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アサヤンVOL.26 Netflix『浅草キッド』配信記念!!劇団ひとり劇場!

今年最後の配信

 2021年、12月14日。3月18日旗揚げをしたアサヤンも今年最後の配信となった。コロナ禍でライブを届けるにも細心の注意が求められる中、満員の状態でこの日を迎えた。一時は毎週のごとく配信した時期から月イチほどのペースとなったが、この間、水道橋博士は、YouTubeにて「博士の異常な対談」ニコニコ生放送「ザテレテレビジョン」、ツイキャスと起ち上げ、さらには自著・「藝人春秋Diary」(スモール出版)の出版と八面六臂の活躍していた。一方、炎上騒ぎでもホームランを連発。炎上の大家ならぬ大火であったであろう。

 今年のアサヤン、最後の大花火が、12月9日よりNetflixで配信スタートした「浅草キッド」を監督した劇団ひとりさんである。ひとりさん曰く「お笑いの神様の映画を撮りました。」それはビートたけしさんの浅草の修業時代を描いた作品である。そしてまた、スカイパーフェクTVで配信されたもう一つの浅草キッド、そこでたけしさんを役を演じたのが博士である。

 さあ、今宵のアサヤンは「浅草キッド」を作ってきた、いや、たけしさんに魅せられた芸人たちのしゃべり場とも言える時間だがもうちょっと、「浅草キッド」とは何か掘り下げたい。いや、それを知った上でライブを見てもらいたいと思う。

浅草で売れないで死んでいく

 先ほど、「お笑いの神様の映画を撮りました。」という一文を引用したが劇団ひとり監督の作品においては、大泉洋、柳楽優弥というダブル主演である。これはビートたけし誕生秘話であると同時に、たけしさんの師匠・深見千三郎さんの話であるということだ。これはあまりフューチャーされてはいないが、深見千三郎さんの弟子は東八郎さんであり、その弟子は萩本欽一さんであるという事実。笑いの宗派というものがあれば、たけしさんも、欽ちゃんも同じ宗派という事実。そしてあの渥美清さんが、深見師匠のコントを見に来ていたという事実。さらに、当時の浅草からはスリーポケッツ、ナンセンストリオ、てんぷくトリオといったスターが続々と輩出された事実。テレビで一旗揚げようとする者達が浅草という舞台で芸を磨き、明日を夢見ていたのでは?という想像が働く。一方で、たけしさんの貴重な証言がある。登壇者のひとりである、エル上田が見つけたものだ。

1分58秒ぐらい、「浅草で売れないで死んでいく、というのが保険だよね。」という言葉が実に印象的である。たけしさんにまつわる天才エピソードにはついては事欠かないのだが、「もし、たけしさんが深見千三郎さんと出会ってなかったら?」という運命を考えると芸人の世界の紙一重の部分を端的に表しているのではないのか。もっと言えば、「才能」「出会い」「チャンス」「運」「時代の流れ」これらがどう絡みあうのか?と言ってるようにも聞こえる。

出演者からの証言、劇団ひとり監督とは?

 今回のライブに先駆け、私も劇団ひとり監督作品をチェックした。その際に何が驚いたって・・・私の大学時代の「劇団・河原乞食」の後輩・古澤裕介が出演していたのだ。しかもエキストラではなく、重要シーンにもきっちり映るほどだ。一目見たら忘れられないほどの負のオーラを放ち、時には狂気を発する古澤は今作で、昭和テイストの雰囲気が評価され、キャスティングされたようだ。ちなみに、カレーメシのCMや寺田心君と共演したブックオフのCMなど、多数活躍する役者である。ぜひ、記憶の片隅にこの顔と名前も覚えてもらいたい。

古澤裕介、2分59秒にちょっと見切れます。鈴木保奈美さんと一緒に。

 そんな古澤に今回の劇団ひとり監督の演出について、いろいろと電話インタビューを試みた。古澤によると、あまりコミュニケーションを取らない、大泉さんの「バカヤロー」を何テイクも重ねた、など当事者にしか知りえない話を聞きだし、その内容は今回のライブにも反映させてもらった。で、個人的な作品の印象を言えば、「芸」そのものを非常にキレイに撮っている、タップシーンしかり、歌唱シーンしかり、鈴木保奈美さんのストリップシーンしかり。一方で、決して門脇麦ちゃん演じるストリッパーが歌で食っていけない現実とか、テレビにのみ込まれていく浅草ストリップ&コントというビジネスモデルの在り方は、かつての絶対王者のテレビとネット台頭の現在と、重なり合う仕掛けが施されている。

 映画の見どころは、たけしさんの所作を見事にまで再現した柳楽さんは言うに及ばず、大泉さんもとにかくカッコいい。「バカヤロー」のセリフひとつてとっても、罵倒のバカヤローから照れ隠しのバカヤローまで盛りだくさんだ、バカヤロー。鈴木保奈美さんが倒れた後の大泉さんのシーンでは思わず、涙した。また、たけしさんファンならではの楽しみ多数ある。私がとりわけ「なるほど!」と唸ったのが、深見師匠の客席に向かっての「芸人だよ、バカヤロー」であり、キャバレーの営業先のたけしさんが客席への暴言を吐くシーンである。ふと、これはかつて「笑っていいとも」の前身番組である「笑ってる場合ですよ」の最終回においてたけしさんが客席に向かって「お前らなんでもかんでも笑いやがってバカヤロー」と確か叫んでいたと思うが、その源流はここなのか!!という所が気持ちいい。また、今のたけしさんが本番前にタップを踏んでいるなど、またしかりだ。さて、ここからが幕開けだ。いざ「浅草キッドの世界へようこそ!」だ。

