蔓延する詐欺とデジタル社会への移行のための高すぎるコスト
詐欺が蔓延している。社会面が詐欺事案で埋まっている。
1.架空取引276億円繰り返す 「au PAYポイント」1.7億円分査収
2.カンボジア拠点 「かけ子」か 特殊詐欺容疑で逮捕
3.秘密保持契約で口止めか ソフトバンク元部長ら 架空投資巡り
また昨日の夕刊には
4.国際ロマンス詐欺組織
なる記事が掲載されている。何だそれ。
2.の特殊詐欺も酷い事件であるし、3.のソフトバンクの件も、事件の経緯を読んで、思うところはあるが、今朝の一面ではソフトバンクの決算の記事が掲載されており、その関連記事が8面に掲載されている。社会面にはソフトバンク元社員による詐欺事件の続報。もはや何が何だか分からない。
今朝報じられた「au PAYポイント」の事件もかなり深刻である。
以下の記事が事件の背景が分かりやすい。
上記の記事の中の以下の箇所を読むと背景が分かる。
(引用、ゴシックは筆者による)
背景に「ポイント還元制度」と「手数料無料化」事件の背景には、国のキャッシュレス決済のポイント還元制度と決済手数料の無料化があったとみられています。
キャッシュレス決済は、利用者の利便性だけでなく、店舗の業務の効率化につながるなどとして、国が積極的に推進していて、経済産業省は2025年までに利用率を4割程度に引き上げる目標を掲げています。
キャッシュレス決済のポイント還元制度は、消費税率の引き上げによる消費の落ち込みを防ぐための景気対策と、キャッシュレス決済の普及を目的に2019年10月から2020年6月までの9か月間、実施されました。
(引用終わり)
気になるのは、「キャッシュレス決済のポイント還元制度の行きつく先は消費税率の引き上げによる消費の落ち込みを防ぐための景気対策」というくだり。
…そういうことなん?
消費税率が引き上げられたのはかなり苦しい政治判断だったと故・安倍首相が「回顧録」の中で吐露していたが、2020年の時点で増税したら景気が悪化するのを分かってやっていたということではないだろうか。
繰り返しになるが、連日報道される詐欺があまりにも多すぎる。
最近はデジタル化の恩恵なのか、スマートフォンで決済が可能になり、とても便利になったと思う。しかし、現代の多くの詐欺事件が、スマートフォンを経由しての犯罪であり、その大手キャリアであるソフトバンクの社内で、さらに詐欺が起きているという事実に、頭がクラクラしてくる。
デジタル庁の混乱も時々報じられているが、そもそも「問題が無い」のが当たり前なのだ。自分に何らかの被害が及ぶようになれば、完全に手遅れなのである。先日の全銀ネットの障害にしても、幸い被害を受けるようなことは無かったが、そんなことで肝を冷やす日常は送りたくない。
メディアに出てくる有識者や論者には、日本のデジタル化への遅れへの苦言をしたり顔で言う方もいるようである。昨今の詐欺事件を始めとする諸問題を見ていると、デジタル社会へ移行するためのコストは想像をはるかに超えて大きいのかもしれない。
以上。
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