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採算度外視で差別化を図る

おはようございます。
今日は珍しくコンビで番組収録に臨むのですが、事前に梶原君からは「絶対に結果を出せませんので」と報告をいただいているキングコング西野です。
#もう辞めてしまえ

さて。
今日は『採算度外視で差別化を図る』というテーマでお話ししたいと思います。
時々、西野が繰り出す打ち手の話です

コンテンツの形を決めるのは何か?

僕は大阪の地下劇場で生まれた人間ですので、劇場(舞台)の構造や歴史が大好物。

面白いのが『能』と『歌舞伎』の形です。

能舞は、役者さんの登場口から舞台までの間に『橋係り』と呼ばれるナナメに伸びた花道(渡り廊下)があります。
客席から観ると、役者さんは、ナナメ奥からズズイッと前に出てくるんですね。
3Dです。

ただ、この舞台の厄介なところは、花道をナナメにとっていることもあって、客席の座席数が、あまり確保できないんです。
行政から予算が落ちたり、お偉いさんや、お金持ち向けにやるのであれば、「チケット単価を上げる」ということで、座席数の問題はクリアできますが、チケット代を上げられない『大衆』に向けてやろうとすると、採算がとれません。

そこで『歌舞伎』の舞台が登場します。
こちらは「ナナメに伸びた花道」がありませんので(※この形の舞台を「額縁舞台(がくぶちぶたい)」と呼ぶよ)、客席スペースを大きくとれて、大人数を収容することが可能となります。
大人数を収容できるので、チケット代も安くすることができます。

ただ、能舞台から歌舞伎舞台へのアップデートはイイコトばかりじゃなくて、客席を広くとれるようになり、多くのお客様に届けられるようになった(チケット代が下げられるようになった)反面、「ナナメに伸びた花道」が無くなったおかげで、役者さんは基本「横の動き(横移動)」で物語を展開していかなくてはならなくなりました。

多くのお客さんに届けることと引き換えに、「縦の動きで魅せる」ができなくなっちゃったんですね。

このことから割り出せる答えは…

『コンテンツの形はビジネスモデルが決めている』ということです。

プロセス・エコノミーがもたらす未来

最近、けんすうサンがギャーギャー言っている「過程(メイキング)を販売して、メインコンテンツを無料にする『プロセスエコノミー』」は、このサロン内では一つの戦略として認識されていますが、世間ではまだまだ。

世間に対して「メイキングを販売して、メインコンテンツを無料にします」と発信したところで、「詐欺」「信者ビジネス」という言葉が返ってくるでしょう。

ただ、(おそらく皆さんが思っている以上に)『プロセス・エコノミー』というのはインパクトの大きい動きで、「ビジネスモデルが違うので、まるで違うコンテンツが生まれる」という可能性を秘めています。

絵本『えんとつ町のプペル』が世に出た時のインパクトって覚えてますか?
どう考えたって、既存の絵本とは形が違ったしゃないですか。

あれは「作者のセンス(個性)」で片付けてはいけない案件で、『クラウドファンディングで制作費を相殺するので、印税で回収しなくてもいい』という“ビジネスモデル”がもたらした結果(形)です。

クラウドファンディングやクラウドソーシングがなければ、絵本『えんとつ町のプペル』は、あの形にはなってないんです。

もう一度言いますが、コンテンツの形を決めているのは、作者の才能でも何でもなく【ビジネスモデル】です。
今日は、ここを、もう少し掘り下げます。

オンラインサロンという乗り物にのって、プロセスエコノミーを回し始めた僕らは次の疑問を常に持っておかなくてはなりません。

それは、「せっかくビジネスモデルが違うのに、なんで他人と同じ形のコンテンツを作ってるんだ?」ということです。

たとえば『映画館』。
館内は黒壁で、目の前には大きなスクリーン。
作品の世界観を邪魔しないように、無個性の座席が、規則正しく並んでいます。
作品が入れ替わり立ち替わり上映されて、それにつられて、原作ファンや、アニメファンや、ジャニーズファンが劇場に訪れます。

当たり前となった景色ですが、映画館がこの形に決めたのはビジネスモデルです。
この形だと採算がとれるから、この形になりました。

今、僕は、ミニシアターに興味を持っています。
厳密に言うと「プロセス・エコノミーでまわすミニシアター」です。

せっかくプロセス・エコノミーでまわすというのに、その他の映画館と同じ形にしてしまうのって、勿体ないと思いませんか?

差別化を図れる切符を持っているのに、差別化を図らないのって、勿体ないと思いませんか?

僕が興味があるのは『えんとつ町のプペル』専用の映画館です。
若手監督を応援する為に特別上映などはしますが、基本、「『えんとつ町のプペル』しか上映されていない映画館」です。

客席が「えんとつ町の屋根の上」になっていて(少し斜面)、モクモクと上がった煙の空(スクリーン)に映像が投影される映画館です。

こんなもん、チケット代で採算がとれるわけないじゃないですか?
だから、誰もやらない。

『えんとつ町のプペル』専用劇場を作れるのって、地球上で僕しかいないんです。
そいつを作りにいって、その裏話(制作過程や運営の苦労)をオンラインサロンの記事として販売して、劇場を運営した方が面白くないですか?

というわけで、(先日少しお話しした)「ミニシアターを作る」というのは、「えんとつ町のプペル専用劇場を作る」ということとなっておりますので覚悟しておいてください。

※もう一度言いますが若手監督を支援する為の場所も作ります。

今日の話をまとめると、「プロセス・エコノミーでコンテンツを作るのなら、プロセス・エコノミーでしか作れないコンテンツを作った方が面白いし、プロセスが更に売れるよね」です。

現場からは以上でーす。

【追伸】
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【※企業様向け】

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2020年12月25日公開!
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このnoteは2020年11月26日のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』への投稿をもとに作成しています。

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