己紹介もさることながら、自分はこんな人間です!を語るフレーズとしてわたしが長らく愛用しているのが「責任感が強い」ということ。

もちろん学生時代は学級委員を自薦と他薦でやるタイプ。
これまでクリエイター職が長かったせいもあり納期や締め切りには人一倍敏感で、絶対に落としたくない落とせないだって定時で帰りたいもんなんでMDにフォント入ってないのよデータ開けないよ泣きたいという歴史によって培われたと自己分析しています。
後半はもう古のDTPあるあるだけど。
Web業界に転職してからは、もう目の前のPCでデータがサクサク変更できることに紙と!ペースが全然違う!って感動して、さらにタスク管理の鬼となり、未経験からの入社にも関わらず数ヶ月後に部長から呼び出されて、やばあだ名つけて呼んでたことがバレたと思ったら、だらけ気味フレックスが横行していた社内でNO残業でパフォーマンス上げる働き方のロールモデルになって欲しいと言われるくらいには、毎日きっちり勤め上げていました。

いや遅刻しないとか時間や期限を守るとかもう最低限のことじゃない?
仕事にしてもプライベートにしても。
そこすら守らない、守れない人は信用されないもの。
それに、信頼を無くすのは一瞬って言うもの。

そんなこんなで「責任感が強い」を自負して、隙あらば差し込むくらいには自己紹介的な場面では活用していました。

そう、あの日までは。

あの日、わたしは移動中の電車でキングダムの42巻を一心不乱で読み込んでいました。
42巻といえば、黒羊丘の戦いの真っ最中。
キングダムについては詳細を語り出すとキリがないので割愛しながら進めていきますが、黒羊の丘を攻め取るには、信が率いる飛信隊がものすごい激流の河を渡って対岸にいる趙軍を出し抜かないと終わりなんだけど、あの昌平君を以てしてもこの河に橋を掛ける策は無しと言わしめるほどの地形で、もはや為す術なし、という超絶ピンチ状態に陥ってしまうんです。

激流を渡るポイントは、唯一ある2箇所の浅瀬なんだけど当然そこは集中砲火を受けるので、飛信隊はこの河攻めのため3つの部隊に別れる作戦を取ることに。
隊長の信が率いるチームと軍師の河了貂が率いるチームは、いわば陽動隊として浅瀬から敵を誘発して、その隙にもう1つ残りの部隊が激流をこっそり渡って背後から敵を叩け!という一か八かな作戦。

飛信隊が生き残れるかは、この激流チームにかかっているというシリアスな場面で、大抜擢されたのが副長を務める渕(えん)さん。

おかっぱがチャームポイントで子煩悩で隊員にもやさしいけど、化け物クラスの武将がバンバン出てくるキングダムではかすんじゃってたとこはあるけど。
こんな絶体絶命の場面で命運を賭けるチームの隊長になぜ渕さんが!?みたいな空気になるんですが、そこで信と河了貂が放ったこの言葉。

この渡河には”武力”も”知略”も必要ない。
必要なのは”別のもの”だ。
そして、それは誰よりも渕さんが強く持ち合わせているものだ。

キングダム42巻

渕さんが強く持ち合わせているもの、とは何か?

"責任感"だ
たった百人から始まったこの隊の結成当初から副長を七年務めてんだ。
信頼を置けるのは武力や知略にだけじゃねぇんだよ。
この場を一番に任せられんのは、渕さんだ!

キングダム42巻

ごめんもう無理。転載してるだけでウルウルきてる。
渕さんもちょっと泣いてたもんね。

もちろん、やり切ります渕さん。
信にこんなこと言われたらやらないわけにはいかないじゃないですか…!って渕さんが死に物狂いで河を渡り切る姿はもう涙なしには読めない名シーン。

こんなの電車で読んじゃダメ。泣くの我慢して頭痛くなってたし我慢できてなくて涙こぼれましたからね。

名シーンすぎて「キングダム 渕さん 」で検索すると「川」ってサジェスト出てくるから。みんなそりゃ胸を打たれるよね。

ありえないくらい強い化け物級の武力や知力みたいな、抜きんでて特別な力はなくても、誰よりも強い責任感があること。
それだけで人はこんなにも信頼されるし、命を賭してもいいほどの使命感に燃えることだってできる。

我こそは選ばれし者みたいなヒーローじゃなくても、与えられた役割に全力で応えることは震えるほどカッコいいです。

もうこの渕さんの河渡りで泣いてから、わたしの責任感なんて甘すぎる!
命を賭けるほど何かを全うしたことなんてないもの!
渕さんの足元にも及んでないじゃん!
「責任感が強いです」なんてよく言えたもんだよ!
ってなんかもう恥ずかしくなってしまって。

あの日から、自己紹介ならびに自己PRで「責任感」という単語を用いることをやめようと思いました。

でも、逆にね?
渕さんに恥じない気持ちで、みたいな。渕さんに負けないくらいの気持ちで責任感を持って生きていきたい次第です!の意思表明として、やっぱり言い続けていこうかなと思う自分もいます。

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