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あの日、自分の選択肢を殺した人は今頃どうしているのだろう?by キンコン西野

このnoteは2020年8月11日のvoicyの音源、『西野亮廣ブログ』の内容をもとに作成したものです。
voicyの提供:インターン生のまーちゃんの最大の魅力は何ですか?えぐちひろき さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「あの日、自分の選択肢を殺した人は今頃どうしているのだろう?」
というテーマでお話しします。

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さっきふと思ったことを整理せずに一筆書きでお話ししたいと思います。

僕は個人で活動しているわけではなくて、チームで動いていまして、今、チームとしては二つのクラウドファンディングを走らせているんですね。

一つ目は映画『えんとつ町のプペル』のクラウドファンディングです。

こちらは、少し変則的なクラウドファンディングで、「映画『えんとつ町のプペル』を観たい」という子供達と、「子供達に、映画『えんとつ町のプペル』を観せてあげたい」という大人をマッチングさせる企画です。

実は、「支援してもらいたい人」と「支援したい人」の両方を募集しているんです。

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ただ、よくあるマッチング屋になるのは嫌なので、僕も、このクラウドファンディング上で「オンライン講演会」や「コンサル会議」などの仕事をして、その売り上げを全額、マッチングが成立しなかった支援先に寄付させていただくようにしています。

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このクラウドファンディングは今やっているのが第3弾でして……さっき計算してみたところ、これまでの支援者数は3万2797名で、支援総額は9589万8600円です。

映画公開は今年の12月なんですけども、現時点で、実に4万人以上の子供達に映画が届くことが決定しています。

一応、僕の目標は10万人の子供達に映画『えんとつ町のプペル』をプレゼントすることなので、映画『えんとつ町のプペル』を観たいという子供施設があれば遠慮なく手をあげてください。

マッチングが成立しなくても僕が働いた分で必ずプレゼントさせていただきますので、随時募集しております。

そして、もう一つは、オフブロードウェイミュージカル『Poupelle of Chimney Town』のオンライン公演をお届けするクラウドファンディングです。

こちらはウチの新入社員のセトちゃんが旗を振っておこなっている企画です。

詳細に関しては企画ページをご覧いただきたいのですが、ザックリと概要をお伝えすると…

もともと今年の9月にニューヨークのオフブロードウェイで公演を予定していたミュージカル『Poupelle of Chimney Town』が、コロナの影響で公演延期になってしまって、「負けるもんか」という意味も込めて、オンラインで公演しちゃおうというもの。

これも一応、「支援」という立て付けにはなっていますが、先の映画『えんとつ町のプペル』のクラウドファンディング同様、メインは「オンライン公演を観れる券」の販売なんですね。

要するに、今、ご紹介したクラウドファンディングって、2つとも「予約販売」でして、「集客」をしているんですね。

やっぱり、エンタメを生業にする以上、「集客」というのは無視できない。

だから僕らは、当日が近づいてから「売れるか売れないか?」という博打をするのではなく、クラウドファンディングという仕組みを使って前もって、「どこに、どれぐらいの需要があるのか?」を調べて、「ここ、すごい喜んでもらっている」となると、そこにコストをかけて、「ここ、意外とハマっていない」となったら、そこにかけるコストを削って、そうやって都度都度打ち手を決めて、リスクを減らしていっています。

映画『えんとつ町のプペル』の前売り券をクラウォファンディング場でせっせと届けているのは、「映画がコケる確率を減らしていく」という作業ですね。

この作品は本当のたくさんのスタッフが関わっていて、この作品の結果というのは、彼らの名刺・肩書きになります。

良い結果が出れば、彼らのその後の活動を後押しすることができるし、悪い結果が出れば、彼らのその後の活動の足を引っ張ることになりかねない。

彼らには、彼らの生活および、彼らのご家族の生活があるわけですから、やっぱり僕はリーダーとして、そこは何としてでも守らなくちゃいけない。

たったクラウドファンディングをするだけで、彼らや彼らのご家族を守れる確率が上がるのであれば、いくらでもしますよ。

ブロードウェイのミュージカルも同様に。

で、こんなことをしていて気になったのは……

その昔、「クラウドファンディング」という手法自体を否定した人がいたじゃないですか?
やれ「宗教」だとか、やれ「搾取」だとか、られ「自分の金でやれ」だとか……そんなことを言って。

その人達って、今、どうなってるんですか?

