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スポーツのステークホルダーを理解する

ステークホルダーとは、「ビジネス上の利害関係者」を意味します。スポーツビジネスにおいては、ステークホルダー(利害関係者)は多様であり複雑なのが特徴です。また、その多くが関わるだけでなく、幾重にも別の機能を持っています。

したがって複数の利害関係が生じ、ステークホルダー間にも市場が形成されています。それらの複雑に重なり合った利害関係を正確に把握することが、スポーツビジネスを理解する上での基礎本的視点です。

スポーツの主なステークホルダー6つ
➀ 所有者(株主/親会社など)
➁ 競技関係者(IF/NF リーグ、チーム、監督、選手)
➂ ファン
➃ メディア
➄ スポンサー
➅ その他(自治体・施設・地域、社会等)
※内部のステークホルダーとしてスタッフは除外しています。また、立ち位置や置かれている状況によってその属性は変化します。(チームでもプロ・実業団・大学などがあり、ファン属性がファン・社員・学生等となります。)

整理が出来たら、各ステークホルダーと自身との現在の関係を整理し、問題点や改善点は無いかを問いかけ検討することが大切です。


➀所有者
株主に対する説明責任は「スポーツが公共的なものである」という認識がある以上、厳しい基準が設けられます。したがって競技団体やアスリート個人の不正問題は厳しい目が注がれることになります。ここを軽視することは、スポーツ界全体に跳ね返り、スポーツの本質的な価値にかかわる問題であると各々が認識しなければなりません。

親会社の意向を把握することは言うまでもなく必要な事です。出資その他の資金提供は何のためなのか、を理解する必要があります。提供された資金に対して何を返すべきか意識しなければなりません。自立していれば問題ありませんが、この点を理解しないとスポーツの発展や継続は難しくなります。


➁競技関係者
競技を行う上で、またスポーツの中核商品であるゲーム(試合)を生産する根幹を形成する層です。IF(国際競技団体)とNF(国内競技団体)及びリーグは、競技の制度や秩序を保ち、その中でチームや個人がスポーツの興行やイベントに参加しゲーム(試合)を盛り上げます。拮抗状態を長く保つ設計や取り組みが重要になります。また、対戦相手はゲームでは競合ですが、大会・リーグ・イベントという事業においては協働の関係になるというスポーツ産業の特殊性が浮上します。


➂ファン
重要なステークホルダーで「顧客」となり、その態様は様々です。ファンと言われる中にも、スタジアムに足を運びファンクラブに入会し、直接対価を支払うファンと、テレビやメディア報道、又は試合結果の内容などで楽しみ間接的にお金を支払うファンがいます。ファンの多くが注目を集めると、メディアが取材に来ます。さらにその人気が高まり、その放送を商品化したいとなれば、放映権料の呼び水となり得ます。メディア価値が高まれば一般企業がスポンサーという形の顧客となります。さらに中には商品化の権利を求める企業も出てきます。こうしたスパイラル形成のスタート地点となるのがファンになりスポーツ人気の指標になります。


➃メディア
スポーツの情報発信をする重要なパートナーであり、メディアにとってもスポーツは優良なソフトです。スポンサーとして関わる場合は顧客としての顔を持ちます。競技団体やチームにとっての情報発信の戦略において、メディアとの関係は重要な位置付けにあります。メディアの情報は第三者の客観的な目を介して発信されるため、説得性の高い情報になります。スポーツマーケティングの領域ではスポーツのメディア価値が重要になります。メディア価値を操作可能とするマスコミ等は、生産する側に近いと思われます。


➄スポンサー
メディア価値の高まりによって企業はスポーツに結びつき、スポーツを介在して地域や社会へと結びつきます。スポーツの商品は端的にいうと人々の関心を集めるということに着目してメディア価値を利用することです。スポーツには公共性があり、それを企業が犯すことは企業にとってデメリットになり、あまり全面に出ることは望ましくないと言えます。スポーツを活用したマーケティングは、企業の商品の直接的な販売促進には結びつきにくく、企業イメージを作っていくケースが多くを占めます。しかし、スポーツ関連サービスやスポーツ側のアセットやリソースを活用した事業展開など、または新たな市場へのアプローチなどには有効な機能を果たしている実績があります。

➅その他(自治体・施設・地域、社会等)
他の産業と異なる点であり、スポーツには公共性が存在します。活動の延長には地域や社会があることを意識する必要があります。スポーツは特定企業に属することのない製品であり、一般性や公共性を持ちやすいのであって、地域や社会に繋がりやすく、その声が大きく反映されます。また、そこからメディア価値が波及していきます。


ステークホルダーを整理し理解することによってはじめて、あらゆる戦略の基礎ができあがります。ステークホルダーたちにとって、何が不満で何が問題なのかを把握し、その満足度を上げる為に何をするかを考え、そこに優先順位をつければ、それはすぐさま戦略に結び付くともいえます。

ステークホルダーが多様ということは、ステークホルダー間に一得一失の問題が生じるリスクがあります。無観客試合等の実施では満足できないステークホルダーの存在が表出しますが、世間の声に目を背けることが出来ないのが公共性のあるスポーツの特徴になります。

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中山 建(Takeru Nakayama)

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幼少の頃からラグビーっ子でした。どっぷり浸かりたいと想い、企業勤めを辞めスポーツビジネスに飛び込みました。現在は起業してスポーツマーケティングをやっています。スポーツとアスリートの発展を目指しています。