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スポンサーシップをパートナーシップへ

広告露出型から、スポンサー企業の経営課題や社会課題の解決への貢献を中心とした形へのシフトが始まっています。今後も広告露出型が無くなることはありませんが、企業とスポーツの関わり方が「スポンサーシップからパートナーシップへ」という流れに変化しています。

競技団体やスポーツチームなどの収益の柱であるスポンサー収入ですが、スポーツ側から提供する“対価”が変容しています。多くのスポーツ興行は新型コロナウィルスの影響で中止や延期となり、再開後もリモートマッチ(無観客試合)や入場者数を厳しく制限した有観客試合を余儀なくされています。スポーツ興行において都度の目標は「満員のスタジアム」としてきましたが、現在は大きな外部環境の変化が起きている状況です。

当面続くとみられる観客数制限は、スポーツの商品である「ゲーム(試合)」の価値に付随する「非日常的な空間の創出」という要素を弱めてしまいます。このことは、これまでに多くのスポーツ関係者がメディアやスポンサー企業に説明してきた広告宣伝という価値を薄めることを意味します。

コロナ禍において少なからず本業にダメージを負っているスポンサー企業が多いと想定されます。仮にデジタル戦略などで、これまでと同様に広告宣伝を維持できたとしても、スポンサー企業側の体力の低下により、スポンサー契約の継続ましてや新規締結ができない状況も考えられます。

これからスポーツ関係者が考えていかなければならないことは、従来の広告露出型のスポンサーシップをデジタル戦略へシフトする工夫に加え、課題解決型のパートナーシップへの変容です。スポーツ側(コンテンツホルダー)とスポンサー企業の協働作業である、お互いの権利を活用したスポンサーアクティベーションの考え方です。

スポンサー獲得のためには、広告宣伝型の企業の認知向上に焦点を当てたスポンサーシップだけでなく、スポンサー企業または候補企業の「経営戦略における細分化された課題の解決」に資する提案を実施する必要があります。これは知名度のあるプロスポーツチーム以外にも有効な手立てだと考えられます。

実行するために最低限必要な事は下記3点です。但し、お互いの信頼関係が構築されていることが大原則になります。
①スポンサー企業の経営課題の把握と共有
② スポーツ側(コンテンツホルダー)とスポンサー企業が有している有形・無形の資産(アセット)の把握と共有
③双方のアセットを活用し掛け合わせ実現可能な課題の解決法の提案

スポンサーアクティベーションは、今までも多く事例は存在しますが、それがどの企業にも当てはまるというものではありません。企業ごとに異なる経営課題に対して、事例を応用させてカスタマイズし組み立てていくものになります。傾向としては「企業のマーケティング」に寄り添うという観点が挙げられます。
特に、地域との繋がりを考えた長期的なマーケティング施策やブランディングへの取り組みは、スポンサーアクティベーションの主流になっています。

スポーツ側(コンテンツホルダー)を象徴し得るアセットはファンと公共性
デジタルマーケティングの領域は、規模や取り組む程度によってはシステム的なインフラ構築が必要となりますが、SNSやWEBサービスを活用することによって個人レベルでも可能な施策です。直接観戦できないファンも含めたデジタルマーケティングの価値がより高まり、今後のスポンサーアクティベーションの一例となっていく可能性を秘めています。

そして、もう一つは地域やその自治体と共同で実施する地域活性化です。スポーツが地域や自治体と企業を連結させる役割を担う存在となります。競技団体やスポーツチームなどがハブとなり、スポンサー企業のサポートを通じて地域に還元される仕組みとなります。(事例:Jリーグのシャレンhttps://www.jleague.jp/sharen/)その為には、仕組みづくりや制度等の構築が必要になるかと思いますが、これは、スポンサー企業の経営課題にとどまらず、地域密着を謳う競技団体やチーム又は個人が地域や自治体の社会課題の解決に取り組むアクティベーションといえます。
スポーツを通して共に発展していくことが大切だと常々感じています。


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