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スポーツの顧客

3種類の顧客「ファン・メディア・スポンサー」
スポーツにおける第一の重要な顧客がファンです。ファンの数が増えるとメディアがそれを取り上げるようになり、露出が拡大しスポーツにメディア価値が生じるようになります。そこには放送権という対価を支払う第二の顧客のメディアも参加してきます。そして、メディア価値を利用する第三の顧客であるスポンサー企業が出現することになります。メディアはファンとスポンサーを繋ぐ媒介役の機能を果たしています。

スポーツを活用したマーケティングは、スポーツに認知度や知名度があり、人気化していることが前提になります。スポーツの人気化によってスポーツを活用したマーケティングは進むので、この場合は原因と結果は相互的で可逆的です。スポーツマーケティングという領域はメディア価値によって成立しているという話に繋がります。

ファンとスポンサーにとっての「スポーツの価値」は、それぞれ同じ平面上にあるものではなく、同じベクトルを指し示すものでもありません。スポーツマーケティングでは、この両者の乖離を埋める事で双方にメリットが生ずるようにバランスのとれた企画設計が求められます。

ビジネスメリットのない企画にはスポンサーはつきませんが、同時にあまりにもビジネス色を出しすぎれば、ファンへの体験価値の提供が疎かになり、反感を買い結果的にスポンサーの不利益になります。

メディアの立場では、双方とって価値があり公共性に則った、バランスの取れているコンテンツを期待しています。それらを統合した上で最適解を得なければならないのです。

ファン、メディア、スポンサーという3つの顧客たちは、ステークホルダーとしては別々で、「顧客をいかに把握するか?」ということは言うまでもなく重要な事です。しかし、把握するとこれらの顧客たちの「スポーツの価値」が必ずしも一致しないことが分かります。これを認識したうえで、それぞれにとっての「スポーツの価値」を最大化させるような策を講じなくてはなりません。

ファンは重要なステークホルダー
ファンは、入場料やファンクラブ、グッズやその他サービス等によって競技団体やチームに安定収入をもたらす重要なステークホルダーとなります。徹底して顧客満足を高めるファンサービスに尽力することが肝要です。

同時に観客はゲームの盛り上がりを左右し、選手のパフォーマンスにも変化を及ぼします。また、ファンの数によってそのスポーツのメディア価値を高めますので「経営資源」の1つであるとも言えます。ファンは顧客でもあり、人気の指標でもあり、経営資源でもあるという、ステークホルダーとしては多機能です。

ファンへのマーケティングにとって重要なことは、「このスポーツはおもしろい」と訴求することです。エンターテイメントの観点から見ると、音楽や映画をはじめとする他の産業は、見せる聞かせる為に作られていますが、スポーツはもともと見られるために開発されていない点で大きく異なります。

プレーしている人間が楽しめればいいように作られている為、プレーヤー以外が理解する為には、相当なエネルギー/コストが必要となり不利な点です。おもしろさを理解してもらうためには、見る側に学習してもらう必要があるからです。

しかしこのことは、一度おもしろいと感じてもらえれば、習慣化になる可能性を秘めています。最初の1歩のハードルは高いのですが、それを越えてしまえば、リピーター(継続的な顧客)として取り込める可能性を多く含んでいます。そして「ブランドスイッチ」が起きにくいのが特徴です。


スポーツのコンテンツ
必要不可欠なものが発信する情報やコンテンツです。情報やコンテンツによって「見たい」という願望を喚起しなければ需要は起こりません。物ではないスポーツで需要を喚起をする為に、コンテンツホルダーとしての意識を持ち、各ステークホルダーとのコミュニケーションの戦略が中核をなすことを肝に命じておかなければなりません。

作り出したゲーム(商品)が「面白いか否か」ではなく、「面白いと思わせられるかどうか」が最も基本的なポイントになります。つまり、認識の問題であり、ファン獲得における最大のテーマとなります。そして「対価以上の満足感」をいかに獲得する設計になっているかを考えていくことになります。「まず行動してもらう」ということが重要です。

スポーツ興行やイベントを主としたスポーツビジネスでは、事業機会が極端に限られており、ゲーム以外の収益源の設計が求められます。その際にファンを対象とした打ち手は必然的に多くなります。

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