僕、ぶっちゃけた話、映画のチケットを今の時点で4万枚売っていますが、不安は消えていないです。

まだまだ足りないし、朝起きて、寝る寸前まで、「どうやって映画館に足を運んでもらおう?」と頭を抱えています。
「4万人が観に来てくれる」ということが担保されていてもです。

そりゃそうなんですよ。
作品の規模からいっても、この100倍ぐらいは狙いたいところなので。

「クラウドファンディングを否定する人」というのは、こういった後押しが何もない状態で、それこそ一か八かで試合に臨むわけですよね?

それって怖すぎるし、そもそも協力してくれたスタッフおよび、スタッフのご家族を、そんな危険な目に遭わせていいんでしたっけ?
そんな賭け事に巻きこんでいいんでしたっけ?

よく、梶原君から、「昔、クラウドファンディングをしている西野のことを皆が否定していたけど、今になって、『そら、見たことか』とか『ざまあみろ』とか、思わないの?」と訊かれるのですが……僕は思わないです。

そもそも、僕の相手は、その人達じゃないので。

そんなことより何より、今、どうしているかの方が心配です。

もし、もしもですよ。

この文章をお読みの方の中に、「あの日、否定してしまった手前、手を出すことができずにいる…」という人がいたら、もう、そんな過去のことはどうだっていいから、シレ〜っと始めた方がいいですよ。

あらゆる手段を使って、誰よりも努力をして、なんとしてでもチームの皆を守り抜くのがリーダーの仕事なんで。

一時期、それこそマツコさんとか、有吉さんとかが牽引していたブームだと思うのですが、他人を腐すのが流行った時代があったじゃないですか?

テレビでも「○○さんの悪口を言ってください」みたいな企画が本当に多かったんです。

マツコさんとか有吉さんとかは垣根なしに面白かったのですが、それを真似た人達が、ワリと雑な批判大喜利みたいなのを始めちゃった。

ちょうどツイッターというツールが、その後押しをしたのもありましたが。

ただ、結論から言うと、否定から入ることを基本スタンスにしてしまうと、間違いなく時代から遅れをとるんです。
それこそ、「否定してしまった手前、手を出せなくなっちゃった」という悲惨な事態を招いちゃう。

ライト兄弟が飛行機を飛ばす実験で失敗を繰り返していたら、「墜落するのが上手ですね」とバカにするんじゃなくて、「どうやったら飛ぶんだろう?」と一緒に考えた方が自分の為になる。

今、大きな流れとして、数年前の批判大喜利を流行らせてしまった時代のシッペ返しを食らっているなぁということを個人的に思っています。
仕事として(テレビの役割として)、毒を吐くことを求められてしまったテレビタレントさんなんて特に今メチャクチャ厳しい。

今、思うのは、やっぱり僕は面白い未来を見たいので……あの時、魔女狩りに励んでしまった人達を言及するのは無しにして、「ああいう時代もあったよね」で綺麗サッパリ終わらせて、あれやこれやと言いこっこ無しで、

皆が、生き延びる為の術に躊躇わずに手を伸ばせる世界になるといいなぁと願っております。

もっとも、願っているだけでは始まらないので、自分がもっともっと実践して、スタンダードにして行こうと思います。

後先考えずに喋った結果、決意表明みたいになっちゃった(笑)

というわけで、
「あの日、自らの選択肢を殺した人は今頃どうしているのだろう?」
というテーマでお話しさせていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。

※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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