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 恒例のかいまとドルフィンソング佐野によるラップでのOPからスタート。冒頭、浅草キッドの映画のパロディーから始まるのだが、お客様には何のこっちゃというトラブルがあったが、こちらは配信でぜひ、ご確認下さい。

ひとり2

お笑い界の神様の映画を、僕は撮っちゃったわけです。

曲からすべては始まった。

 そもそも「浅草キッド」とは何なのか?どうやって博士&玉ちゃんは「浅草キッド」という名前をもらえるのか?とひとりさんきっかけで、石原軍団からの流れの一世風靡セピア、東京キッドブラザーズからの浅草キッドブラザーズ、そこからの浅草キッドという流れ。さらにはグレート義太夫さんとたけしさんが一緒に作った「浅草キッド」のデモテープ話など、ファン垂涎のディープな話が繰り広げられる。

博士とひとり1

「だって直接、(オファー)されたら断れないじゃないすか。」と言いつつ、なんだかんだで仲いいんじゃねかよ、バカヤロー。

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「地下芸人だよ、バカヤロー」エル・上田

無法松1

「どんなに小さい役でもいいんで。」と直談判の無法松。

ジョニー1

「寝ぐせが気になるよ」バカヤロー。

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OPを務めたドルフィンソングと長谷川かいま。リアル浅草キッドだ。

 今回の久々の登壇にもなった無法松からは、出演者ならではのエピソードも数々披露される。
 ・劇団ひとり監督の大泉洋さんに対抗した差し入れ話。
 ・無法松、出演シーンテイク8。で、「OKです。」が笑顔じゃない話。
 ・柳楽優弥さんの素顔話。
  たけしさんのまばたきまでマネする徹底ぶり話。
 ・HideboH(タップ指導者)さん話。
 ・浅草キッド、カバー特集。
  所ジョージさん、福山雅治さん、桐谷健太さん、竹山ピストルさんらの
  再編集。

 このHideboHさんはたけしさんにも直接、タップ指導もされているなど。現場のライブではちょっと分かりづらかったので補足の意味でこちらに記しておこう。

 個人的には、劇団ひとり監督の演出話は、やはり今回の大きな見どころであった。特に時代考証の2,3年のズレはあまり気にしないというくだりである。雰囲気重視するという発言が興味深かった。これはどこまで書くべきか?本編の肝でもあるのだが、、、その見出しだけで雰囲気を感じ取れよ、バカヤロー。

〇ナイツ土屋さんは一体何が凄かったのか?
〇フライデー事件は映画化の話が劇団監督に届く話。
〇柳楽優弥さんの演技の勉強で見ていたものとは?
〇実はNetflixが企画が通りやすい話。
 この辺はテレビマンも大注目の話である。
〇無法松が「殿」と呼ぶのをダメだしされた話。
 殿と呼んではいけない話も、制作の裏側話として実に面白い。

ひとり5

「あの深見師匠で良かったのか、一番気になります。」

博士1

博士「俺をキャスティングしようとは思わなかった?」
ひとり「いや、一切なかったです。」

 そして、今回のアサヤンで一番の笑いをさらったのが「浅草キッドの浅草キッド」における石倉三郎さんと博士とのエレベーターでのワンシーン。一番の肝であるタップのお手本を見せなくてはいけないのだが、石倉さんのヨレヨレのステップに一同、大爆笑。フリとオチが見事なまでに決まっていた。活字ではどうにもならないのでぜひ、配信でご確認いただきたい。

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「ひとりさんの作品がゴッドファーザーなら、これはグッドフェローズですよ。」高須SAN

 さらに後半では、高田文夫先生がゴーストを務めたという「ギャグ狂殺人事件」さらに「オールナイトニッポン」の音源を紹介。ここには深見師匠が亡くなった直後の様子が紹介される。ファン必見の内容である。改めて当時のたけしさんが、一番尊敬していた師匠の死に対して、どんな言葉を発しているのか?そこには悲しみがあるのか?どんなスタンスで臨むのか?資料としての貴重な一面を垣間見ることが出来るだろう。

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 改めて、深見師匠の教えと、たけしさんからの教えのエピソードも語られる。
〇普段からボケろ!話
〇久本雅美さんが親を亡くした時の話。
〇博士と劇団ひとりの関係性話。
 一見すると、何やら気まずいところもあるのか?と勘ぐりたくなる空気も無きにしもあらずだが、ひとりさんが「(本当に仲悪かったら)ここにいないでしょ。」って一言が全てだろう。
〇劇団ひとりのオナニー我慢話。夢精は手島優で。

とにかく内容盛りだくさんだよ、バカヤロー。
これを見てからNetflixを見るか?Netflixを見てからアサヤンを見るか?それはあなた次第だが「浅草キッドの世界」は若い頃なら誰もが通過しそうな永遠普遍のテーマがあるんじゃないかと思ってる。だから、芸人ではない私でも心を揺さぶれるテーマではないのだろうか、ぜひ、多くの人に見ていただきたい。また、エンディングの原田専門家編集の浅草キッド名シーンもお見逃しなく。

全体2

 次回は遂に女神が降臨。和田彩花さんが登場!

 私が運営するPlanet of Foodでは世界の主婦3人と柴犬による食にまつわるトークショーをやっています。2022年の1月1日には遂に水道橋博士が登場!
普段は主婦を招いてトークしてますが、今回はSP企画としてバリの大富豪としてもお馴染み、バリのアニキと博士のSPゲストを招いての配信となります。ぜひ、忘れないように今すぐチャンネル登録をお願いします。

リズム リバイバル (24)

 最近、プチばずっている「一年に一度は食べたい料理」

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執筆者:島津秀泰(放送作家)
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